府中街のつき当たり(台湾黒輪がある所)に交差する、開山路をしばらく歩き、城隍街という通りに入る。


*前回の台湾滞在記はこちらからどうぞ!


この辺りに、前から行ってみたかった「開運修眉」というお店がある。

そこではその名の通り、自分の顔相に合ったベストな眉に整えてくれるという大変興味そそられるスポットなのだ。


この店に関しては、数年前にテレビ番組で台南・花園夜市にて同様の店を取り上げていたのを見て知った。

そういうのが決して嫌いじゃないので、案の定思いっきり食いついてしまう(この店は今回行った店では無いかも知れないが)。

その後、台湾コーディネーターの青木由香さんが雑誌の台湾特集号で取り上げられているのを見て「ここだ!」と密かにGoogleマップに印を付けていたのである。


しかし、そのGoogleマップによるとこの店は1日のうち午前9時30分から昼過ぎまでというごく僅かな時間しか営業しておらず、眉を整えてくれる先生の都合で突然休みになったりする…という事らしかった(SNSにて告知あり)。


9時30分の営業時間に何とか間に合ったが、やはりまだ店は開いていなかった。

しかし、すでに数人の客が待機している。


↑このお2人が一番乗りさん。

仲良しカップルでご来店である。


私も邪魔にならなそうな場所で開店を待ったが、さてどうしようか…。


ただでさえ時間が少ない今回の旅なので、この待ち時間すらちょっと惜しい。

しかも、私の前に数人の人が並んでいるという事は、自分が施術してもらうまでに1時間ほどかかるかも…。

しかし、やたら絶賛されているクチコミを読むとやはり体験してみたい…。

そんな事を考えながら15分ほど経った頃、ようやくこの「開運修眉」の主であるPatty先生がお出ましになった。


私は普段少しの時間も待ちたくないタイプである。

いくらその店が目当てで街までやって来ても、列が出来ていると「今日はやめとこうか」と言ってしまう、典型的な「いらち(せっかち)の関西人」だ。

しかし、このPatty先生にお会いした瞬間そんな事は吹き飛んでしまう。

とにかくこのPatty先生、まるで太陽のようにその場の空気を一瞬で明るくしてしまう方なのである。

はっきり言って、そんな人に出会ったのは初めてだった。


先生は、私が日本人である事に気付くと歓迎してくださり、「何を見て来てくれたの?」と興味津々である。

先生とは日本語・英語でのコミュニケーションはあまり取れなかったが、身振り手振り、また私が知っている数少ない単語(台湾華語の)を使って何となくではあるが意思疎通をはかった。


待っていた数人のお客さんたちと一緒に看板を出したりして開店の準備を手伝う(そういう事も当たり前に出来る空気感なのである)。



ようやく準備が完了したので店内に数席分用意されていた椅子に腰掛け、おとなしく自分の番が来るのを待つ。

目の前で他の方が施術されるのを見る事になるわけだが、これが見ていて全く退屈しない。


先生は手早く客たちの眉を整え、施術の最後に「祝你好運!Lucky Lucky Lucky!あなたに幸せが来ますように(ここは日本語で)!」と言ってくれるので、施術された方は「収到謝謝(シュウダオシェシェ)」と応えるのである(予習していった)。


初めて見る光景に、そしてとても温かい空間にいる事に感激して思わず拍手してしまう私。

そんな私に周りの方もにっこりしてくれる。

あぁ、いいなぁ。


自分の番を待っている間も、次々と別の人が訪れる。

ちなみに「眉毛サロン」と言うと日本では女性が行く事が多いと思うが、ここは男女半々ぐらいの割合だった。

もちろん、眉を整えてもらうと言う目的の人も訪れると思うが、こちらで眉を整えてもらい「開運」したいと願う人々が多いのだろう。

と言っても、肝心の眉もとても綺麗に整えてくださるのでご安心を。


↑眉毛整え中のPatty先生。

ちなみにこの男性は超イケメン。警察官(!)である。

何と「お手柄警察官」として地元紙に載ったらしく、WEB版の記事を見せてくれた。


さて、いよいよ私の番が来た。


ここ数年眉毛の手入れと言えば顔の産毛を剃るついでにフェリエで長さを整えて余計な部分を抜いたり剃ったりする程度の事しかしてなかったからか(たぶんそう)、先生は他の人たちよりかなりじっくりと私の眉に取り掛かってくださった。


私の眉は一見しっかり生えているし、形も眉山がしっかりとあるタイプなので描きやすいように思われるのだが、生え方に癖があったり、眉尻にあまり毛が無かったりしてなかなか厄介なのである。

これまでにもコスメカウンターで眉メイクをしてもらってる時に「しっかり眉毛が生えてらっしゃるので…アレ(やりにくいな)?」的な反応をされる事が何回もあった。


先生はしきりに「眉尻をブラッシングして!」というアドバイスをくださる(生えてくるらしい)。

先生、ブラッシング頑張ります!

眉尻が生えてくると良いんだけどなぁ…。


そして、いよいよ仕上げ。

手鏡を渡してくださったので、鏡の中の自分を見てみると…


え〜っ!めちゃくちゃ眉毛変わった!

すごくすっきりしてるし綺麗になってる(眉毛がね)!!


そして、驚く事に顔色まで明るくなってるのである。

先生も「顔も明るくなったでしょ?」と嬉しそうに言ってくれた。


これは驚き!

先生が作ってくださった眉をキープ出来れば良いのだけど…。

って言うか、台南に住んで定期的にここに通いたいなぁ。


実際に住むのは無理だけれど、これからも台南を訪れる度にここに通う事を決心した。


そして、例の「祝你好運!Lucky×3!あなたに幸せが訪れますように」というお言葉を頂き、「収到謝謝」と返事して代金250元也をお支払いする。

細かいお金が無くて(用意しとけば良かった…)1000元札をおずおずと差し出す私に嫌な顔ひとつせずに750元を返してくださる先生。


さぁ、お暇しようか…と「老師、謝謝!」と席を立とうとすると、「看板の所に立って写真を撮らせて!」とおっしゃるPatty先生。


↑「台南開運修眉」のfacebookページ。私も載っております…。

会話の中で「台湾に来た事が20数回ある」と言ったのを先生は「台南に20数回来た事がある」と思われてしまったようだった。

訂正出来る語学力がなくて、先生に勘違いさせたままな事が本当に申し訳ない…。


すると、「ねぇねぇ、コーヒー飲まない?奢るからさ!」とありがた過ぎる言葉を掛けてくれ、魚のフライ(美味しかった!)まで分けてくださる先生。


↑ちゃっかり奢ってもらってる私。

ちなみに先生はコーヒーを出前で注文。

便利な世の中になったものよのう…。


その後は他のお客さんも交えて台湾談義に。

1人英語が堪能な女性がいらっしゃって、私の拙過ぎる英語で意思疎通をはかる。


その方は「日本人は台南を見て『懐かしい』って感じる人が多いようね」と仰ったので「確かに!私は生まれ育ったのが京都なので特に台南は懐かしく感じるかな」と言ったら「やっぱり!」と嬉しそう。

「建物・建物・廟、建物・建物・廟…って感じで建ってるのが京都にそっくり」と言うと、「なるほど〜」。


「台南のお年寄りは今も日本語を話す人がたくさんいるのよ」とも仰られていた。

「日本が統治していた時代に育ってるからね」と続ける彼女。

そういう話を台湾人とするのはこの時が初めてだったので、とても神妙な気持ちになって聞く。

台南には今もその時代の遺物が多く残っている。

それは目に見えるものも見えないものもあるのだ。


少ししんみりしてしまったが、その時先生と他の人たちが「日本人は小籠包が好きよね?台南にもあるよ!」と台南の有名小籠包店を教えてくれた(今回は行けなかったが…)。

そして「この後はどこに行くの?」と訊かれたので、この「開運修眉」の近くにあるお店にいくつもりです、とスマホのGoogleマップの画面を見せると「あ、そこ知ってる!」と盛り上がる一同。


そのお店は台湾さんぽの達人である奥谷道草さんが台南の方から教えてもらった店を紹介してくださった所だった。

という事で、やはり地元の人々にもよく知られているのだろう。


さらに、先ほどの女性が「この近くにファーマーズマーケットがあるから行ってみたら?」と教えてくれたので、目的の店に行く前にぶらっと歩いて立ち寄ってみようかな…と思ったら、Patty先生が驚きの提案をして来られる。


「!?!?!?」とびびる私。


申し訳ない。以下次回に続く…。