鎌倉時代末から江戸時代にかけて成立した、それまでにない新規な主題を取り上げた短編の絵入り物語。

 

この絵入り物語を総称して、「御伽草子(おとぎぞうし)」という。

 

幼い頃、母によく読んでもらった『一寸法師』や『浦島太郎』。

 

これらの絵本は、400編超が存在するといわれるこの「御伽草子」の作品群の一部である。

 

この「御伽草子」の中に、本日7月7日に縁の深い作品がある。

 

 

その作品のタイトルは、『天稚彦草子(あめわかひこぞうし)』である。

 

この御伽草子の主人公である<天稚彦(あめわかひこ)>が、七夕物語で有名となった<彦星(ひこぼし)>の語源と言われている。

 

 

~三人の美しい娘を持つ長者の家に、ある日蛇がやって来た。

 

蛇は、三姉妹のうち誰かひとりと結婚させてくれなければ、長者を食べてしまうと脅かした。

 

長者は娘たちを集めて事情を話すと、長女と次女は蛇の嫁になることを拒んだ。

 

しかし、心優しい末娘は父である長者の為に、恐怖で震えながらも、その申し出を受け入れた。

 

その夜、川のそばの屋敷で末娘が待っていると、蛇が現れ、蛇自らの頭を切るように末娘を促した。

 

末娘が恐る恐る蛇の頭を落とすと、蛇は美しい若者の姿となり、「天稚彦である」と名乗った。

 

末娘と天稚彦は、何不自由なく、幸せに、楽しく暮らしていたが、ある日、天稚彦は用事があって天に帰ることになった。

 

天稚彦は唐櫃(からびつ)を末娘に渡し、これを開けたら帰ってこられなくなると告げた。

 

末娘は約束を守り、天稚彦の帰りを待っていた。

 

しかし、末娘の裕福な生活を妬んだ姉二人が押しかけてきて、唐櫃の鍵を末娘から奪い取り、勝手に開けてしまう。

 

天稚彦の言葉通り、いつまで待っても、天稚彦は天から戻ってこなかった。

 

そこで、末娘は意を決して、天稚彦を探しに天に上った。

 

やっとのことで、末娘は天稚彦の住む御殿を見つけるが、その御殿の主であり、天稚彦の父親は鬼であった。

 

鬼の目をかいくぐり、末娘は天稚彦と再会を果たす。

 

けれど、天稚彦の父である鬼は人の娘を嫁とは認めなかった。

 

次々と、無理難題を末娘に突き付け、諦めさせようとする。

 

しかし、娘は天稚彦から貰った「天稚彦の袖」を使い、全ての難題を突破する。

 

父鬼は、仕方なく末娘を嫁として認めるが、「月に一度しか会うことを許さない」と告げる。

 

しかし、どうしたことか、末娘は「年に一度」と聞き間違えてしまう。

 

父鬼は、「それでは年に一度に」と言って、瓜を地面に打ち付け天の川を作ってしまった。

 

こうして、それから愛し合う二人は、年に一度七月七日にだけ逢瀬を楽しむようになった。~

 

 

 

七夕物語は、古くから日本に限らず、世界各地で語り継がれている。

 

その発祥は、一説では中国とも言われている。

 

中国の神話伝説であり、民間説話の一つ『織女牽牛(しょくじょけんぎゅう)』。

 

後漢(25年ー220年)以降の文献に、この伝説は登場する。

 

 

では、それが最古なのかと言えば、実はそうではない。

 

今現在、ある最古の有名な神話に起源を見出すことが出来る。

 

 

『織女牽牛』然り、日本の『天稚彦草子』然り、そして何と韓国ドラマ「天国の階段」然り。

 

おそらく、すべて或る有名な神話をモチーフとして、創作されていると思われる。

 

 

「あぁ、あの神話だよね。」

 

<7>という数字を自らのラッキーナンバーにし、世界の神話や伝説に詳しかったマイケル・ジャクソン。

 

マイケルなら、きっとそう話しかけてモチーフとなった神話のタイトルを笑顔を見せながら答えることだろう。

 

 

では、そのある有名な神話が何かと言えば、話がかなり長くなってしまうので、今日はここまでに……。