一瞬で来るよ | 酒井ミキオオフィシャルブログ「raintree」Powered by Ameba

一瞬で来るよ

 クリエーターに大きな壁となって立ちはだかるのが「最終決定者」。基本的には予算を握っている、もしくはそれに準ずる人。

 ミュージシャンの場合、事務所の社長であったりレコード会社のディレクター、プロデューサーであったりする。もちろんタイアップ先の偉い人ということも多々ある。

 例えば楽曲をリリースしたいのに、なかなかOKが出ずに悩んでいるミュージシャンがいるとする。最終決定者にOKを貰うために何曲も何曲も作りまくる。しかし全然ダメ。

 苦しい。日々が苦しい。周りからは「もっと楽に考えようぜ」「例えばこうしてみるとイイんじゃない?」等の慰めにも似たような言葉を貰う。もちろん第三者は彼のヒントになれば!と自分の経験からモノを言う。

 しかしモヤモヤっとした空気に包まれる心は変わらない。ふと気づくと、目的が最終決定者にOKを貰えばいいや!...という意識に陥ってしまっている自分がいる。いかんいかん!リスナーに良いと思われなければ!

 この自問自答はかつて僕自身も経験したので良くわかっているつもりです。いや、これを過去形にしてはいけないな。それは今後も続く葛藤なのでしょう。

 今、身近なミュージシャンがその苦悩の最中にいます。かつての自分とオーバーラップするので胸が苦しくもあります。僕は「頑張れ」と心でつぶやくことしか出来ません。

 ただ一つ言える事、そのピンチは成長へのチャンスでもあるということ。ここを越えると表現者としてワンステージ上がるよと。後年、現在を振り返ってみると、あの苦悩の日々が心を鍛錬してくれたんだと思えるようになるよと。

 何度か言ったけど、表現の視野を、世界を狭くしないで別角度から作ってみてはどうかな? 例えば自分が歌うと思わないで、誰かに提供するという気持ちで作ってみてはどうかな?

 自分が歌うものじゃないと思った曲が、実は一番自分らしい曲になるということもある。自分らしさとは自分では決められないものです。往々にしてそれは他者が決めるものなのです。

 却下を繰り返された結果、一体何が良い曲なのかわからなくなってしまう。なのでテクニックで思わず誤摩化す方向へ走ってしまう。すんごくわかる。

 でもこんな時だからこそエモーショナル! その情感を補佐するのがテクニックだよ。まずは爆発を! だからその心の爆発を誘導するための助走を意識する。心のフラット~高揚状態へ持って行くための呼び水が必要。

 一瞬です。一瞬で来るよ、そのメロは。それは頭2小節という原石かもしれない。でも原石が出来たらあとはイケる。テクニックという軍師が隣にいるから。黒田官兵衛ばりの補佐がね。

 締め切りは名曲の母。あなたには厳しくも愛情豊かな母がいる。大丈夫、イケる。

 本日はなんとなく応援日記です。