KBS WORLDは絶賛放送中ですが、現地での放送は終了したのでちょっとまとめた感想を。

 

総じて視聴率は悪かったですね……恐らくあの時間帯に見ている層が望んでいる王道の大引けドラマではなかったのがこの結果かと。

始まりはね、これはいつものイルイルドラマとは違うぞ?と思ったのですよ。

まず、お決まりの男女間の取り合いや記憶の喪失などが主役達に関しては当てはまらない。

エキセントリックな個性で話を引っ張っていく強い悪役が存在していない。

登場人物が極端に少ない。

わかりやすいテーマが無い…などなど。

なので、奇想天外な展開よりかはリアルな日常を描きつつミステリー的な要素を入れつつ展開していくのかな~と期待してました。

 

会社を乗っ取ろうとギョンヘ夫と愛人の精神科医が悪巧みをする時点でこのドラマの悪役はこの二人なんだなとは思いました。

だからといって、他の登場人物が全員善人なわけでもなく、会長も決して良い人では無いし(むしろ表に出さない分性質が悪い)、ギョンヘはそもそも人の心がわからないので、意識・無意識に人を傷つけるし。

実は一番悪い人はセヨンの育ての母であり、ギョンヘの産みの母親ではなかったのかなと。

元はこの人が子供を入れ替えたことによって起きた悲劇なわけなので。

と、話を見続けていかないと何が悪で何が善で、どう展開していくのか先が読めないという点が他の大引けドラマと大きな違いだったかなと思います。

ただ、あまりにも序盤の進みが遅すぎて、作者自身が迷走してるんじゃないかと思うほど、前進、後退、同じ悪行の繰り返しが続いて飽きた視聴者も多かったのではないでしょうか。

 

ギョンヘ夫と精神科医が会社を乗っ取る理由もそれほど強くないので、悪行を行なえば行うほど説得力が無くなるな…と。

ギョンヘの物語の初めからの心の変化を追っていくと、最終的に悪役にならざるえなかったのかという理由の方が説得力があります。

 

そして徹頭徹尾善人として描かれていたセヨン。

だけど、あまりにも心変わりが激しいな…っていうか単純。

30何年間片親(のちに再婚)の母親に大切に愛情持って育てられて、自分も母親のために頑張っていたはずなのに、いきなり登場した産みの母親に対してあれほどの愛情を抱くことが出来るのか?

同じく、それまで自分の孫の為にセヨンに罪を被せたり、何かとプレッシャーを与えていた会長が実は自分の祖父とわかった途端に自分の内臓を与えてまでも生きて欲しいと願えるものなのか?

この会長に対しての絶対的な信頼と尊敬の念は何なのか?

だってこの会長がそもそも工場事故に対して積極的な対処を行なわなかったことが事の発端でもあり、ワンマン会長ってことで裏では非道な事もやっていたわけですよ。

そのわりには周りが見えてないので要所、要所でギョンヘを救えたはずなのに放置してしまったりとか、傲慢な年寄でしょう。

結局何一つ解決しないまま亡くなり、後はセヨンよろしくとばかりに全ての責務がセヨンの肩に掛かってくるという事から見てもただの「老害」でしかない。

最後までセヨンは会長を神格化してましたけど、それほどの人物じゃねーよって思った視聴者は居たはず。

この辺りのセヨンの心の移り変わりに納得出来る理由が見えないので、視聴者とのギャップが最後まで埋まられなかった気がします。

 

誰かを心から憎んだり、愛する人を取り返すために生きてきたとか、そういう引きが強い理由があるのがジェジュンだけというのも弱かったなと。

しかも途中で、愛する人がその対象となった時点で20年間持ち続けてきた復讐心を放棄してしまうという、本来一番自由に滅茶苦茶に出来るはずだった役割を自ら降りてしまうという展開。

もうこの時点で、復讐自体がこの物語の中で意味を持たなくなってしまったんですよね~

セヨンが会長を見殺しにしたとギョンヘに復讐心を持とうが、ギョンヘが自らのアイデンティティを保つことが出来たウィナーズの後継者という身分を実の血筋であるセヨンに取って変わられたことにより復讐を誓おうが、それは結果論であって積年の恨みとは意味合いが違うんですよね。

なので後半は目先の事象に対して勝ったり負けたりの小競り合いの連続で、何について争っているんだ?という本筋がブレてしまった感じがします。

しかも、人死に過ぎ……たった半年の話なのに工場事故の犠牲者、会長、産みの親、育ての親、ギョンヘ夫と5人も死んどる。

猟銃使って人撃ったり、拉致しては精神病院入れたりと、都合が悪くなるとかなり乱暴な(粗い)展開が多くてこういう部分は非現実的でした。

 

全体を通して男女の関係よりも母親と娘、同世代の女同士の関係に比重が置かれていて、ラブラインは第三者が入らず二人の間で様々な問題を克服して結ばれるという点は良かったです。

個人的には一人の男や女を二人で取り合ういざこざって見ていてイライラしてストレスばかりが溜まるので。

ただ、当初三角関係になるかもと言われていたセヨンの幼馴染の刑事さんが途中から全く話に絡まなくなり、何なら登場すらしなくなったのはかなり気になりましたけど。

しかも、最後にその相棒だった刑事は唐突に登場して会長のいとこの化粧品会社社長と結ばれる?みたいな余韻を残したりして。

製作側とこの役者さんに何かあったのかな?と思わざる得ないような、端から「居なかった人」扱いになってました。

 

後、ファッション業界を舞台にした話も多いですが、このドラマではちゃんと服をデザインして作るという部分をおろそかにしなかった点が良かったなと。

しかもデザイナー目指している人としてのファッションをセヨンは毎日身に着けていたし、ギョンヘもお金掛けている衣装が多くてそのあたりは説得力がありました。

何でこんなにダサいの?っていうヒロインが今まで多かったので(苦笑)

 

自分が発する一言で思い通りに出来て、何でもお金で得られるのに何一つ満足出来なかったギョンヘが、自らの意思で動いて欲したものが最終的には何だったのか?

あれほど渇望していた母親の愛情は物語の後半には既に手に入っていたのに、それには飽き足らず地位も財産も名誉も全てを手中に収めようとしていたけど、結局一番欲しかったのは「必要とされる」ことだったのかな~と思いました。

セヨンにあって自分に無いものって人から必要されることだったんではないかと。

家族はもちろん、会長も室長も工場事故の遺族も、何なら悪行を重ねていたギョンヘ夫でさえ、それぞれ用途は違えどもセヨンを必要としてたんですよね。

でも、ギョンヘはそれが無かった。

必要とされた時もあったのに結局、経験値が少ないことからそれが本当に大事な事とはわからずに自ら手放してしまった。

最後の最後に母親が恨みを買ってまでもギョンヘを止めようとしたことでやっと「必要とされた」って感じることが出来たんではないでしょうか。

それに気づくにはあまりにも犠牲にした事が多過ぎたけど。

 

と、とりとめない話に終始してしまいましたけど、色々と語りたくなるお話だったのは確かです。

一筋縄ではいかない物語になりそうだったのに、要所要所でつまづいたり、軌道修正したりが多すぎて迷走し過ぎだったのも否めませんが。

でも、後続ドラマの陳腐さに比べると遥かにキャストも話も面白かったな~と一視聴者としては勝手なことを言ってしまうわけです。

 

個人的にはウニョンのお仕事増えるといいな~(コレばっかり)と切に願っております。

そして、早い所どこかの新聞がインタビューしてくれないかな~とも。

 

 

最終的にはかなり重要な役になった探偵さん。

 

 

超珍しい2ショット。

お似合いのカップルだったな~再共演して欲しいな~