Part1・2はこちらからどうぞ!



タイのイメージってどんな感じでしょう?


暑い国?辛い料理?微笑みの国?

それとも、大都会バンコク?


タイも地方によって随分と雰囲気や気候が違うようです。

タイのドラマは大抵バンコクが舞台ですが、「I Told Sunset About You」のようにプーケットが舞台だったり…



この「A Tale of Thousand Stars」のようにタイ北部の国境の村が舞台のものも。


タイ地方の観光名所やバンコク含め各地方の文化などに触れる事が出来るのもタイドラマの良いところです。


バンコクを舞台にした作品でも、自分が思い描いているバンコクとは随分違う印象だったり、食べるものにしても日本のチェーン店が出て来て驚いたりもします。


タイ北部といえば日本人旅行者にも大人気のチェンマイがありますが、ガイドブックや旅行雑誌で見るチェンマイは快適そのもののゴージャスなリゾートだったりも…。


↑まさにこんな感じ!写真はフォーシーズンズです(画像はお借りしました)。

一生に一度は滞在したい(うっとり)。


しかし、この作品に登場するチェンマイの国境近くにある村は都会に住む現代人にとって快適とは真逆。

何せ、電気もガスも通っておらず、もちろんWi-Fiもありません。

煮炊きは焦がしそうになりながらも直火で、お風呂なんてものは存在せず、汲んできた水にお湯を別で沸かして混ぜたものをせっせと身体にかけるのみ(石鹸類は環境の事を考えて100%自然に分解されるものしか使えません)。


↑お風呂の使い方をPhuphaに習うTian。

ちょっぴり官能的なシーン…かも?


トイレは…想像にお任せしますが、水洗?ウォシュレット?何それ???…ってな代物である事は間違いありません。

暗くなったらハリケーンランタン(オイルランタン)を使って明かりを確保します。


東南アジアで常夏の国というイメージのタイですが、この辺りの気候は北部でなおかつ山岳地帯である事もあり、夜や季節的にかなり冷え込むのだそう。


そんな村に装備、心構え共に「0」でやって来たのが新米ボランティア教師のTianでした。


バンコクで暮らしていた実家の豪邸はプール付き、お手伝いさん付きで快適そのもの。

出かける時は自分で高級車を運転して行く事もありますが、必要なら運転手付きの車もあるという、恵まれに恵まれた生活でした。

そんな運転手付きの車で出かけるのは都心のデパートのブランドショップやレストランです。

*ボランティア教師を派遣している財団の人からは「君が一晩で遣う小遣いがボランティア教師の一年分の給料だ」と言われていた。


便利で快適な生活は何にも変えられないように思いますが、村での健康的で自然に囲まれた生活に慣れていくと共に、どんどん「自分は恵まれていたけど、幸せではなかった」という心境に達するTian。


タイの少数民族のアカ族の村だというパパンダーオ。

今回はそんな村の生活をちょっぴり深掘りしようと思います。


③村の生活


☆食べもの

村長・Khamaの妻のように、リクエストされれば何でも作れる凄腕の主婦はいるものの、その食材を調達するのがまず大変。

町へ買い出しに出かけたりはもちろん出来ますが、毎日わざわざ行くのはやっぱり大変だし、贅沢な事でもあるはず。

という事で、普段はごくシンプルな卵料理や野菜料理を餅米と共に食べるという食事が定番のようでした。

*村長の奥さまは画面上には登場しませんが、Tianのために毎日のようにお弁当を作って届けさせたりしていました。


Torfunはそんな村の料理が大好きで、「餅米が甘くてとても美味しいの!」と喜び、野菜炒めは「野菜はビタミンなのよ。目に良いんだから」と率先して食べてみせました。子供たちもTorfunを見習って野菜を食べます!

*Torfun亡き後も野菜畑に「ビタミン畑」と札を付けてみんなで大事に育てていました。


Torfunの場合は家庭料理そのものに飢えていたのかも知れません…。


反しておぼっちゃまTianはと言うと…これまた村の食べものが大好きに!

辛いものはちょっぴり苦手のようでしたが、自分でも料理するようになり、食べものの大切さやみんなで美味しく食べる喜びを知ったTianなのでした。


↑一番美味しいのはやっぱり隊長と一緒に食べるごはん!


☆村人の仕事

当初この村ではケシを栽培していたとの事でしたが、それらは全て茶畑になり、村人たちが一生懸命茶を作っています。

子供たちもこれらの仕事を優先して手伝わないといけない時期があり、学校へは毎日通えるわけではありません。


香りが良いと評判の茶葉(何と!台湾茶の品種なのだそうです)は仲買人が買取りに来ますが、秤の目盛りを読めない村人たちを騙して買い叩かれているのをTianが見て一悶着に…。


*伝統的な織物を織る人々もいます。


☆教育

前述したように、村の子どもたちへの教育はボランティア教師によって、もしくはLongtaeのように町の学校へ行くか…という選択肢があるようです。

ボランティア教師による授業は期間が短い事もあり、中途半端な所で終わっている事もしばしばです。

決まったカリキュラム的なものは無く、読み書きや簡単な英語、生活に関する知識を教えているようでした。


☆医療

村人たちの医療を担当しているのはNam医師…なのですが、アカ族伝統のまじない師が優先。

川で生徒が溺れた際にもまずまじない師に診せてから、Nam医師が診断して薬などを処方していました。

Nam医師はその事について少しだけこぼしていましたが、それでも村の伝統や村人たちの気持ちを大切にしているのでした。


☆儀式

結婚や歓迎の儀式(おそらくは人が亡くなった時にも)、時には霊が取り憑いた時(!)にも先ほどのように村の伝統的なやり方に沿ってやります。


夜には満天の星が煌めくパパンダーオ村、行ってみたいなぁ。


↑村には村長・Khama、その息子のLongtaeのようにタイ語を理解・話せる人たちもいますが、大多数はアカ族の言葉を話しています。

子供たちは学校でボランティア教師から習うので拙いながらもタイ語で会話出来るのです。


④原作との違い(ネタバレあり)





実は原作とドラマには「ほんのちょっとした」とは言えない違いがあります。


Tianのバンコクでの生活はドラマではかなり端折って描かれています。

その辺りはドラマの尺の問題もあるし、内容にもそこまで影響はないと思うので、こちらでも割愛します。


*ネタバレはここから!


最も大きな違いは「Phupha隊長は原作では軍に所属している事になっている」という事です。

それがドラマでは「森林警備隊の隊長」という設定に。


この設定の違いは現在(ドラマ制作時)のタイでの政情を考えて、との事らしいです。

軍というものに馴染みがない私たち日本人からしたら、「どっちがどっちだか…?」といった感じかも知れません。


しかし、そこが変わると…


・軍に所属している→昇進→幹部候補生に(バンコクに士官学校がある)→もっと大きな部隊に配属→村を出る(Tianも一緒について行く)


・森林警備隊→そのままずっと村に(Tianもずっと一緒に)


最終的にTianと隊長はずっと一緒であるという事は変わらないので「PhuphaとTianの愛の物語」という観点から見ると大差ないように思えるので良いのですが、人って年齢を重ねると価値観も変わるし、何よりTianの将来や家族の事を考えると…どうなんでしょうね?


Tianの父は元々軍の幹部だったので、その場合村にいるTianを部下(実際には部下の部下の…みたいな感じ?)に見守らせる、という設定にも無理がないように思います。


そしてPhuphaとTianが離れていた間の事ですが…


原作:村を出た後2年間で大学を卒業し、アメリカの大学で教育学を学びに行くために空港にいる時にPhuphaからの電話が。

ずっと我慢していたが、やっぱりPhuphaと一緒にいたくてたまらなくなったTianが留学を取り止め再び村へ。


ドラマ:村を出た後バンコクに戻ったTianが「工学部ではなく教育学部に専攻を変えたい」と両親に言うと、「そうしてもいいけど、勉強するのはアメリカでしなさい」と留学するように言われる。

留学先に出発する時に空港にPhuphaが現れ、Tianは「留学から帰ってくるのを待っててほしい」と告げ、2年後に村に戻る。


これまたどっちにしても約2年後にはPhuphaとTianが一緒になる…というストーリー。

2年間はそれぞれ別々に頑張ったのです。

原作Tianはちゃんと大学を卒業したし、ドラマのTianは留学しました。

こちらも好き好きだとは思いますが、私はどちらかと言えば2年間留学して戻ったTian、という話に惹かれてしまいます。 


結局何が言いたいかと言うと、ドラマと原作の双方でお互いを補い合っている、という事なのです。

ドラマを観てこの作品に強く惹かれたならば、ぜひ原作もご一読して頂きたいです。


あ、Tianの親友のTulは断然ドラマ版の方が好きですが…。


ネタバレここまで!


⑤まとめ



今回はストーリーや登場人物、ドラマの舞台となった村など、ドラマの背景やディテールについてを中心にご紹介させて頂きました。

しかし、このドラマを観たらそんなディテールはどうでも良くなるような、心の奥底をそっと揺さぶってくれる感動に触れられると思います。


Tianを見守るPhupha隊長、Phuphaを恋する気持ちが溢れそうな瞳で見つめるTian。

そんな2人を美しい村の風景が包み、ストーリーは静かに進んでいきます。


ドラマの最初のシーンでは鋭い目付きで虚無感に包まれていたTian、村での1人の生活は「寂しい」とTianに弱音を吐いていたPhuphaは一目あったその瞬間に(本人たちにその自覚はなくても)深い恋に落ちました。


このドラマが教えてくれる事は、


「幸せというものは、自分でも思ってもみない意外な場所にある」


という事です。


Tianは最初にTorfunのために1000の星を数えた時は、最後まで数え切る事ができませんでした。

しかし、2年後にPhuphaの元に戻って来た時は…。


以上、「A Tale of Thousand Stars」のご紹介でした。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。