天皇の料理番 | 酒井ミキオオフィシャルブログ「raintree」Powered by Ameba

天皇の料理番

 TBSテレビ日曜劇場「天皇の料理番」を観ている人はいますか? この枠、実に良作が多い。最近では「JIN-仁-」「とんび」「半沢直樹」「ルーズベルトゲーム」「流星ワゴン」などがあるが、どれも良かった(たまに「あれ?」ってなる作品もありますが・・・(笑)」。

 主人公の秋山篤蔵は、その移り気な性格が祟って何事も上手くいかない青年だったのだが、西洋料理に目覚めてからは人が変わったようにのめり込んでいく。時に真っ直ぐな気持ちが前面に出て人と衝突したりもするが、着実に、そして人より早く料理に才能を開花させていく。

 主人公の行動は、時に自分の若き日と重なり、時に憧憬を持って観てしまう。何にせよ心にグッと来るものがある。あの情熱、イカシてます。

 ドラマの中で「真心」という言葉が出てくる。料理は真心だと。後年、このように述べている。「ものを食うのは口や舌ではなく、魂が食うのだ。口や舌はごまかせても魂はごまかせない。真心がこもった食べ物は、だから何ともいえぬ味がある」と。

 考えさせられるね。これは料理だけに留まらない言葉だよ。確実に音楽にも通じる。そして自分の身を振り返りもする。果たして俺は出来ているのか?と。皆さんはどうですか?

 話は変わる。厨房には上下関係がある。今とは違い実力主義がまかり通る時代でもないわけで、主人公もその関係性の中にいた。しかし彼は人の倍も努力して実力をつけていく。次第に周りからも一目置かれる存在になる。

 それを快く思わない先輩はどこにでもいる。ドラマの中でもそれは描かれていた。人間のキャパの問題だが、狭い視野で生きていると目先の関係性でしか物事を考えられなくなり、出来る後輩に理不尽な嫌がらせをする。そういう意味であの役者、本当に上手かった。嫌がらせの天才(笑)。

 でも主人公は負けない。「出る杭は打たれる」と言うが、「出過ぎる杭は伸びる」を実践した。結局その先輩と衝突し、働いていた華族会館を辞めることになるのだが、その後の展開は次回以降を楽しみにしておこう。

 ドラマの中、華族会館料理長の宇佐美さんは日本に蔓延る年功序列的な考えでは日本フランス料理界は何も発展しないと考えていたようだ。そこで彼のようなやる気と才能をピックアップした。そこで嫉妬、ヤッカミが生まれた。

 人間社会は感情の雨あられ。本当に難しい。友人等から聞くと会社内でも色々あるようだ。足の引っ張り合い、裏での悪口等々。時に後輩が自分の上司になったり、百万の年収の差が妬みに変わったり・・・もう大変。

 料理人も音楽家も会社員も人生を歩くという点では同じ。やはりどこに視点を置くか?これが大事なんでしょうね。マクロとミクロという言葉も古くなってきた感はあるが、マクロは大事ですよ、やっぱ。無用な嫉妬の罠に陥らないためにも、あまり近視眼にならないよう心がけたいところですね。

 話がそれすぎた。個人的には今まで観てきた(とはいえ少ないが)料理ドラマの中では一番秀逸です。「道」というものが見えます。美味しそうな料理と、明治、大正、昭和と駆け抜けた彼の道を堪能したい。そして・・・大げさではないが、思わず自分の人生を考えてみたくなる作品です。ぜひご覧下さい。

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2015.06.27 sat.
SACT! recommend「子午線の歌酔祭」

出演:酒井ミキオ/片岡大志/石田匠
時間:open18:30/start19:00
料金:adv.3500yen/door4000yen 1drink別

予約方法:SACT!へ電話、もしくはメールにて
電話/050-7510-5158(15:00~22:00)
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