✅スリランカやミャンマー、タイなどで伝わる上座部仏教(テーラワーダ仏教)と、中国や日本で伝わる大乗仏教の違いについて

 

上座部仏教(テーラワーダ仏教)

  • 歴史: 上座部仏教は、仏教の最も古い形態の一つとされ、釈迦の教えを直接継承しているとされる。
  • 地域: 主にスリランカ、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジアなどの南アジアと東南アジア地域に広がっています。
  • 教義: 縁起、四諦、八正道などの基本教義に重点を置き、個人の悟りを目指す修行が中心です。
  • 聖典: パーリ語経典(パーリ律蔵、スッタピタカ、アビダンマピタカ)を聖典としています。これらは仏教の初期経典とされ、仏陀の直接の教えと考えられています。
  • 実践: 個々の信者が自己の努力によって悟りを開くことを重視し、日常生活の中での瞑想と倫理的な生活を奨励します。

大乗仏教

  • 歴史: 大乗仏教は紀元前1世紀から紀元後1世紀にかけて発展し、仏教の新しい形態として現れました。
  • 地域: 主に中国、韓国、日本、ベトナム、そしてチベットに広がっています。
  • 教義: 大乗仏教では、自己だけでなく他者の救済も重視し、菩薩道を中心に据えます。菩薩は自らの悟りを一時的に延ばし、他の生きとし生けるものの救済のために働く存在です。
  • 聖典: 大乗仏教の聖典には、般若経や法華経などが含まれ、これらはパーリ語経典とは異なる新しい経典です。
  • 実践: 社会的行動、慈悲、そして他者を救うことに重点を置いています。また、祖師や禅などの特定の教義や宗派が発展しました。

両者の違い

  • 教義の焦点: 上座部仏教は、釈迦による最初の教えを保存し、個人の悟りを目指すのに対し、大乗仏教は他者の救済と菩薩道を重視します。
  • 聖典: 上座部仏教はパーリ語経典を基本とするのに対し、大乗仏教はそれ以外の多くの経典を受け入れています。
  • 修行と実践: 上座部仏教は個人の修行と瞑想に重きを置くのに対し、大乗仏教では社会的な関与と他者への慈悲行為が強調されます。
  • 普及地域: 地理的には上座部仏教は南アジアと東南アジアに、大乗仏教は東アジアに広がりました。

両者の共通点

  • 基本教義の共有: 縁起、苦、集、滅、道などの基本的な仏教の教えは、両派に共通しています。
  • 目指す目標: 最終的な目標は、苦しみからの解放と悟りです。
  • 道徳的教え: 善行を行い、悪行を避けるという基本的な道徳観は両派共通です。

上座部仏教と大乗仏教は、仏教の異なる解釈と実践を反映していますが、根本的な教義では共通しています。

それぞれの伝統は、異なる地域と文化に根ざし、独自の形で発展してきました。