やってしまいました…。



先日発売になった下川裕治さんの新刊「『裏国境』突破 東南アジア一周大作戦」、「あっ、下川裕治さんの新刊だ!やった〜!」と見つけた瞬間に予約→購入したのですが、2015年に新潮文庫から発売されたものだったのでした…。

*実際の旅は2013〜2014年ごろだそう。



もちろん、全く同じものの再発売ではありません。現在新型コロナウィルスの世界的な大流行で自由に旅を出来ない状態であるのは著名な旅作家である下川裕治さんも同じです。

というわけで、以前書かれた著書に現在のその国・エリアの状況などについてのコラムを加筆(&修正)した新刊なのです。


*以前ご紹介した「5万4千円でアジア大横断」もこのパターンですが、そのコラムがまた面白い!


私にとってはその「加筆」された箇所がとてもありがたく、興味深く読むことが出来ました(負けず嫌いじゃないっ)。


この本は東南アジアの国から国へと陸路で国境を越えた旅について書かれた本であります。

私のような超軟弱な旅行者でも陸路で国境を越えるという事には憧れがあり、いつかやってみたい事のひとつです。


タイからカンボジアへ、カンボジアからベトナムへ、ベトナムからラオスへ、そして最後の難関、ミャンマーへ…。


「いつかやってみたい」と言いつつも、読んでいると「やっぱり無理かも…」と思ってしまう、過酷な「裏国境」を突破する旅(国境自体は比較的簡単に通れても、その前後にいろいろややこしそうな事態に陥りそう)。


そして今回加筆された現在の各エリア、各国境について。


私が現在いろんな面で惹かれまくってるタイについての旅の情報やエンタメ情報はネット上に溢れていますが、一般のタイ人の生活や社会情勢などはやはり下川さんの解説がわかりやすいのです。


現在、主にバンコクで新型コロナウィルスが猛威を奮い、感染者が日々増加し、都市封鎖されているという状況です。

そんなタイでは市民や若者に現在の政権に対する不満、首相退陣を求める声が多く上がっていると言います。

これまでは「アンタッチャブル」であったタイ王室についても若者を中心に批判の声が激しくなっているのだとか。

経済の大きな成長と共に人々の生活や気持ちは変わり続けていくのは仕方がない事かもしれません。

現在、タイは大きな転換期を迎えているようです。


他にも同じく経済的な成長を続けるベトナムについてや、東南アジアの国に少なくない影響を持つ中国、タイとラオスのゆる〜い国境について(そしてミャンマーについて)など、興味深すぎるコラムが追記されています。


この本を読んで最も印象的だった箇所は「はじめに」に書かれたこんな一文でした。


「新型コロナウィルスは、やがて収束していく。

それはウィルスの歴史をみれば、はっきりとわかる。

そうなれば、本書の旅で僕が通った国境は、またその扉を開けてくれると思う。

しかし、政変はそうはいかない」

*下川裕治「『裏国境』突破 東南アジア一周大作戦」「はじめに」より


そう、疫病はやがて収束する事は間違いないありません。

しかし、政変により国境を閉ざされた場合は疫病の収束というような目やデータでわかるものとは違い、その国の政治や民族間の対立などが解決、または折り合いがつかねば再びその境を通る事は出来ないのです。


幼稚を承知で書きますが、これだけこんがらがった世の中でどの国境をも自由に越えられる日というのはやっぱり来ないのでしょうか。


まだ見た事がない風景、初めて聴く鳥の鳴き声。

味わった事がない料理や見た事がない空の色。

初めて感じる空気、そこで出会える人々。


私もいつかそれらに出会える日が来ると良いのですが…。