お父さんへ

最近自分と向き合うようになって

自分の中に居座る罪悪感を
ちゃんと見つめられるようになって

(父の死に目に会えなかった)

この事が私の中のイチバンの罪悪感だと
分かりました

時には友達に
時には家族に
このことを話して
乗り越えてきたつもりだけど

私があの時
ずっと論文を書いていて
長い間病院に行かなかったのは
紛れもない事実

お父さんとは

論文を書き終えたら
病院に行くって約束していて

その約束を守る事ができたら
病気も治るんじゃないかとすら
思っていました

でも
そんな馬鹿げた“願掛け”で
人生最大の後悔を
することになるなんて
当時は想像できませんでした

馬鹿な娘でごめんなさい


お父さんが
最後に先生と看護師さんに
「明日になったら娘が会いに来るから
それまででいいから生きさせてくれ」
って言ったと聞かされた時

(あぁ…お父さんは論文の〆切が明日だと
ずっと覚えていてくれたんだ)

(最後の瞬間まで私との約束を守ろうとしてくれたんだ)

そう思って
胸が締め付けられて

あの日から
私は私を許さない…と
決めた気がします

そのことに
ようやく気付くことができました

そんな私でずっといることを
お父さんは喜んでくれていなかったはず

最近ね
やっとあの時のことを
ちゃんと受け止めることができたのを
感じています

だから今日
私はあの日の私を許す…
そう決めました


お父さんはとても寡黙で

家の中で
よく着物を着て
正座して
書き物をしていた姿ばかり思い出します

男の子が生まれると思って
名前も決めていたのに

生まれてみたら女の子で
びっくりして

名前を考えるのに
毎日悶絶していた日記を見つけた時
本当に嬉しかった

お父さんは
私にはとても優しかったね

お母さんにもお兄ちゃんにも
厳しかったのに…

お父さんには
愛されていたなぁ…
といつも感じることができます

私は
そんなお父さんに愛されたくて
愛されたくて
色んなことを頑張ったよ

小学生の時にお料理を褒められたから
その後も頑張って料理を続けたし

テストで100点を取ると
ニコニコしてお小遣いをくれたから
勉強も頑張ったし

お父さんと喧嘩して
言いたいことを正直に言ったら
喜んでくれたので
言いたいことをまっすぐ言おうと
頑張ったし

お小遣い帳をつけて
ちゃんとお小遣いを管理してたら
褒めてくれたから
頑張って貯金するようになったし

お父さんが
時間に遅れることが嫌いだったから
遅刻しないように…
約束を守らないことが嫌いだったから
約束を守るように…
嘘が嫌いだったから
嘘をつかないように…

一生懸命頑張ってきました


でも一方で…

お父さんに愛されたくて
愛されたくて
色んなことを我慢しました

お父さんが
騒がしいのが嫌いだったから
家にいる時は
とにかく静かにしようと
音を立てることを我慢したし

甘えられることが嫌いだった(ように見えた)から
甘えないように我慢したし

自分の領域を侵されるのが嫌いだったから
家にいる時は
なるべく近づかないように我慢しました


なんだかへんてこりんな頑張りと我慢の
数々でしたが…

頑張ったことは
大人になった私にとって
大きな財産になっています

でも…
我慢したことは
大人になった私に
“不自由” をもたらしています

男性との距離感を
うまく取ることができない…という“不自由”

持って生まれた私の性格は…

“自由でフワフワして無邪気”

だから

大好きな人の傍で
自由に
お喋りしたいし
歌ったり踊ったりしたいし
甘えたいし
近づきたい…

でも
長年のクセが邪魔をして
なかなかできないです…

これをなんとかしなくちゃと
日々格闘中


…だから
ちょっとずつなんとかしようと
意識して練習しています


なんだかよく分からない手紙になったけれど…

今の私が
お父さんに手紙を書いておきたいと思ったから
頑張って書いてみました

私は…
お父さんの子供に生まれて
本当に幸せだったと思います

いっぱいごめんね

そして

いっぱいありがとう