前回の滞在記はこちらからどうぞ。

台北の街は西側から発展していったのだと言う。
淡水河の港が物流の拠点となっていたので、迪化街のある大稲埕エリアや艋舺エリア(淡水河から運ばれて来た木材の樹皮を剥いで加工していた剥皮寮が今でも歴史的な地区として保存されている。最近ではフォトジェニックな場所として観光客にも人気なので龍山寺に参拝された時にでも行かれてみてはどうだろう)がかつては台北の中心だった。

現在では東區や信義地区など台北の流行を牽引して行ってるのは東側の街となっているが、古いものを大事に保存する台湾人たちは大稲埕エリアや艋舺エリアにある古い建物をリノベーションしたものに、新たな商業施設を作ったりしてさらに発展させている。
本当に、古いものを活かしてより魅力的なものを産み出すのが台湾人は得意だと尊敬する(今では台湾中にそういうスポットがある)。

そしてその西側には台北きっての若者の街、西門町がある。
台北旅行初日のこの日の夜は初めて西門町での滞在という事もあり、台北の西側の街を楽しもうと思っていた。
西門町は台北の他の若者が集う街とは一線を画していて、少し泥臭いと言うか何と言うか、ごちゃついてて垢抜けない雰囲気を持つ。
台北の東側のお洒落な街が東京の街だとしたら、西門町は大阪的(それもミナミ)であり、ソウルなら明洞的でもある(ソウルも明洞辺りとカロスキル周辺では全く雰囲気が異なるし)。
よく西門町は「台北の渋谷」と形容されているが、確かに渋谷も109の裏あたりは猥雑な雰囲気もあり、ごちゃついていた気がする(最も最近の渋谷は知らないが)。
もちろんお洒落な街は素敵だし好きだが、根っからの関西人である私が落ち着くのはやはり西門町のような街なのかも知れない。

タクシーを止め、夜市に向かってもらう。
行き先は南機場夜市だ。
*行きにくいのでタクシーがお勧め。
バスなら「南機場公萬」停留所が最寄りだそう。

ノスタルジックな風情漂う南機場夜市。

私たちのような観光客もいるにはいるだろうが、ほぼ地元の人だけで賑わっている印象を受ける。
観光客に優しい大きな夜市も好きだが、こういう宝物のようにひっそり街中に隠された(別に隠してないけど)、地元のためだけにある夜市に出会えると嬉しくなってしまう。
そこにある屋台料理も水餃子、臭豆腐、軽い麺類などより地元色が強いものばかりで、間違ってもインスタ映えドリンクやわけのわからない流行ってるフード類は無い。

そんなに広くない夜市なのでぐるっと一回りした後、まずはこの夜市で最も有名な来来水餃のテーブルに座った。
すぐに女性の店員さんが来てくれて「日本人?何にする?」と訊いてくれた。
水餃子とサンラータンがお勧めだそうだが、サンラータンまで食べたらお腹いっぱいになってしまいそうなので水餃子を15個(が一度に注文する単位だそうだ)をお願いした。
「ニラにする?白菜にする?」と言われたので日本語で話してくれる店員さんに甘えて「どちらがお勧めですか?」と訊くと、数秒迷われてから「白菜…かな」と答えてくれたので白菜にした。
ニラも多分美味しいはずだけど、私もどちらかと言えばあっさりした白菜の方に惹かれたし、夫も「白菜の方がいいんちゃう?」と言っている。

それにしてもこのお店、超満員である!
みんな水餃子やサンラータンをササッと食べて席を立つのだが、すぐに空いた席に新しい客が座る。
待っている間はたれを作ったり、周りを観察したりして過ごした。
夫などは動画を撮影していたので、先ほどの店員さんに餃子を茹でる鍋を撮影していいよと言われ、お言葉に甘えていた。

たれの配合はご自由に!
私たちはオーソドックスに醤油・酢・辣油で。
みんな席に座ると同時に使うお箸やれんげをウェットティッシュなどで拭き始める。
凄い勢いで包まれ、茹でられる水餃子。
こちらもやはり店の規模以上に店員さんが多いと言う「我的名店の見分け方」に合致する店である。
私が言うまでもなく名店なのだが…。

そして、ようやく水餃子がつやつやとした皮で運ばれて来た!


早速ひと口(最初はたれ無しで!)! 

「あ〜、これは人気あるはずやわ…」と思った。
つるんと口の中に入るむっちりした皮に、あっさり美味しい豚肉と白菜の肉餡。
これは2人で15個なんて少ない!しかし、中年夫婦の胃のキャパシティはそんなに大きくないので諦めた。
しかし、2人であっという間に食べ終えてしまった。
後ろ髪を引かれつつ、他に気になったお店もあるので(夜市以外にも)席を立つ事にした。

夫と一旦別れ、私は気になっていたフルーツジュースのスタンドへ。
こちらもたくさんの人で賑わう人気店だ。
この日は姿が見えなかったが、有名なおかみさんがいらっしゃるお店で、女性三世代で営まれているのだそうだ。


フルーツの花園(?)の奥には麗しく優しい母娘がいらっしゃり、私のモゴモゴした中国語での注文を「日本人?」と言って受け付けてくれた。
おまけに「サービスね!飲んでみて!」とパパイヤミルクまでくれた。
お世辞ではなく、高雄で一番美味しいと思う六合夜市のお店と同じぐらい(いや、絶妙なまろやかさとあっさりさのバランスはこちらが上かも)美味しかった。
そして注文していた総合果汁(要するにミックスジュース)を受け取り、「謝謝!」と言ってその場を去った。
待ってる間ににこにこしてくれた可愛い小さな女の子にもバイバイした。

ちょっとした隙間でミックスジュースを飲んだが、これまた好喝(飲み物の場合、好吃ではなく好喝)!
野菜ジュースっぽいなと飲みながら思ったのだが、よく考えたら店にディスプレイされたフルーツに混じって人参も刺さっていた。
その人参の甘さが優しく、美味しかった。

夫と合流し、この日何度目かわからないが、この夜最後のタクシーに乗り西門町に行ってもらう。
タクシーに乗ってしばらくして、だんだん繁華街に近くなって来たなぁと思った瞬間に「この辺が西門町だよ」と言われたので降りた。

降りた場所。
普段西門町と言えば本当に駅の周りぐらいだけしか歩いてなかったので初めて見る景色だ。

初日の最終目的地へと歩き始めるも、どこをどう歩いてるのかさっぱりわからない。
しばらく歩くと映画館通りに出て来た。
ここまで来たら目的地まではあと少し。

映画館が並ぶ通り。
4Dって映画館で観たことがないから観たかった!
USJのターミネーターのアトラクションでしか体験した事無い…。 

映画館通りからさらに歩くとようやく目的地があるHotel PaPaWhaleに到着。
ホテルのロビーを通り抜け、ようやく目的のお店を発見した。


実はこの日の夕方ドラフトビールを飲んだ啜飲室と同じ臺虎ブリューイングのお店である「Driftwood西門町」であった。
中に入るとナチュラルな流木(をDriftwoodと言うのだそうだ)を使ったリゾートっぽいインテリアで、啜飲室とはまた雰囲気が違うがお洒落である。
私たちはカウンターに陣取り、ビールとお勧めだというチキンのおつまみを注文した。
ビールも先ほどと同じく試飲させてくれる。
そしてまたまた超ボーイッシュで可愛い店員さんが荷物はここにかけてね、と教えてくれた。

今回注文したのはスパイシーではないドラフトビールで、飲むと花の香りがふわっとした。
うん、これも華やかで美味しい!
おつまみのチップスを添えたチキンも絶品で、冗談抜きで今まで食べたこういうおつまみ系のチキンの中で一番美味しかった。さすが、台湾。

思い出したらまた飲みたい…。
手羽先だけかと思ったら、下には手羽元も。
からっと揚げたチキンには甘辛いたれが絡めてある。

美味しいビールだが、ビールばかり飲むとお腹がさらに満腹になるので二杯目はサングリアにしてみた。
フルーツがたくさん入っててフルーティなんだけど、赤ワインもどっしりしているので決してジュースっぽくはなく、大人の夜のお楽しみと言った感じで良い。
夫はウィスキーのソーダ割りを注文していたが、このウィスキーも普通のウィスキーと(私の場合ウィスキー全般知らないからあまり当てにならないが)全く違う風味ですごく美味しかった。

少し前まではこういう飲むお店に入るとかなり酔うまで帰らなかった私たちだが、最近は1〜2杯で腰をあげる事が出来るようになった。
いや、単純にあんまり酔うまで飲みたくないのだ。しんどいから。
要するに老化なのである。

ホテルまで歩いて帰り(もうかなり近い場所だった)、シャワーを浴びてとっとと寝て初日は終了(夜中エアコンが効き過ぎて寒くて飛び起きたが…)。
長い1日だったが、楽しかったし美味しかった。台湾万歳だ!