日本マクドナルドの店長に残業代を支払え、という東京地裁の判決がでましたが。
就業規則の診断をして先ず気になるのがこの件なんですね。
多くの事業所では違法行為をしているという意識はそれほどなく、でも実際はいくらかの管理職手当だけで残業代を支払っていない、という現実があります。
法律上の管理監督者と認められる一般的な要件は、
1.厳密な労働時間管理が行われておらず、労働時間に応じた賃金の減額がない。
2.部下の人事考課を行っている。
3.1~2万円ではなく相当額の手当が支払われている。
4.部下の管理監督が仕事の中心である。
となっていますが、この要件を厳密に当てはめるとかなりの数の事業所が違法行為をしているという事になります。
日本は遵法意識が薄いといった話は講演等でよく聞きますが。それももちろんあると思うんですが、それ以上に法律の不備が最大の要因ではないかと私は思います。
上記の要件を見てまずイメージするのがいわゆる重役出勤の方達なんですね。そのような働き方をされている人は中小企業にはあまりいてないのではないでしょうか。
役職手当に残業代を含むならそれはそれで良いのだと思います。ですがその事を就業規則に明示していない。そもそも本当に手当を出せばそれだけで管理監督者になっている、という事業所側の思い込みがあります。事件に挙がってくるような企業は薄々わかっていてわざと制度を利用して過重労働を強いているのでは、と思うので同一線上に並べて考えるのは無理がある、とも感じています。
ですがこのままではいわゆる「偽装管理職」の問題は解決の術(すべ)がないので何らかの立法措置を望みたいと思います。それがいわゆる「日本版ホワイトカラーエグゼンプション」という事なのかもしれませんが。新たな制度を設けてもそれを適正に審査する制度がないとそれこそただの「働いた者が損」という状況になるので合わせて考えてもらいたいところです。
現状は事業所で管理監督者について質問を受けても明確に答えが返しずらい状況です。役職手当に残業代や深夜代を含むといった内容を書き加える事。無理な時間外労働は避けて労働時間の把握に努める、といった事を地道に話していくよりないでしょうか。
同じ事で悩んでいる方の意見も聴ければ幸いです。
