~Annie,  are  you  OK ? 

 So  Annie  are  you  OK  

 Are  you  OK,  Annie   

 Annie,  are  you  OK ?  

 So  Annie  are  you  OK  

 Are  you  OK,  Annie ~

 

 

“Smooth  Criminal”はアルバム『BAD』に収録され、第7弾シングルカットされた楽曲である。

 

作中、「Annie are you OK ?」というフレーズが連呼される。

 

監督コリン・シルヴァース、振り付けヴィンセント・パターソンのショート・フィルムは1989年に公開された『ムーンウォーカー』のメイン作品となった。

 

マイケルの数多いミュージック・ビデオの中で一番の傑作だという意見が多い。 

 

見る者のあらゆる感覚に訴える作品であるとして、多くの評論家から称賛されている。

 

 

それを裏付けるかのように、多くのアーティストによって“Smooth  Criminal”はカヴァーされ続けている。

 

「偉大なるアーティストは決して死なない」ということのサンプルである。

 

 

マイケルが作詞、作曲、アレンジを手掛けた“Smooth  Criminal” は、ダークなフィルム・ノワールと恐怖、ミステリーの要素を兼ね備えている。

 

因みにフィルム・ノワールとは、フランス語で「暗い映画」を意味する。

 

1946年フランスの映画批評家・脚本家のニーノ・フランクが、アメリカで第二次世界大戦中に制作された『マルタの鷹』『飾窓の女』などの犯罪映画の一群を指して、この呼称を与えたのが起源と言われている。

 

虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の総称のことである。 

 

 

マイケルはハスキーで荒っぽいボーカルで、「アニー」という架空の女性が性的暴行を受け、殺されてしまった状況を歌っている。

 

横たわり、動かなくなった被害者アニーを見つけた絶望と悲しみを、何度も繰り返す「アニー、きみは大丈夫なのか?」で表現している。

 

リズミカルなコーラスの中から「知らない!僕は知らない!」という諦めたような答えが返ってくる。

 

 

音楽評論家オーウェン・グレイバーマンは

 

「この曲は20年以上経っても色あせず、

マイケルのシングルの中でももっと知られるべき傑作だ……

 

夜の闇に光る短剣のようなこの曲は、

マイケル・ジャクソンの魂に潜む、

自分を見失うほど激しい怒りを映し出している」

 

と評している。  

 

 

マイケルが自分を見失うほど、心を揺さぶった「アニー」とは一体誰なのか? 

 

アニー捜しはファンや関係者の間で長年推測され続けた。

 

このブログでは、「アニー」は「Little Susie」であり、「マイケルの魂の片割れ」、「運命の女」と推測している。

 

もっとも、今のところ「アニー」は心肺蘇生訓練用のマネキンの総称であることが、関係者から明かされている。

 

 

 

2017年2月、“Smooth  Criminal”で歌われている「アニー」は自分であると名乗り出る女性が突如現れた。

 

女性の名前は、そのまま「アニー」である。

 

この女性によると楽曲がリリースされた当時、付き合っていた人に虐待されたそうである。

 

虐待され、歌詞に出て来るように「Struck down (殴り倒される)」されたときに、窓の外を見ると一台のリムジンが止まっていたそうだ。

 

そのリムジンに多分マイケル・ジャクソンが乗っていたのだと思う、という主張を展開した。

 

あまりに当時のその女性の状況と歌詞の内容が酷似しているので、クインシー・ジョーンズやレーベルに複数回電話をして問い合せをし、自分について書かれた楽曲だから権利があると要求したそうだ。

 

その後の続報は見当たらないので、もしかしたら裁判になっているのかも知れない。

 

 

この「アニー」のような女性は、何も特別に異質な存在というわけではない。

 

マドンナ、レディ・ガガなど数多くのハリウッドセレブの女性たちも、犯罪に巻き込まれ同様の悲惨な体験をしていることを告白している。

 

この女性の場合はあまりにも現実が苦しくて、つい境界線を越えてしまっただけなのだろう。

 

事実、この「アニー」は働くのを止め、ホームレスをしているそうだ。

 

 

 

さて、この「アニー」ではないが、マイケルの楽曲からメッセージを読み解き、長年に渡り、勝手に「運命の女」になりすまそうとしたのが、誰あろうマドンナである。

 

まぁ、それほど、マドンナがマイケルにべた惚れで、尚且つ激しく執着したのは、マイケルその人の作品や言動を見続けていると十二分に分かるような気がする。

 

ただ、マドンナの凄いところは、その自らの情熱を作品にして、世に送り出したことだろう。

 

 

ミュージック・ビデオ“Like  A  Prayer”で、女性が複数の男性に襲われ、抵抗する間もなく腹部を刺され絶命する。

 

その犯罪現場に一人の若い黒人男性(イエス・キリスト)が、瀕死の女性を助けるために駆け付ける。

 

しかし、その瀕死の女性を抱きかかえたところに駆けつけた警察官によって誤認逮捕される。

 

その犯罪の一部始終を知っているのはマドンナと犯人たちだけ。

 

 

つまり、マドンナの目撃した犯罪は、「アニー」の主張する正しく“Smooth  Criminal”であり、犯罪現場に駆け付け、瀕死の女性を救おうとした黒人男性は、「Annie  are  you  OK ?」と連呼するマイケル・ジャクソンなのである。

 

だから“Like  A  Prayer”の歌詞に記された「You」の「y」は小文字なのである。

 

因みに、小文字の場合は「恋人や夫」、大文字で表記された場合は「神様」を表現するそうだ。

 

 

ミュージック・ビデオの最後で、全てはお芝居であったという演出で、マドンナは晴れやかな笑顔で黒人青年と手をつなぎ登場。

 

そのマドンナとは対照的に、アニー(マイケルの「運命の女」)役の女性は、犯人に抱きしめられ、膝の上でまるで「物」のように乱暴に扱われている。

 

 

マドンナ恐るべし。

 

マドンナのこの本質をマイケルが見抜かないはずはない。

 

一時、マドンナに興味を持ったものの、マイケルは早々に縁を絶った。

 

マイケルの逃げ足の速さはヘルメス張りであり、マドンナの予想を遥かに上回っていた……。

 

 

 

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