それは一昨日の事。

いつものように「何か面白い動画はないかな〜」とYouTubeを見ていたら、ある映画の予告動画が上がっていました。


「不朽の名作」と名高い「さらば、わが愛 覇王別姫」の4K版の予告です。



そう言えば、今やってるんだったな…と思って見てみると、唐突に


これは観ないといけない!


と思い、「で、大阪ではどの映画館でやってるんだろう?」と思って検索すると、「シネ・リーブル梅田」で公開中でした。


シネ・リーブル梅田…。


シネ・リーブル梅田は大阪の観光名所の1つであるスカイビルにある映画館です。

スカイビルには私も何度か大阪観光のお供(アテンドではなく、ただついて行くだけ)で行った事があります。

行った事がある人にはわかると思いますが、スカイビルはなかなかに行きにくい所に建っています。

梅田に行きやすい所に住んでらっしゃる方はともかく、泉州地方の一角に住んでる私には若干「めんどくさ…」と思わなくもない場所であります。


しかし、どちらかと言えば映画館にわざわざ足を運ぶ時にはミニシアターでやっている映画を観に行く事が多い私。

あまり積極的に映画館に行く方ではないのですが、数年に一度の割合で発作的にシネ・リーブル梅田で上映している作品を観に行きたくなるのです。


↑台湾が舞台の「パラダイス・ネクスト」や「ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。」を観に行ったのもシネ・リーブル梅田でした。


という事で、炎天下をえっちらおっちらと歩いてスカイビルまで行って来ました。


↑グランフロントにいる緑のクマちゃんも暑そう…。

正面に見える建物がスカイビル。

こう見ると近そうに感じるけど、到着直前に地下道を歩かねばならなくてちょっとめんどくさい。


しかし、暑い中えっちらおっちら歩いて行って本当に良かった!

やはり、「さらば、わが愛 覇王別姫」は名作でした。



この映画が製作されたのは1993年(30年前)ですが、全く古臭く感じません。

そして、とにかく主役のレスリー・チャンが美しくて目が離せませんでした。


今も頭の中には劇中に何度も登場した京劇「覇王別姫」のシーンや音楽がずっと鳴り響いています。

エンドロールが流れ、最後に「劇終」の文字が登場した時も「立たなきゃ」と思ったものの一瞬立ち上がれなかったほどでした。


映画の内容をざっとご紹介します。

京劇の劇団で「兄と弟」として幼い頃から一緒に育ち、厳しい稽古に耐え抜いて来た石頭と小豆。

やがて成長した2人は劇団のトップスターとして君臨し、幼い頃に夢見たように2人で「覇王別姫」を演じています。


「覇王」役は段小樓(石頭)、そして虞姫を演じるのは程蝶衣(小豆)。

愛し合う舞台の上の2人のように、蝶衣は小樓の事を兄以上の存在として思っていますが、小樓はある日遊郭で働いている遊女・菊仙と結婚すると言い出して…。


↑私のショボい説明よりご本家公式サイトを読まれる方が絶対良いと思います。


☆いつも楽しみにしているmangoさんのブログにこの映画について詳しく紹介されている記事があります。必読!


映画の内容に関しては↑のリンクを読んで頂くとして、私が特に触れたいのはこの映画の時代背景です。


物語は民国期から始まり、日中戦争期から太平洋戦争の終結、その後国民党が統治する中華民国から中華人民共和国へ…と激動の時代です。


私は台湾に行くようになってから台湾という国に日本が統治していた時代があり、日本の敗戦後中国大陸から国民党軍がやって来て台湾を支配し、混乱と数々の悲劇があった…という事をようやく知ったのですが(本当にお恥ずかしい限りです)、その頃の中国国内もまた混乱の時代であったのでした。


そして、ついに京劇にも大きな影響を与えた文化大革命が発動されます。

京劇は「王侯貴族の支配階級を賛美するもの」として批判され、蝶衣、小樓、菊仙の運命も大きく変えられてしまうのです。


物語の始まりと終わりには11年ぶりに「覇王別姫」の舞台で共演する蝶衣と小樓の姿がありますが、その結末は…。


最後になりましたが、今年は2003年に46歳という若さで自ら命を絶ったレスリー・チャンの没後20年という年でもあります。


私がレスリー・チャンの姿をスクリーンで見たのは1997年に公開された「ブエノスアイレス」以来でしたが、その作品を見た時も彼の妖艶さに目が釘付けになった事を覚えています。


なぜ彼がこの世を去ってしまったのか、という理由は私にはわからないし想像もつきませんが、どことなく程蝶衣に重なるような俳優・人物であったのかも知れません。


ただ、彼にとって「程蝶衣」という役はそれほどにも当たり役だった…という事はきっと真実なのでしょう。


↑パンフレットも今回の公開に合わせて新しく作られたものでした。


そろそろ公開も終了に近づき始めているこの作品。

いつも配信やソフト化されたものばかり観ている私が言うのも何ですが、この作品は劇場で観ることを心からお勧めします。