4人がそれぞれの利己的な欲望をつらぬけば破綻へとは進まなかったのではないの?


自分の地位に固執するために回りの人間を利用し切り捨てる欲望に忠実なガンヒョク。

幼い頃に味わった屈辱を見返すために成功への道に執着するミンス。

過去を捨て新しい自分に生まれ変わるために幼い友情を切り捨てたファニ。

愛憎乱れる兄との確執から自分の側につく人間を探していたマリ。


各々が自分の欲望、野望を達成するためにどこまでも「非情」になるべきだったのに、

そこに憐憫や葛藤、愛情という感情を持ち合わせてしまった。

結局はそれがこの4人の関係を崩壊へと向かわせ、悲劇的な結末になったのよね。


まあ一番最後までブレなかったのはガンヒョクですけど。

でも結局自分のまいた種で先が無くなったしね。

マリはガンヒョクに勝つために手を組んだミンスを

本気で愛してしまったことによって悲劇を迎えるし。

ミンスは自分を傷つけたファニを見返すつもりだったのに、

再び出会ってしまい、自分が執着していたものに迷いが出てくるし。

ファニは過去を捨てたのに、傷つけてしまったミンスに出会い

今の幸せが何なのかわからくなってしまって。


ミンスとファニに果たして「愛情」が芽生えていたのかどうかはよくわからない。

幼い頃の「思い」が大人になって「愛情」へと結実したのか?

思い出はかくも美しく…の粋を出ないのか。

ファニがマリに対して言う「(ミンスは)自分にとって自責の念と、

憐憫と傷でしかなかったけどこれからはわからない」

というセリフで想像できる部分もあるけれど。

これで二人が堂々と好きだーと宣言するなり、愛の逃避行でもしてくれれば

まだガンヒョク、マリ兄妹には救いがあったような気がする。

あまりにもミンス、ファニがはっきり意思表示もせず、でも思い会っている様子は

伺えて、というなんとも煮え切らないところが、マリの最後のブチ切れ度を

上昇させたのではないのかな。

一度もミンスもファニも互いに愛の言葉は吐かないし、ファニが一度だけお願いして

ハグしたぐらいしか愛情表現は無いのよね。

でも互いに見つめる表情や微妙な距離感、困った時に側に居て欲しいのは

ガンヒョクやマリではなく、ミンスでありファニであって、結局は必要としているんだよね。


そんな二人に振り回されたガンヒョク、マリ兄妹も悲劇です。

彼らは彼らなりに真摯に愛情を表現していたわけだから。


派手な演出があるわけでもなく(前半の香港ロケはそれなりだったけど)、

チャ・インピョとチョ・ジェヒョンの目ヂカラ対決というか表情とセリフの応酬が

見物のドラマだったような。

しかし、視聴率悪かったのね~。まあ、ありきたりの愛憎劇といえばそれまでだけど

必要以上に愛を語る上で無意味な(オーバーな)表現がなかったのが良かった気ましますけど。


チョ・ジェヒョン…上手いと言ってしまえばそれまでだけど、とにかく表情が素晴らしい。

          特に泣き顔と泣き方が美しい。

しかしユン・ソナと同じ年の設定はムリないか…(苦笑)


チャ・インピョ…ワル顔です。どう見ても御曹司には見えない。特にサングラス姿は(苦笑)

         あの髪型もどうなの?しかしあの目ヂカラはスゴイ。

         あまり得意な役者さんではないけど。この役は合ってたと思う。


ユン・ソナ…いつ見ても、何見ても薄幸の美女。なんでいっつも寂しそうなんでしょう。

       スタイル良いし、顔もキレイなんだけど大して印象に残らない人なんだよなー。


キム・ヒョジン…あの三白眼が苦手です。ジソプの目と一緒。

          ワガママなお嬢様という設定を憎らしいほどふてぶてしく演じていて

          好き嫌いは別として上手だった。本当にイヤな女に見えたもん。


しかしタイトルの「香港エクスプレス(香港特急)」っていう意味がわからん。

香港には特急はありません(笑)