いつも楽しみにしている下川裕治さんの新刊が発売されました!
東京・日本橋からトルコ・イスタンブールまで「陸路で」旅をする、というまたまた大変な旅に出かける事になった下川裕治さん(&カメラマンの阿部さん・料理人の橋野さん)。
このコロナ禍でもコンスタントに本を出されていて、ファンである私としては嬉しい限りなのですが、この本は2007年に新潮文庫から出版されたもの(実際の旅は2005年から2006年にかけて)に加筆したものです。
新参ファンである私は初めて読むのでただただワクワクしながら読みましたが、古くからファンの方にも加筆された「変化する旅事情」は興味深いものだと思います。
いきなりですが、島国である日本から陸伝いでアジアを横断する事は不可能。
しかしそれは言っても仕方がないので、日本橋→大阪、大阪→福岡までをバス移動し(「アジアハイウェイ」という国連の事業で整備された道路を通らねばならないというルール。アジアハイウェイの1号線は日本橋〜トルコ・イスタンブール)、北九州から高速船・ビートルに乗って釜山から韓国に入ります。
そして、韓国では釜山→仁川までバスに乗り、本来なら北朝鮮を通って中国入りしたいところなのですが、それも難しいので仁川港から横目で北朝鮮を眺めながら中国の丹東へ。
あとはひたすらバス・バス・バスの旅なのです。
バスの座席は狭く、揺れ、うるさい。
おまけに空調が効いていたとしても快適な時ばかりとは限りません(おまけに故障もあり)。
↑韓国の中・長距離バス(写真は空港リムジンバスですが)は快適、には私も同意!
座席は通路を挟んで2・1という広さのものまで!
ただ、都市部では道路が混むという…。
私はバスや飛行機では短時間なら眠れますが、長時間本気で寝る事は辛いかな、という体質(?)。
最近飛行機の最上級クラスではフルフラットの座席などもあるようですが、たとえ全ての座席を取り払った所にベッドを置いたとしても、バスや飛行機などの乗り物では熟睡出来ない軟弱さです。
世界中のバス・鉄道・飛行機で旅をする下川さんですら、この旅では「脳が折れる」という、とんでもない症状(?)に見舞われていらっしゃいました。
旅の途中には国境もいくつも登場し、そこは容易に越えられる所ばかりではありません。
治安が悪い地帯では読んでるだけで怖くて震えそうになるワードもたくさん出て来ます。
ただ、そんな旅の途中で見えた風景や、バスが出発するまでの合間に食べる何でもない食事の描写に、私はやっぱり旅心をくすぐられてしまうのです。
先ほども触れたように「変化する旅事情」が新たに書き加えられていますが、2007年のこの旅の時点でもすでに高速道路やバスの快適さには変化があったようです。
中国ではそれ以前とは比べ物にならないぐらい高速道路が整備され、バス自体も立派でサービスも良くなっているそうだし、他の国でもありえないぐらいボロボロのバスなどは登場しません。
2020年代に入った現在では尚更そうなっている事でしょう。
何でも、これからはバスがより小型化(マイクロバスなど)していく傾向にあるのだとか。
インターネットの更なる普及も、旅を快適にし続けています。
というわけで、自分では決して出来ない旅(また海外に行けるようになったとしても)でしたが、下川さんご一行の後ろからチョロチョロついて行ってる気持ちになって読みました。
自分では決して出来ないからこそ、下川裕治さんの旅に憧れてしまうのです。
↑「台湾で秘湯?温泉だったらいいじゃない」と侮ってはいけません。
やっぱり辛そうな所が何箇所も…。