国別対抗戦での浅田真央のショートプログラムの演技は、まさに私が見たかった浅田真央の演技だった。


滑っていて気持ちいい!

そんな風に彼女の顔にはとても自然な笑みが浮かんでいた。


そして本当に自然に体がドビュッシーの月の光のピアノのリズムになじんで動いている。


すごく見ていて穏やかな、幸せな気分になるようなそんなスケート。


初めて世界ジュニア選手権で優勝した時やGPFで優勝した時も彼女のスケートからは滑るのが楽しくてしようがない、そして見る人の顔をほころばせてしまうような天性の明るさがあった。

けれど、いつまでも新星のように現れた少女のままでは居られない。

彼女はますます技術を磨き、ロシア風のゴージャスなプログラムを見事に滑りこなすまでに成長した。

でも、やっぱり彼女の一番の良さはスケートから滲み出る天性の明るさ、陽の雰囲気だと思う。

ここ最近、色々なものを背負ってそれが少し失われてしまったような気がしていた。

世界選手権では中々歯車がかみ合わず、これからしばらくはスランプに陥ってしまうのだろうかと心配してしまったくらい、何か壁にぶち当たっているような雰囲気が漂っていた。


でもそんな心配は不要だった。

ショートプログラムでトリプルアクセルに挑戦する、という事が彼女を変えたのだろうか。

ほんのちょっとした何かで驚くくらい生き生きと、伸び伸びとしたスケートを見せてくれた。


やっぱり彼女には苦手な何かを克服する、というよりは得意な何かを限界まで挑戦するという姿が似合っている。

そしてそうしている彼女が一番生き生きと輝きを放っている気がする。


もちろんそれには賛否両論あるだろうしリスクも伴うだろう。

結果がついてくるときもあれば、付いてこないときもあるかもしれない。

けれど、浅田真央のあの春のようなスケートが見られるのなら、1ファンとしては、それだけでいいような気がした。

 ISU World Team Trophy、明日からいよいよ始まりますね。


ワールドが終わってシーズンも一区切りといった時期で選手もモチベーションを保ったり、

調子を整えるのが大変でしょうが、良い大会になるといいなぁと思います。

Japan Openのような和気藹々としたお祭りになるのか、真剣勝負のピリピリした大会になるのかどうなんでしょう。


そして思った以上に豪華メンバー!

当初は来る選手もわからなかったので、チケットも取っていなかったのですが、

急遽、土曜日の女子フリーだけ行くことにしました。

世界選手権はジャッジ側の席だったので、今回はジャッジ裏のアリーナでジャンプを楽しむつもりです。

安藤美姫選手の4S、浅田真央選手の3Aが見れたらもう何も思い残すことは・・・。



だた、世界選手権で、サフチェンコ&ソルコビーのEXを見ていないので(体調不良だったようで)是非とも見たかったです。テッサ&スコットも来るなんてー!ミスのないカメラマンと女優のODを生で見たかったです。


レピストやカー&カーのEX、小塚崇彦の完璧なロミオとジュリエット、高橋成美&マービン・トラン組の演技(全日本で見たらすごく雰囲気の良いペアでした。)、も見たかったなぁ。


こんなことなら木・金や日曜日の予定空けておくんだった・・・。


とにかく、土曜日のペアと女子フリー、楽しみです。


浅田真央選手、SPから3Aを入れるみたいですね。

今シーズンの3Lzの確率を見ていたら3Aとそんなに変わらないくらいだと思うので、悪い選択ではないんじゃないでしょうか。やっぱり3Aが入ると盛り上がり方が違うと思いますし。織田信成選手もSPから4T-3T入れるみたいですね!最近は男子のSPで中々このコンビネーションが見れないので、明日が楽しみです。


世界選手権での演技を見て、『SAYURI(チェアマンズワルツ)』は今までの安藤美姫のショートプログラムの中で、私が一番好きなプログラムになった。




力強く美しいシェヘラザードや、憂いと躍動感を秘めた戦場のメリークリスマス、体中から滑る楽しさが溢れてくるようなショパンの大ポロネーズなど今まで好きなプログラムはいくつもあったけれど、今どれか一つを挙げるならば、この『SAYURI』だ。






一輪の花が美しく咲き誇りそして枯れていく様を表現したというこのプログラム。

衣装がまず奇抜だ。鮮やかな青に派手なピンクの大きな花。

西洋における東洋趣味のような、どこか少しずれた毒々しさのある衣装。

そして細い眉に濃いピンクのアイシャドウ。

艶やかなのに、どこか退廃的。




プログラムは、しなを作ったような動きから始まる。

所々に入る手をヒラヒラとされる振りが印象的だ。

特にスパイラルの時の手の動きはいつまでも見ていたくなる。

何と言っても素晴らしいのが深いエッジを使い、緩急のついたステップ。

正面に向かって手を交差させてポージングする所などは、咲き誇った花のようでハッとさせられる。

最後のレイバックスピン。

シンプルなレイバックの形が静かに枯れて行く花のようで目が離せなくなってしまう。

そしてその後に残る何とも言えない余韻。




氷上に美しく咲いた徒花。




彼女の演技を見ていてそんな言葉がふと思い浮かんだ。

安藤美姫の生き生きとした演技に魅了されることはあっても、彼女の作り出す世界観にこれだけ引き込まれてしまうのは初めてだったかもしれない。