最近の旅では「歩く」事がメインになっていると言っても良い私。

もちろん今でも「旅の原動力=食い意地」ではあるのですが、コロナ禍で旅を制限されて以来「街の空気を感じて歩く」という事がとても貴重な事であるという事を実感したのです。


以前なら目的地から目的地へと点と点を繋ぐように公共交通機関やタクシーを使って移動していましたが、歩くと街を面で感じられるようになり、いろんな発見をする事が出来るのです。


そして、今回ご紹介する「日本ときどきアジア 古道歩き」の著者である下川裕治さんの旅と言えば、海外で鉄道やバス、船に長時間揺られる旅が印象的であります。



日本国内での快適な公共交通機関が当たり前だと思っている私。

海外の国の乗り物での旅(あまりにも長時間乗らねばならない、ありえないぐらい揺れる、明らかに定員オーバー…など)は読んでいるこちらまで尾骶骨が痛くなりそう。


しかし、そんな下川さんの旅もコロナ禍を経たからなのか年代的なものなのか、最近は海外の旅に加えて日本国内について書かれたものを読む機会が増えました(最近も下川さんのYouTubeのチャンネルで長距離歩いて訪れた初詣についての動画を見たばかり)。


そして、今回の本は「歩く」という移動手段がメインである旅です。

第一章は熊野古道を歩く旅(かなりハード)から始まります。

第二章は薩摩から琉球へ向かう海古道、第三章は朝鮮通信使が日本に向かうために歩いた鳥嶺古道、第四章は台湾原住民の生活の道であった馬胎古道、第五章はバンコクから陸路で国境を越えて向かうアンコール古道の旅でありました。


第一章の熊野古道と言えば一時期(世界遺産に選定された頃)ブームになっていた印象がありますが、実は熊野詣でブーム(?)はさらにさらに昔から始まっていたとの事。

平安時代には「修行」として熊野詣でをする事が皇族や貴族の間で流行り出し、そこから一般の人々まで広まったというのです。


そんな熊野古道、わが家からは比較的訪れやすい場所にある古道でもあります。

…しかし、あまりにもハードそう(ほとんど登山と言って良いかと)なので正直言って行きたいとはあまり思えない…。


とは言え、古道を歩きながら歴史を感じるのはとても趣深い旅なんだろうなぁと思います。

そんな熊野古道、(今作品によれば)現在では海外からの旅行者が多いのだそう。

私も今作品に出てくる古道では、どちらかと言えば海外の国である台湾か韓国の古道を歩いてみたいと思いました。


ただ、台湾の馬胎古道は新竹から出ている台鐡内湾線の内湾駅を起点にして歩く旅。

山を棲家とした原住民族の生活の道という事で険しい山道であるようです。

おまけに超苦手な吊り橋まで通らなければならない、という事でやはり私には無理かも知れません…。



結局「歩く旅が好き」と言いつつ、歩くのは街オンリーという自分自身の軟弱さを思い知らされた一冊でもありました。


これからもウォーキング頑張ろ…。