便利だから(お堅くてわかりにくい?話でごめん(笑)!) | 酒井ミキオオフィシャルブログ「raintree」Powered by Ameba

便利だから(お堅くてわかりにくい?話でごめん(笑)!)

 文明がここまで発展出来たのは、人類が様々な効率性を高めてきたからでしょう。例えば獲物を捕るために石を使い出した。例えば捕った獲物を安全に食べるため、そして暖をとるために火を使い出した・・・。

 素手で獲物を捕るよりも石を使ったほうが確実だ。生肉を食べるよりも焼いたほうが安全だ。そういう考えがなければ文明は発達しません。

 でも同時に石や火は武器になります。大小様々な争いの場でそれらは使用されたことでしょう。悲哀にくれた幾億の民がいたに違いありません。でも石や火の使用を禁止する!という流れにはなりませんでした。なぜなら便利だからです。

 その後も効率性を高める動きは止まりません。寒いから服を着る。重いから牛や馬を使う。記録を残したいから文字を開発する・・・。人類は欲望をフル回転させて文明を発達させます。

 我々現代人もそういう流れの中で生きています。昔よりはるかに速度の早い文明の発達の中で。食糧事情、エネルギー事情、医療事情も改善され、それに伴い人口も爆発しました。

 日本でいえば明治あたりまでゆっくりと約3000万人まで増えた人口も、その後爆発。今は百数十年前の4倍になっています。どうやら1000~2000年分の文明成長がわずか数十年で行われたともいいます。

 あれだけ死亡事故が起こっても車を手放せない。沈没しようが墜落しようが船や飛行機を手放せない。原子力についてもそうです。人類はただ一言「便利だから」の欲望には勝てないのです。というかそれこそが人類が人類であるべき存在理由かもしれません。

 人間は自らを愚かな生き物と言います。危険極まりない石や火、現代でいえば銃弾や爆弾を手放すことをしてきませんでした。今後、もし宇宙開発という方向へいくならば、我々の想像を超える未来の「石」や「火」が使われていくことでしょう。

 なぜ今我々がここにいられるのか?という人類の歴史的視点を欠いまま目の前の事象だけを見ると、物事の判断にミスが起こると思っています。まあ一介のミュージシャンが大それたことを言っても何の影響もありませんが、そういう視点を個人に落とし込むことは無益ではありません。

 わかりやすく音楽業界で言えば音楽が聴かれる媒体の変化でしょうか。かつては生演奏しかありませんでした。そして楽曲の記録として楽譜。その音を再生する蓄音機の誕生。丸型のレコード盤。そしてCD。今ではmp3等のファイル。

 おわかりの通り、この流れの背景には「便利だから」があります。きっと今後も発展していくでしょう。なんせコンピュータと人間の融合という流れがありますからね。どうなることやら。

 時にレコード世代の人はCDのことを馬鹿にしました。こんなペラペラの音は深みが無くて許せん!と。CD世代にも同じようなことが起こりました。mp3なんて聴けたもんじゃないと(もちろんそう言うのは一部の方々ですよ)。

 その気持ち凄くわかります。僕らはスタジオで試行錯誤しながら音を構築していきます。なのにその音の情報量が大幅にカットされ、かつイヤホンで聴かれ、曲によっては消費され忘れ去られていく。

 ミュージシャン、エンジニア含めた作り手の悲哀が聞こえてきます。でも人類は「便利だから」で文明を発展させてきました。そういう意味でmp3は圧倒的に便利なのです・・・いや、すでにYouTube等で完結している人が主流かも。

 それらを悲観するだけじゃいけませんし、規制や禁止、保護という流れの先に未来は無いと思っています。それよりも人間にとって「感動とは何なのか?」「エンタメの必要性とは何なのか?」というシンプルなことに答えがあるに違いありません。とはいえ明確なものが僕にある!とも言えません(笑)。ごめんね、言いっぱなしで。

 まあ今後は使い分け、住み分けが進むでしょう。「冷凍食品は便利だけど、今夜は足を伸ばしてあのレストランで食事!」「アメリカンチェリーもいいけどたまには佐藤錦!」という人が多くいるように、音楽でも同じようなことが起こっているのでしょう。

 リスナーやファンにとっての「レストラン」「佐藤錦」にアーティストはなるべきなのでしょう。というかそれがアーティストたる所以なんですけどね。文化には「便利だから」が効かないエリアがあるということです。ただその媒体は文明マターになると思うので、ここは「便利だから」が勝ります。オーディオ好きな人(音質にこだわる人)以外においては。

 そんなの知ってるし当たり前!と思う人、いるでしょうなぁ・・・今日のブログの内容。わかりにくい文章でしたが、僕が言いたかったことは決して復古主義に陥ってはいけないということです。

 歴史を眺めると一時的に復古主義が跋扈することもあったと思いますが、必ずトレンドは元に戻っています。そいういう歴史的マクロと日常的ミクロを自分の中に持ちたいですね!ってことです。僕が持ち得ているかは別問題ですが(笑)。

 ということで本日は終了。お硬くてわかりにくい?ブログでした。また明日以降・・・。