タイのドラマを観る時、わが家では主にU-NEXTかCSでという事になるのですが、実は作品によってはありがたい事にYouTubeで見る事も出来ます。
タイのテレビ制作会社、およびタレントエージェントを行うエンターテイメントの複合会社は制作したドラマをYouTubeでオンエアしたり(または各配信サイトで)するので、日本からでも基本的には見る事が出来るのです。
ただ、ジオブロック(特定の地域からの視聴を制限する事)されたり、言葉の問題があったりして全ての作品をYouTubeで楽しむ事は出来ません。
しかし、時々ジオブロックされず、有志による日本語字幕がついている場合もあるのです。
それがすごく観たいと思っていた作品であれば、喜びも倍増!
そんな喜び倍増状態で完走したのが、今回ご紹介する作品、「Only Friends」なのです!
↑本国タイやアジア各国(日本含む)だけでなく、中南米や欧米でも話題だった「Only Friends」。
それだけリアルな若者の世界を描いたという事なのでしょう。
↑愛読している「タイドラマガイド D」の最新号で結構なページを割いて紹介してあり、「そうだ、これ見たかったやつだ!」と思ってダメ元でYouTubeを見てみたら日本語字幕付きで全エピソード見られたという(感涙)。
普段見ているタイBLドラマは純粋な愛情、見ていてほっこりするような友情が描かれており、画面からは美しい彼らの姿と相まってきらきらとした光が溢れ出ているように見えます(特に私のような荒んだおばさんには)。
私が好む「BLドラマ」は主に男性同士の恋愛を描いているので、当然若い彼らが愛を交わすシーンなども登場するわけですが、お互いがお互いの事を真剣に愛し、思いやりを持って行為に挑んでいる(大抵どちらかは初めてだったりもするし)ので、見ているこちらとしてもそんな姿に感動すら覚えてしまいます(ほんとよ)。
しかし、「Only Friends」で描かれているのはそんな生優しい世界ではありません。
裏切り・身体だけの関係・復讐・トラウマ・アルコールやドラッグへの依存、嫉妬や執着など、センシティブであり、衝撃的な感情や出来事が次から次へと発生するのです。
登場人物たちが経験するこれらの問題は、この作品の監督であるJojo監督とNinew監督の実体験であるとの事。
今まで観ていた、まるでおとぎ話や夢物語のようなきらきらできゅんきゅんなBLストーリーとは違い、こっちがリアルな世界だという事なのかも知れません。
↑両監督と出演者たち。
負の面も大いに描かれているので、これまで「きらきらできゅんきゅん」なBLストーリーに出演していた彼らにとっては負担が大きかったのかも知れません。
ではでは、これ以上前置きが長くならないうちに作品をご紹介していきましょう。
①ストーリー
経済学部の卒業論文としてホステル事業をプレゼンテーションしたMew、Ray、Namchueam、Boston。
これを実際に事業としてやってみようと各々役割を分担して取り組みます。
そこに加わったのがリノベーションやデザインを担当するTop。
名前同様何から何までトップレベルのTopは真面目で初心なMewを一目で気に入り、アプローチを始めます。
しかし、これまで軽い付き合いだけをしていたTopは過去にBostonとも関係した事があり、またRayは親友であるMewにずっと思いを寄せていたのでありました。
そこに彼らが集まるクラブのシンガーであるSandや、Bostonの恋人になりたいと願うNickが絡み、一見平穏だった彼らの友情は崩れ始めてしまいます。
②登場人物
・Top(Force)&Mew(Book)
ホステル事業ではリノベーションデザイナーを担当するTop。
大手ホテルの御曹司である。
これまで真剣な付き合いをせずに3ヶ月限定の軽い付き合いを楽しんでいたが、Mewと出会って変わり始める。
ホステル事業で財務を担当するMew。
真面目で恋愛に対しては奥手である彼だが、Topからの猛アプローチにはついに陥落。
・Sand(First)&Ray(Khaotung)
Mewたちの溜まり場であるクラブで歌手をしているSand。
実は彼らと同じ大学に通っている彼だが、学費・生活費を自分自身で捻出しているので密造酒(って梅酒なんですが…)を作って売ったりもしている。
世界中のフェスを巡るのが夢(最初にフジロックとサマソニって言ってくれて嬉しかった)。
資産家の息子であるRay。
ホステルに使う建物はRayの家の持ち物であり、その建物を提供してもらった上にリノベーション費用なども父親に出してもらうという…。
アルコールに依存しており(そして酒癖も相当悪い)、いつものように飲んだくれた上に飲酒運転をしようとしている所を止めようとしたSandに出会う。
それをきっかけにSandと親しくなるが(身体の関係も)、実は密かにMewを思い続けるRayなのであった。
・Boston(Neo)&Nick(Mark)
性に対して大層奔放であるBoston。
気に入れば誰とでもどこででもヤッてしまう。
経済学部に通っているが、本当に勉強したいと思っている事は写真。
卒業後にはNYへの留学を考えている。
Topとも一度だけ身体の関係を持った事があるが、2度目は無かった。
そんなTopがMewに対して積極的になっている事が面白くない。
実家のITショップを手伝っているNick。
そこに客としてやって来たBostonのスマートフォンの修理を受け付ける。
アニメ映画の制作に関わるのが夢。
最初は身体だけの関係で納得しているふりをしていたが、いつしかBostonの恋人になりたいと願い始めたNickがとったある行動が彼らの友情、そして仲を壊すきっかけとなり…
・Namchueam(Lookjun)&April(Nonnie)
ホステル事業の紅一点であるNamchueam。
面倒見が良いためグループではお姉さん的存在でもあり、時には仲間を激しく叱りつける事も。
実家は食堂であり、弟・Atomがいる。
↑Mewとの仲が拗れてしまったTopもChueamに相談。
最初は親友であるMewを裏切ったTopに激怒していたChueamだったが、真剣に後悔しているTopを見て親身になってあげていた。
Namchueam(みんなからは「Chueam」と呼ばれている)の恋人であるAprilは映像制作専攻。
Chueamが「Aprilの作っている映画は難しくてよくわからない」と仲間にこぼした事が発覚した際は傷付きながらも「これからはちゃんと私に言って欲しい」と仲直り。
波風が立ちまくっている仲間たちの恋愛とは違い、彼女たちの仲はそんな感じで安定している。
③彼らの関係は…
Mewと順調に付き合っているTopに対して嫉妬し、再びちょっかいをかけるBoston。
そんなBostonのちょっとした策略にハマり、ヤッてしまうTop。
何とその様子をNickによって盗聴され、さらにその音源をTopと過去に因縁があったSand(Nickのルームメイトでもある)によって盗まれ、Rayの手に渡ってしまいます。
Sandと仲を深めつつも、やはり心にあるのは長年片思いしているMewであるRayは仲間の前でぶちまけてしまいますが…
Topの裏切りを知ったMewは、恋人と友達による自分に対しての酷い仕打ちに傷つき、「わからせてやらないと」と復讐する事を思い付くのでした…。
↑「復讐する事」に思い至ったMew。
美しいBookくんのこの表情が怖かった…。
そんなMewは「Rayだけが自分をずっと愛してくれた」と言ってRayと付き合う事にします。
彼らは2人して酒に溺れ、堕落した生活を送るようになったのでした。
↑「魔」と「波瀾」のハロウィンパーティー。
ジョーカーとハーレイクインの衣装に身を包んだ2人は酒を飲みまくったり、ドラッグに手を出したり。
騒ぎ過ぎて通報され、警察にまで踏み込まれたホステルでのハロウィンパーティー。
アルコールとドラッグでボロボロになったMewを一生懸命に世話したのはTopなのでした。
↑ハロウィンパーティーでのTopは軍人さん?
ノムノム的ベストコスチューム賞を差し上げたいぐらい決まってます(制服に弱い私)!
その一件を境にして、少しずつ改善の兆しを見せ始めるTopとMew。
Rayも本当に愛しているのはSandだと気付きます。
MewとRayは円満に恋人関係を解消し、また友達に戻ったのでした。
↑飲酒運転が原因で事故を起こし、社会奉仕を課せられるRay。
そこで子供たちに音楽を教えるRayに付き合うSand。
しかし、社会奉仕活動は何とかこなしていたものの、精神科医によるカウンセリングには二の足を踏んでいるSand。
ある事を誤解してSandを遠ざけてしまったRayでしたが、真実を知り、Sandに対する本当の気持ち、後悔を涙ながらにカウンセラーに語るのでした。
↑このシーンでのKhaotungくんの演技は圧巻でした。
TopとMewもまた付き合い始め、SandとRayも晴れて恋人同士に。
Bostonさえも、NYに行くまでという期間限定でずっと自分の事を見守ってくれたNickの彼氏として過ごす事にしました。
↑ありのままのBostonを受け入れたNickでしたが…。
許す、だけど忘れはしないという結論を出したMew。
悪い習慣を断ち切り、前に進む事を決めたRay。
Mewと共に歩いて行きたいと願うTop。
仲間と別れ、自分らしさを追い求めるBoston。
自分の夢を恋人と共に叶えるという目標が出来たSand。
自分を愛し、大事にしようと決めたNick。
そんな彼らはまだ若く、未来がどうなるのかは誰もわかりません(ごく近い未来でさえそう)。
彼らの友情の結晶でもあるホステル(その名も「Only Friends Hostel」!)の開業日、その事を予感させるような1人の客がやって来たのでした…。
☆「Only Friends」はYouTubeで!
以上、エモーショナルでセンセーショナルな話題作「Only Friends」のご紹介でした。
内容自体はとても衝撃的でしたが、彼らが最後に出した結論、結果には涙せずにはいられません。
普段はロマンティックコメディーやドラマチックな作品に出演している彼らの体当たりな演技と表現力の高さに驚かされました。
アイドル的な活動をする事も多い彼らはいつも笑顔で私たちを幸せにしてくれていますが、本当に素晴らしい俳優たちであると思います。
そして、また名作に出会えた事に感謝しています。
*次はForceくんBookくんの「A Boss and a Babe」(王道のラブコメ)を観る予定!
こちらもYouTubeで日本語字幕付きで見られます。ありがてぇ〜。