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アジサイの花を観に、
倉敷市浅原にある安養寺を訪ねた。
初夏の陽射しに照らされた山あいの道を進むと、
ふと空気が変わるような感覚に包まれる。
浅原峠の一角、木々に囲まれた静寂の中に、
その寺はひっそりと佇んでいた。
ちょうどアジサイが見頃を迎えており、
境内には青や紫、淡いピンクの花がやわらかく咲き誇っていた。
以前はもっとたくさんのアジサイがあった。
年月とともに少しずつその数は減ったのかもしれないが、
それでも十分に美しく、訪れる人の目と心を楽しませてくれる。
静かな山寺に咲くアジサイは、華やかすぎず、
どこか控えめな美しさがある。
その姿は、この場所の空気とよく馴染んでいた。
安養寺は奈良時代に開かれたという、
長い歴史を持つ真言宗の寺だ。
寺の正面には「天王池」という池が広がり、
その中央には浮見堂が建てられている。
池に映る堂の姿は幻想的で、
まるで時間が止まったかのような錯覚を覚える。
浮見堂は国の重要文化財にも指定されており、
信仰の場であると同時に、
地域の文化と景観を守り伝える存在でもある。
観光地としてにぎわう場所ではないが、
だからこそ、訪れる人々はこの地の本来の姿を
感じ取ることができるのだろう。
寺を歩くうちに、ふと足を止めて深呼吸をした。
澄んだ空気、鳥のさえずり、足元に咲く野草、
そして遠くに聞こえる水音。
すべてが自然で、すべてが心に沁みてくる。
日常から少し離れ、静かに自分を見つめなおす時間を与えてくれる、
そんな場所だった。
安養寺のアジサイは、また来年も咲くだろう。
その時にまた、変わらぬ風景と、
移ろいゆく季節の美しさを味わいに、
再びこの寺を訪ねたいと思う。
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