前回の東京滞在記はこちらからお読み頂けます。


奥谷さんと待ち合わせをした午後5時。

この日の直後から東京・大阪を含む各都市に緊急事態宣言が発令される事になっており、酒類を提供する店は休業が要請される事になっていた(現在も継続中)。

もちろん、この東京旅行の滞在中もまん延防止措置ですでに飲食店の営業が20時までになっていた。

その点でも奥谷さんに大変苦心して頂くことになってしまった(心苦しい)。


街には仕事帰りに緊急事態宣言発令前に駆け込みでアルコールと美食を楽しみたい人々の姿が見える、そんな日だった。


奥谷さんが最初に案内してくださった店はもつ焼きと煮込みの「ふじ屋」さんだった。


実は私は吉田類さんの「酒場放浪記」のファンで、東京に行くなら類さんが訪れているような店に行ってみたい!…と密かに奥谷さんにリクエストしていたのだ。

大阪にももちろん酒場は星の数ほどあるが、番組を観ながら東京の酒場との違いを何となく感じていて、それをぜひとも体験してみたかった。


その違いのひとつがこちら!



レモンサワー、である。


大阪では「レモンサワー」という飲みものがあるようなないような…同様の飲みものは「酎ハイのレモン」である。

*また、夫に出会うまで知らなかった「酎ハイの素(プレーン)」なるものもある。

要するにレモンだのカルピスだののフレーバーを入れない酎ハイである。

それを注文する夫(当時は彼氏)を見て、「酎ハイの酢…?この人えらい変わったもん頼まはるなぁ。酸っぱいのが好きなんやろか…」と思った。

酢じゃなく素だった…。


そして、何と言っても「もつ焼き」である。

大阪ではこういった店で出てくる焼き物は大体が鶏肉(もしくは内臓)を焼いた焼き鳥であり、豚肉(内臓)のもつ焼きというものを置いている店はあまり見かけない(探せばあるだろうが)。


最後に「煮込み」である。

大阪では同様の食べものと言えば「どて焼き」であり、「牛すじの煮込み」だろうか。

これらは関西でも人気で、飲みに行くと誰かしら注文している事が多い。


さて、レモンサワー・もつ焼き・煮込みを奥谷さんが注文してくださり、いよいよ実食(飲)。


うん。うんうんうん!美味しい!!!


もつ焼きは臭みもなく、部位によって歯応えがさまざまであり、そこが楽しい。

そして意外とあっさりしている事に驚いた。

大好きなつくねも豚ひき肉だとまた違った味わいだ。

そこへレモンサワーを流し込むと(「酒場放浪記」風)口の中をさっぱりさせてくれ、もつ焼きがいくらでも食べられる。

煮込みも「酒場放浪記」で観ていた印象では「こってりしてそう」と思っていたが、大きな豆腐が入っていて、こちらもあっさり上品な美味しさだった。

*煮込みは店によって作り方などがさまざまなようなので、中には当然こってりしてるものもあると思われる。

**実はこのふじ屋さんでは食べるのと喋るのに夢中で写真は↑のレモンサワーのしかありませんでした…。


この日1日の出来事を話したり、奥谷さんが見せてくださった台湾の「鐵窗花」の本に夢中になっているうちに時間はあっという間に過ぎ、次の店へ向かう時間が来てしまった。

後ろ髪を引かれながらふじ屋を後にする。



次に案内してくださったのは通りを挟んで向かい辺りにある「和食日和 おさけと 大門浜松町」。

奥谷さんのご自宅の近くにも支店があるらしいが、ここはこの後合流予定の奥谷さんの台湾華語の老師(先生)のJolieさんが時々ランチ時に訪れる店なのだそうだ。


「そうそう!こういう店で飲みたかったんだよなぁ」ともつ焼きに後ろ髪を引かれまくってたくせに、ころりと日本酒と和食の世界に引き込まれてしまう私(現金なものだ)。

店内は客席が仕切られていて半個室のようになっており、スペースも広めに取られていて落ち着く雰囲気だ。


とりあえずJolieさんが来られるまで何かちょっとつまんで飲もうかと言うことになり、私と夫も「どれにしようか…」とメニューを見たものの、普段ならこういった店では「とりあえずビール!」族な上、日本酒は好きだけど全く詳しくない私たちは奥谷さんのお勧めを頂くことにした。


↑一杯目に注文したのは「一ノ蔵無鑑査」。

普段紙パックの日本酒を適当に飲んでる私(量を飲むので…)にはありがた過ぎる美酒。

実は辛口の日本酒は苦手だったのだが、こちらは辛口だそう。

知らない間に飲めるようになってた…。

*日本酒に対する唯一の拘りは「常温である事」。


美しいお通しも登場。


↑左は潮汁。

この旅では昔は気付かなかった東京と関西の味付けの違いにも気付く(遅い?)。

東京の味付けは関西よりキリッとしているのだ。

単純に塩味が強めというのもあるが、それだけではないような。


↑今また食べたい!

大好物のたらば蟹クリームコロッケ!

何とたれには蟹味噌まで入ってるのだとか。すごっ。


この辺りでお仕事終わりのJolieさんが登場。

とても可愛らしい雰囲気の方である。

緊張しつつも(困った事にこう見えて人見知りなのである)初めましての挨拶をし、大阪から持参したお土産をお渡しした(喜んで頂けたので良かった!)。


さぁさぁ全員揃った事だし、さらに追加注文して美食を愉しもう。


↑「和食日和 おさけと」さんは本当に親切!

お刺身の盛り合わせなど、本来なら一皿に盛り合わせて出てくるものも一人分ずつにして出してくれた。

↑たぶん初めてたべるのどぐろ。

贅沢にも1人一匹ずつ!

こりゃみんなのどぐろのどぐろ言うはずだよなぁ、という美味しさ。

小さい身体に旨みが詰まってる!

↑残念ながら私は食べそびれたから揚げ…。

夫に訊くと「えっ、食べてないの?美味しかったのに〜」と言われた。


あと、ほやの塩辛や蛍烏賊の沖漬けも注文。

日本酒にはたまらないアテである。

夫は学生時代に友達が作った煮物(何で煮物?)でほやを初めて食べたらしく、それがあんまり…だったらしい。

私も同じく学生時代に連れて行ってもらった居酒屋でほやを初体験したが、それはお刺身だったので美味しかった。

お刺身はなかったけど、塩辛があったので注文させて頂いた。

結果夫は「これなら美味しい」と言っていた。ほらね?←ムカつく


Jolieさんを交え、旅や食べ物の話で盛り上がる。

最近では金沢旅行にハマってらっしゃるらしく、金沢のいろんなお話を伺った。

私は金沢は若い頃に一度行ったきり(しかも兼六園に行っただけ)なので、またぜひ行ってみたい。

「一緒に行こうね!」と言ってくださって嬉しかった。ぜひ実現したいなぁ。


それにしても、この一年ほぼ引きこもっていたのでこうして新しくお近付きになれた方々と美味しいものを食べて飲んでお喋りするのはすごく楽しい。

今はこんな時期だからなかなか難しいだろうけど、ワクチンでもなんでも打つから、この先はもっと出かけたいし、人とも交流して行きたいと思う。


それにしてもこのお店には日本酒が何とたくさんあるのだろう。

日本酒をサーブしてくれたのは2人の美しきスタッフさんだったが、どちらもお酒や料理に詳しくて頼もしい。


↑ちょっと変わった古酒を頂く。

前日に中国地酒を飲んで美味しかったという話をしたら、「それならちょっと癖があるかも知れませんが、お好きだと思うのでお勧めです」と持って来てくださった。

うん、確かに美味しい!

段々どんなお酒でも好きになって来てる自分が怖い。

↑舞美人。

そのネーミング通りピンク色で華やかなお酒。これも好きだなぁ。

あっ、今「酒なら何でも好きじゃないの?」って思いましたね?

↑これは私が飲んだものではないけど、ラベルがユニークな「あべ」さん。

一緒に写ってるのがほやの塩辛。お箸は取り箸。念のため。

*取り分けられるものは全て初めから取り分けてくれ、そうでないものはきちんと個別に取り箸を用意してくれました。素晴らしい!


楽しかった夜も終わりの時間が近付いて来た。

締めは何と愛媛宇和島流鯛めし!

私が「初めて」と言えば、「ぜひいつか現地でいろいろ食べ比べてみてくださいね!」と笑顔のスタッフさん。

何でも味が店によって全然違うんだとか。

あぁ、本当に家に引きこもってばかりいる場合じゃないな。


店員さんに「お勧めは何ですか?」と尋ねても、はっきりした答えが返ってこない事はよくあるが、このようにはっきり「美味しい」「お勧め」とプロとして答えてくれる人たちに出会うと嬉しくなる。


↑こちらも一人分ずつ取り分けてくれた、ずっと食べてみたかった宇和島流鯛めし。

まさか東京で食べられるとは!


最後にデザート。

酒粕のジェラート(の最中)。


↑優しい甘さが嬉しいジェラート。

見た目も可愛い!


残念ながら20時前にお開きにせざるを得なかったが、とても楽しい時間を過ごせて幸せだった。



↑めちゃくちゃお勧め。

現在夜は休業中だが、ランチは営業しているよう(しかしこんな時なので要確認)。

ランチでも宇和島流鯛めしが食べられます!


↑パイナップルカラーの東京タワー!

最初、もつ焼きは写真の秋田屋さん(もちろん類さんが酒場放浪記で訪れ済)に行ってみようか…と奥谷さんが提案してくださっていたのだが、超有名・超人気店のため混雑してそうだからやめておこうとのご判断だった。

確かに秋田屋さんは夕方通り掛かったらめちゃくちゃ混んでた。


大門駅でJolieさんと、大門駅のホームで奥谷さんと握手でお別れ…。

本当にこの2日間(準備期間も合わせたら何ヶ月も!)、大変お世話になりました。


(最敬礼で)ありがとうございました!


何だかしんみりしながら大江戸線に揺られた私と夫。

しかし、身体は前日より元気だった。


という事で…



東新宿駅で降りてYesmart(韓国マート)へ!


大阪にもこういう店は何軒かあるし、扱ってるものもそうは変わらないだろう…と覗くと、いやいやとんでもない!

とにかく種類が多いし、お惣菜や冷凍食品(冷凍食材も)がめちゃくちゃある。

しかし、こちらは旅の身。

当然冷凍のものは買えないし、ホテルまで持ち帰らねばならないので嵩高いものも困る…。

となると今持ち帰りたいものはやっぱりお酒やお茶など飲みもの類になってしまい、結局重たい思いをせねばならないのであった(夫が持ってくれたけど)。


再び東新宿駅から都営地下鉄大江戸線に乗り、ホテルがある都庁前駅へ。

ここからホテルへは新宿中央公園を通るのが1番近いのだが、この公園ではこの時よく報道されていた「公園飲み」を盛んに(?)やっていて、金曜日であったこの日は盛り上がり過ぎて近くを通るだけで酒臭い、という有様だった。


私が荷物を持って先に部屋へ戻り、夫は近くのファミリーマートに寄ると言って出かけたのだが、帰ってくるなり「若いやつらは盛り上がり過ぎてワッショ〜イ!とか言ってるぞ!」と言って戦々恐々としていた。ワハハ。←笑ってる場合じゃないって?


↑Yesmartで買ってきたごぼう茶。

いつも韓国のコンビニで買って来てホテルで飲むこのお茶。懐かしくてつい。

窓の外は件の新宿中央公園だが、不思議と騒ぎ声は聞こえて来なかった。


こんな感じで今回の東京滞在の最後の夜が静かに過ぎて行った。