家族を想う8編の短編集。家族の言い訳・こちらの事情に続く家族シリーズの3冊目といっていいだろう。
森浩美は好きな作家さんの一人だが、最近は作風が変わらないので少し飽きがきている。
それでも、やはり良いものは良い。
今回は自身の家族と重なるところが多かったかもしれない。
最後の「桜散らず」は妻の入院に付き添う夫の物語。
最近身近に同じような光景があったから、少し心に傷が残った。ああして置けばよかった、こうしたほうが良かったかもしれないと逡巡した思いがそのまま文章になった感じだ。あの時の思いを掘り起こされたようで切なくなった。
一番は最初の「一番新しい思い出」。
離れて暮らす家族にはそれぞれの理由がある。どんな理由があるにせよ、逢いたいと切に想うときがある。それでも逢えないときの切なさ。娘の作文が、父親の気持ちと重なったとき、それが新しい出発となる。
「玄関先の犬」はリストラされた父親よりも、犬のほうが気になった。
田舎に飼われている犬は、私が帰省すると跳ねて喜んでくれる。ああ、犬に逢いたいなぁ。
切ない気持ちや家族への思いを思い出させてくれる一冊。
