2022.12.26~28

 

小林親弘さん・木島隆一さん

置鮎龍太郎さん・寺島淳太さん

東地宏樹さん・吉野裕行さん

 

3組、各2公演ずつ

同じ作品を朗読する「城崎プレリュード」

 

会場には大千穐楽しか行けていないのだけど

(なんたって50人ちょいしか入れない)

配信の「通しチケット」を購入したので

ほか2組の朗読も観た。

 

状況としては

先に東地さん吉野さん組を

当日、昼は配信、夜は会場で観て

翌日に配信でまた昼・夜2公演を観て

 

少し時が経ってから

ほか2組を続けて観る、という流れだったので

 

東地さん吉野さんペアが紡いだ作品の先入観を持って、観ていたところは大いにあると思う。

だからこそ?新鮮な驚きなどもあって、純粋におもしろかった!

 

 

ここからは

ただ私が書きたいことだけを書き殴っているし

最近自覚した「”吉野さんのお芝居”のオタク」ゆえの「細かすぎて伝わらない(かもしれない)w」吉野さんのお芝居のココが好き!を書き連ねているのもあり

 

かなり内容のネタバレありなので

配信をこれから観ようと思っている人や

他人の考察に興味がない人にはおすすめしない。

 

 

*********************

 

まずはやっぱり

3組それぞれの登場人物たちの年齢感。

 

思わずそれぞれの演者さんの実年齢調べちゃったwけど、演者さんの年齢と演じる役の年齢って比例するのかな?

と一瞬思うくらい

 

東地さん置鮎さんの黒澤は年齢層が高めで、小林さんの黒澤は少し若くてめちゃくちゃ紳士的。

東地さんと小林さんの黒澤は自分を「僕」と呼び、置鮎さんだけは「私」呼びなのも雰囲気ある。

 

ついでに書くと

置鮎さん小林さんの黒澤は珠子のことを語る時「あれ」と表現する(年配の男性が自分に近しい女性に対して使う表現)のに対して、東地さんの黒澤は「彼女」と言うのもまた、それぞれの人柄を表すように思えて興味深かった。

 

そして珠子。

寺島さん(最年少)の珠子が一番若くてかわいらしく

木島さんの珠子は寺島さんのより少し年嵩ありつつ、サッパリした性格の印象(そして「大柄」という表現が身長だけでなく横幅もなのか?と思ってしまった謎w豊満な珠子イメージ)

吉野さんの珠子が一番年齢が高いのだけど、見ためとか声が年齢に見合わないくらい若い(けど年齢に見合った妖艶さとのアンバランスが魅力、そして中年の肉付きはありつつもすらりとしたモデル体型w)

みたいなイメージを持った。

 

ただし

これが絹也になると不思議な現象が起こって。

一番若いのはやっぱり寺島さんなんだけど

二番目に若いのが吉野さんになるw(この3人の中では最年長)

木島さんが一番年齢的に落ち着いた、ちょっとオトナ?にさしかかっている、といえばよいのか、他の2組より黒澤の年齢感に近くなっている絹也に思えた不思議。(演者さんの年齢感が近いから?)

 

これだけでもうめちゃくちゃおもしろくて。

それぞれ全然違う黒澤・絹也・珠子の物語に見えるので、見比べが楽しい。

 

あと

寺島さんの絹也だけ、ずっと「黒澤さん」と呼んでいるのも、年齢が一番離れた2人だからこその演出に思えて、寺島さんの絹也が黒澤さんに懐いたかわいいわんこにしか思えないのもまたよき😊

 

だからこそ生まれたのか?

観る人によっていろいろな想像を掻き立てられる「喫煙所」のシーン。

3組とも演出・・・というのか?セリフそのものやト書きなども変わっていて、だいぶ印象の変わるシーンになっているのがまたおもしろかった。

 

最初に書いたとおり

吉野さんの絹也と珠子の喫煙所での会話を観てしまった私。

 

ほかの2組を観てもなお

吉野さんの絹也と珠子の会話は

「一番色気と謎めきの多い、意味深なシーン」

という印象が深い。

 

木島さんの絹也・珠子の会話になると

もう少し感情が揺らめかない印象、といえばよいのか?

不思議な珠子を傍観している絹也、に思えた。

 

寺島さんのターンだと

少し年上の女性である珠子にドギマギしているような絹也に思えて、そのドキドキ感まで伝わってくるようで、なんだかかわいらしさすらあった。

 

そんなわけで

吉野さんの珠子が言う「ケチ」

いろいろな意味に取れてしまって、あれこれ考察したくなる欲が高まって、今こんなに長い文章を書いている私がいる(爆笑)

 

ただひたすら

あの喫煙所の吉野珠子さんに色気がありすぎるのがけしからん!(笑)

 

最初に東地さん吉野さん組を観てしまったから

珠子は出会った瞬間のひらめきで「隙あり」と思える男性には粉をまき散らして、その気にさせた男性にどこまでも貪欲に愛情を傾けさせるよう仕向けたくなる性癖で、その愛情に慣れてしまうと次々に新しい愛を求めていくサガなんだな、と。

女性から見たら、ただの嫌な女(笑)に思っていたw

 

「夫」がいるにも関わらず、若い男を誘惑しようとしているようにしか思えなかったのよねwww

(今となってはもう少し珠子の寂しさに共感出来るようになった)

 

そして吉野さん絹也くんは他の男性の「妻」である女性にあらぬ欲を感じないように、必死に踏みとどまっている感が出ていて、絹也がその欲に負けてしまうのでは?と観ているこちら側が一番ハラハラさせられたw(個人的すぎる感想)

 

ほかの2組だとその辺はもう少しライトに

珠子の意味深なつぶやきに戸惑いを抱いているという感情の方が大きかったように思えて。

 

いやぁ・・・なんていうエロスな回を先に観てしまったんだw

ごちそうさまでした🙏w

 

 

後日、新谷さんがTwitter上で

朗読劇視聴者?の質問にお答えくださる、というありがたいイベントが発生し。

その時の質問・回答をまとめてくださったのでリンク貼っておく。

 

 

 

木島珠子さんの「奔放さ・ファニーさ」

とか

置鮎さんの「心の鎧が厚そう」「茨のように幾重にも重ねられた心の鎧」

という新谷さんの演出や解釈、わかりすぎる!!!

 

 

今回、こんなに考察したくなる要因が

たぶん作品の性質?なのかな?

一応、日本文学科・近代文学専攻だった私、の嗜好をとても刺激する作品だったからだと思う。

 

「城崎プレリュード」というタイトルを初めて見た時

城崎温泉街(行ったことはない💦)と近代文学界の文豪の姿がすぐに浮かんだ。

そう、志賀直哉「城の崎にて」。

 

志賀直哉さんはゼミの先生が好きだった作家の1人だったので、学生時代にだいぶ作品に触れた気がする。

 

なので

「志賀直哉だわ」

という珠子のセリフを聞いた時に「やっぱり!!!」ってひそかに興奮していたw

 

そして

吉野さんの演じた珠子が、志賀直哉が生きていた時代の女性のような語り口のように思えたのも、より一層雰囲気を感じさせてくれて、いろいろ考察したくなる要因のひとつだった。

吉野さんの珠子、めちゃくちゃ古風だった。(ゆえに、私の中で年齢が一番高い珠子)

 

ラストの珠子の手紙

1枚にしかしたためられていないのに便せんが2枚

という辺りも、とても古風。

 

本来1枚しか書いていない手紙の場合はもう1枚白紙の便せんをつけるものだ、というのを学生時代に何かで読んで知っていたけど、私にはそうしなければならない意義を感じなくてやったことがなかった。

(紙もったいないじゃん、っていう合理主義者・・・)

 

ちなみに手紙のマナーらしい。参考URL👇

 

私の母世代は必ずそうしている印象があるかな。

スマホが当たり前の時代に生きている人々にはまったくなじみのない風習な気がするので、朗読のそのくだりで「なぜ?」と思った人も多かっただろうなぁ。そもそも手紙すら書く習慣ない人も多そう。

そういうところも「近代文学」感のように思えてひそかに楽しかった。

 

そうか、だから私はこの作品に惹かれているんだ

と気づいた。

とても近代文学の香りがする。(気がする)

 

言葉だけで綴られているはずなのに

たとえば女将の着物の表現に「色」や柄が浮かび

浮かぶ氷がグラスに当たって生まれるかすかな「音」を感じ

畳のいぐさの匂いや花の「香り」が漂い

珠子の手の「温度」と「湿度」

「風」と「気温」、季節まで体感出来るようで

 

物語を耳で聴いているだけなのに五感を刺激されるような、風情がある作品でとても好み。

素敵。

 

そして

人物たちの心情の動きや描かれ方も繊細さがあって好き。

 

年齢差あるがゆえの

落ち着いた言動が多い黒澤と、時々後悔するけど基本ぐいぐい行く絹也

の対照的なところも

他人へのアプローチの距離感が近い絹也と珠子の似た者同士感も

(小林さん木島さん組にはこういうセリフもあって、そこまで言っちゃうの!?と正直驚いたけどいろいろ納得した)

 

3人のコントラストが鮮やかでドラマチックだったなぁ。

 

印象的だったのは

珠子の実子・つぐみに面影を探すシーン。

 

3年も時間をともに過ごして来た黒澤は面影を見つけられず

一度旅先で会っただけの絹也が、その横顔にあの日の珠子を感じる場面。

2人とも、自分の角度だけで珠子を見た結果が現れているように思えたり。

音楽家と作家(志望)の性質の違いにも思えたり。

 

つぐみの放つ「どうも」の意味が汲み取れない黒澤に対して

その言動からつぐみがひた隠しする心情を思い浮かべてしまうあたり、絹也の職業病?を感じさせられる気がして。

おもしろいなぁと思った。

 

そして黒澤は

「夫妻」として温泉宿を訪れているはずなのに

磨かれた床に写る(本来なら見慣れたはずの)妻のスカートの中に動揺?していたり

それを女将に見透かされている!?と焦ってみたり

物語の序章からすでにいろいろ伏線が張られているのも楽しい。

 

いろいろ挙げたらキリがないけど💦

最後にもうひとつだけ。

 

絹也に届いた珠子からの手紙

短編が掲載された文芸誌ではなく、一介のライターとして寄稿した雑誌宛に届いたという手紙。

特に違和感があったわけでもなかったけど

なんとなく心に残っていたその描写。

 

何度か配信を見たあとにふと気づく。

 

そうか、珠子は絹也が綴った「K夫妻」との交流も描いた温泉宿レポートを読んだんだ!

そして名古屋まで訪ねて来て、黒澤の近況を教えてくれた絹也の言葉もあって、帰ることを決めたのかな。

 

そんな風に思えたところも、素敵ポイントだった。

 

手紙で知る珠子の気持ち、ももちろん

名古屋で絹也が自分のために珠子に掛け合ってくれていたことまで知る黒澤の胸中を思うと

ほろりと来る~!😭

 

「ちょっとお出かけ」の後の珠子の足取りだけがちょっと謎だったけど

(一度北海道に帰って、以前の勤め先のマスターに助けを求めてから名古屋に行ったの??それとも電話かな??とか)

季節と時間の流れも美しくて素敵な作品でした。

 

 

 

ここからは吉野さんのお芝居の話。

 

配信があるとついつい

「ココ好きだなぁ~」

とか

「このシーンのお芝居好き」

とか延々観てしまうw

 

今回初めて自覚したのは

「吉野さんの鼻濁音が好き!!!!」

 

「〇〇が■■した」

の「が」の発音

ひたすら好きだわ~と惚れ惚れと聞いてしまう。

 

あと「黒澤は」と言う回数がかなり多いのでそこも聞き惚れる。

「くろさわは」の「わ」と「は」

発音として文字で表現すると、どちらも同じ「わ」なんだけど

 

「は」の方は「くろさわ」の「わ」とは違う発音になるところが好きすぎる。

・・・我ながら細かすぎる好みでwちょっと気持ち悪い気がしている(爆笑)

 

ほかには、酔ったシーンで

滑舌を甘くすることで表現しているところもとても好み。そしてその滑舌の甘さがかわいらしい!好き!

普段圧倒的な滑舌のよさを体感しているからこそ、こういう甘い滑舌がスペシャル感!w

 

あとは、くしゃみ。何度も聞きたいwかわいい。

 

そして

登場人物が生きて動いているのを感じられる息づかい。

お料理を食べながら

または、お酒を飲んでから話し始めるシーンの

口に何かしら含んでいる要素を取り入れた表現はもちろん

 

珠子の手紙を受け取ってすぐに黒澤の元に駆けつけた絹也が

手紙を読み始めるまでしばらくの間、息が上がっている自然さ。

圧倒的に全力で駆けつけた感!!!

そこに人間の生理現象まで織り込む緻密さ。

生身の絹也が動いているとしか思えないところ、本当に素晴らしく思う。

 

北海道の店のマスターに見破られた時の、目が泳ぐところも最高。

(意識的にやっていたとしても無意識だとしてもこういう細かいところが好きなのでやっぱりお芝居は生で見たくなる罠)

 

ちなみに

北海道で珠子の勤めていた店を訪れる時に

黒澤に「1人で行きたい」と言われた時の絹也

 

ほかのお2人は「どうぞどうぞ!」という歓迎の気持ちが前面に現れていたのに対し

吉野さんの絹也だけが「がっかり」感ハンパなかったの、個人的にとても好みでした。

好奇心旺盛な絹也の出鼻をくじかれた感、よかった。

 

 

そしてラストの手紙の朗読

初めて吉野さんの手紙のシーンを目にした時

 

ドラマでよく見る「手紙を読んでいる人」の声に「手紙を書いた人」の声が徐々にかぶって行って、最終的に「書いた人」の声になる、という・・・専門用語はわからないけど、あの手法をたった1人でやっている!!!

 

という衝撃を受けた。

 

朗読の熱気に当てられた私の幻か???と思い

配信ならでは、を利用して何度か見直したし、ほかの組とも見比べたりしたけど。

 

ほかのお2人ははっきりと

「あたし」から珠子になっているところ

吉野さんの「あたし」は、まだ完全に珠子になっていなくて、半分絹也が混ざっている感が強い。

その直後の「決めました」からは完全なる珠子になっていることがわかるから、文頭からじゃなく、文の途中からグラデーションのように珠子になっていく感覚を覚えたし、そう感じたのは幻じゃなかった・・・!

(※個人の感想です)

 

昼公演は「あたし」の後に、まだ息が整っていない絹也の息まで入っていたから余計そう感じた、のだと配信を見直して気づく。

 

「ダイの大冒険」の最終話で魅せた吉野さんのグラデーション技術をまた聴けたようにも思えて、感動のため息しか出ない。

 

 

 

昼公演と夜公演で

ちょっとアプローチ変わったかな?と思えたシーンを見直せるのも、また配信のよさで。

 

番頭さんの冗談?に対して

「ジョーク、ですか・・・」

と言うシーンで

夜では「ジョーク」のところを東地さんの番頭さんの声音をマネしていたように思えて、ひそかに笑ってしまったり。

 

編集の大崎さんに「マジッすか!?」というタイミングも

夜の方がめちゃくちゃ食い気味にw声のボリュームもUPしていたのがおもしろかった。

 

あと

「ケチ」の一言

 

昼公演は目線の上げ方が少し高めだったのか、マイクから少し外れてしまったように思えて、配信で観ていても「ケチ」だけ音が遠く?聞こえていたのだけど。

夜はそこを微調整していて、ちゃんとマイクに入る高さで目線を上げたように思えたのも、さすがプロだなぁとしみじみ思ってしまった・・・

 

ちゃんと物語に没入しているんだけど

少し離れたところで俯瞰で朗読を観ている私もいる、というような感覚での↑こうした感触?感想?でした。

 

今回、ありがたくもシナリオフォトブックをすでに入手していたので

3組とも配信で観た後に

それぞれ違う演出になっているシーンを台本で確認する、ということが出来て、コレが想像以上に楽しかった・・・!

 

 

この組ではこういう台本になってたんだ!

と知れるって、あまりよそでは出来ない体験な気がするので、3組とも微妙に違う物語という取り組み、とても素敵でした!

 

 

写真撮影可の時間帯を設けてくださっていたのも嬉しい心配り。

 

 

自席から一生懸命拡大して撮影した↑けどこれが限界(笑)

ぼやけてるw

 

 
1/11までアーカイブが観られるので
あと数日楽しませていただきます!
 
今回の旗揚げ公演、プロデューサーの新谷さんはじめスタッフの皆様が「成功!」と思えた朗読劇であったら嬉しいなぁ。
受注生産のブロマイドも注文してあるし、届くのが楽しみです!!