今現在、まだ行った事がない国の中で最も行ってみたい国はタイです。
最近ではタイのドラマにはまって…というのも大きな理由だし、それ以前にも雑誌などで見るかわいいものがタイ発のものであったり、実は美容大国だったり…と何かと興味をそそられるのがタイという国だったのです(もちろん世界三大料理であるタイの美食も!)。
しかし、一番の理由はこちら。
下川裕治さんのタイに関する著書を読んで、強く惹かれたのがこんな一文でした。
タイでの旅が終わりに近付いた頃、まだ昼間の暑さが残りながらも風が心地よいチャオプラヤー川沿いにあるお店でビールを飲む、という場面です。
私も飲みたい!旅の最後にチャオプラヤー川でビールを…。
旅の心地よい疲れに風景とビールがいかにも滲みそうではありませんか。
それ以来、なかなか実現出来ずにはいますがタイに行きたいと願っています。
さて、そんな下川裕治さんの新作が発売されました。
下川裕治「コロナ禍を旅する タイ編」
↑現在はKindleで電子書籍のみの販売ですが(しかもKindle Unlimited!)、紙版の書籍も遅れて販売になるそうです。
下川さんはタイに縁が深く、コロナ禍前は毎月1〜2回バンコクを訪れていらっしゃいました。
本当に大きなお世話ですが、コロナ禍に入ってそんな下川さんの毎日はどう変化してしまったんだろう?と思っていた私です。
下川さんの著書の大半は海外での体験を基に書かれたものだし、旅に出られなくなったら下川さんが書かれたものが読めなくなってしまう、とも…。
*しかし、そんな私のくだらない心配はもちろん杞憂にしか過ぎず、国内での旅や日本にあるアジアの人々が深く関わっている場所についてのご本を書かれています。
それらの本ももちろん楽しく興味深く読ませて頂いていましたが、やっぱり世界を、特にアジアを旅する下川さんのご本が読みたい!と思っていた私…。
でも実は、そんな時期にも精力的に世界を旅されていたのです。
という事で、コロナ禍に突入してから初めての旅について書かれたのが今作「コロナ禍を旅する タイ編」なのです。
現在、日本から観光でも行け、比較的行きやすいとされている主な国(エリア)がハワイであり、韓国であり、タイです。
中でもタイはわりと早くから観光目的の渡航者に対して門戸を開いていました。
そんな中決行されたのが、下川さんの一年ぶりのバンコク旅でした。
しかし、いくら海外からの渡航者に対して門戸を開いていると言っても、ようやく本当に海外へ旅行する人が増え始めたのは、この2022年の夏ぐらいからではないでしょうか。
それまでに日本から海外へ出かけて行った人は仕事であるとか、その国の国籍を持っている人やその家族など、限られた人が大半だったと思います。
なぜならば海外へ旅することには多くのハードルがあった(ある)からでした。
まず、観光目的での入国は認められない国が多かったし、タイのように入国が認められている国でもあっても出国前にはいろんな書類を用意したり、検査を受けたり、保険に入ったりせねばなりませんでした。
その分費用も多く掛かります。
今ではそういうハードルも1つずつ消えて行ってはいるようですが、その頃はそれらの他にもう1つ大きなハードルが立ちはだかっていました。
それは「隔離」です。
今作では主にそんなたくさんのハードルについて書かれています。
だから、バンコクの街やバンコクの街でされた事についてはほぼ触れられていません。
しかし、その間海外には一度も行っていない私にとっては非常に興味深い内容です。
バンコクのホテルでの隔離生活に関しては、この5月に入院生活を送った私から見れば、少しだけ似ているなぁと感じました。
もちろん私は個室に入っていたわけではないし、他人と全く遮断されていたわけではないので厳密に言えば違うかも知れません。
しかし面会を禁止され、食事も施設から用意されたものを食べ、健康管理をされる(病院でも入院時を含め2回のPCR検査を受けた)…という面ではやっぱり少し似ていると思ったのです。
少なくとも、自由が全くないという面ではよく似ていると思います。
話を戻しましょう。
このバンコク旅で下川さんは2週間(バンコク)+2週間(日本。3日間のホテル隔離と自宅隔離)の計4週間の隔離生活を送られました。
下川裕治さんは作家という職業上、その期間は「書く」という作業に費やす事が出来ますが、一般的にはやっぱりこの「隔離」が海外旅を阻む最大の難所です。
☆何と!下川裕治さんのYouTubeチャンネルがあったとは!
昨年のこの頃と今ではずいぶん状況が変わって来てはいますが、それでもまだコロナ禍前に戻ったとは言えません。
私が最後に海外に行ったのは2020年の2月の台湾旅行でした。
今作にも書かれているように、「新型コロナウィルス」というものが未知のウィルスだった感染拡大初期には「同調圧力」が少しずつ激しさを増して行きました。
私もこの台湾旅に出る前にはいろんな意見に悩みましたが、どっちにしても「行かない」という選択は出来無かったように思います。
この作品で書かれている旅を終えた下川さんは、「エジプト・エチオピア・世界一周・カンボジア・ラオス・バングラデシュ……(あとがきより)」とその後もコロナ禍(っていつまで言えば良いのだろう?)での旅を続けてらっしゃるのだそうです(その様子も↑の下川さんのYouTubeチャンネルでチラ見できます)。
旅を続け、その旅について書く。
「旅行作家」である下川裕治さんのその姿勢を支持し、次の作品も心待ちにしています。


