6時にセットしたアラームが鳴る少し前に目が覚めたので、ゆきこさんやきょうこさんを起こさないようにアラームを止め、起き上がれそうになるまで待って(こう見えて血圧が低いのだ)、布団から這い出た。

用意していた着替えを持ち部屋の外のバスルームへ向かい、そこで身支度を済ませた。
忘れ物がないようパッキングを済ませて7時のタクシーの迎え(みきさんが前夜にタクシー配車アプリで予約してくれていたのだ)が来るまでぼんやりしながら待った。
すると、みきさんが起きて部屋から出て来てくれた。
下まで見送ってくれるのだと言う。
日の出も日没も遅いシンガポールの朝6時台はまだ真っ暗である。
そんな中前夜も遅かったのにわざわざ起きてもらって恐縮だった。
でも一人で寂しく出発しようと思っていたので、嬉しい。
「タクシーはいつも早めに来るからもう行こうか」というみきさんの声ですでに準備出来ていた私は二日間お世話になった、みきさん宅を後にした。

ちょうど入り口のゲートの所までやって来た所に、タクシーが入って来るのが見えた。
みきさんに心からお礼を言い、お別れをした。
二日間ずっと一緒だったので、本当に寂しい…。
初めてのシンガポール旅行がこんなにも充実した旅になったのはみきさんのおかげなのだ。
また、快く素敵なご自宅に泊めて頂いた事にも感謝の気持ちでいっぱいだ。
名残惜しいがタクシーの運転手さんにスーツケースをトランクに入れてもらい、後部座席に乗り込んだ。

7時を過ぎ、ようやく少しずつ明るくなって来た街をタクシーはチャンギ空港に向かい、進み続ける。
流れているラジオを何となく聴きながら、窓の外の景色を別れを惜しみながら眺めた。

するとあと少しでチャンギ空港、という時に運転手さんが口を開いた。

「シンガポールは楽しめましたか?」
「はい、とても楽しかったです。これが初めてのシンガポールでした」
「そうですか。シンガポールは好きになったかな?」
「はい、とても楽しかった!また来たいです!」

笑顔でうんうんと頷く運転手さんは空港の第2ターミナルへとタクシーを到着させた。
会計をしてもらい、スーツケースを受け取って笑顔でさよならを言い、空港に入った。

「スクートのカウンターはどこかな…」と見渡すと、すでにお馴染みになった黄色い地に黒い文字でくっきりと書かれたロゴマークが見えた。
来る前にスクートのウェブサイトで予習していた通り、自動チェックイン機がたくさん並んでいる。
その中の一つを選び、早速操作を始めた。
言語は日本語も選べるので操作はとても簡単だ。
最後ににょろにょろと預け荷物用のタグが出て来たのでスーツケースの持ち手部分に巻きつけた。
次に預け荷物用カウンターに並び、スーツケースを預けた。
おぉ、何て簡単なんだろう!

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空港内の写真のマーライオンに「次来た時は会おうね」とこっそり誓った。

次に保安検査場へ行こうとしたら、見当たらない。
「?」と思いながら進むといきなり出国審査だった。
しかも一応空港の職員はいるが、①前の人の順番が来たら自分でパスポートを読み込ませ②ゲートが開いたら入り、指紋を読み込ませ③ゲートが開いたら終了、で出国完了のセルフ式なのだ(詳しくはこちらをどうぞ)。 

免税店が並ぶ出国エリアに出てきた私は、まず自分が乗る飛行機の搭乗ゲートを確認しようとモニターを見たが、まだ時間が早くて載っていなかったのでとりあえず朝ごはんを食べようとフードコートや飲食店を探す事にした。
シンガポール最後の食事に何を食べたいか自分に問うと、やっぱりカヤトーストでしょ!と食い意地満開で答える自分の声が聞こえたのでその声に従った。
エスカレーターで上ったすぐの場所にフードコートがあったので見て回ったが、それらしき店は無い。
仕方ないのですぐ近くにあったセブンイレブンでお土産になりそうなものを探そうと入ってみた。
シンガポールと言えばタイガービールだが、タイガービールにも台湾啤酒のフルーツビールのようなフルーツフレーバーのものがあるとの事だったので、見てみると…あるある!でも高い…しかも500mlか。多いな。
と言うわけで、一旦保留にしてカヤトースト探しを再開した。

案内板を探し、カヤトーストが食べられる店を探すと…やっぱりあった!ヤクンカヤトースト!
案内板の地図に従って探すとヤクンカヤトーストを発見する事が出来た(すぐ見つかる場所にあった)。
早速注文し、席も混み合っていたが何とか見つけ、カヤトーストの出来上がりを待った。
すぐに呼び出しブザーが震え出し、カウンターへ受け取りに。
やれやれ…と思って食べようとした時に、地元のご夫婦らしき人が現れ、相席して良いかと訊かれたのでどうぞどうぞと席を勧めた。

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免税店が並ぶフロアからエスカレーターで上った所にあるフードコート。
帰国後調べたら、食べたかったジンジャーチキンで有名なスープレストランも第2ターミナルにはあるらしかった…。
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とてもわかりやすい場所にあったヤクンカヤトースト…なぜ迷う?自分よ。
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水も買っておこうかな〜なんて思ったら…これまた高くない?空港だからしょうがないか。
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でもこのセットは安い!カヤトーストとコピと卵のセットで5S$足らず。

コーヒーを飲み、一息ついたところでスマートフォンをチェックするとゆきこさんときょうこさんからそれぞれLINEが来ていた。
起こすわけにもいかず、挨拶もせずに出発してしまったので嬉しかった。
本当にお2人にも心から感謝している。
とても楽しい旅になった事、旅行の計画を立て始めた時の事など、今回の旅行に関するいろいろが頭に浮かんで来た。
私たちの旅は「みきさんに会いにシンガポールに行こう!」と決めた瞬間から始まっていたと思う。
何だかまたまた寂しくなってしまったが、カヤトーストを美味しく食べ終え、相席のご夫婦に「Have a nice trip!」と言って席を立った。

少しセンチメンタルな気持ちになったので、気分を切り替えようと、帰りの空港での最大の目的(いや、最大の目的は帰る事だけど…)であったTWG のお店に入った。

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きらきら眩しいTWG!

細長い円筒形の缶に入ったお茶の種類はマリーナベイサンズの店より少なめだったが、戌年に相応しいブルドッグちゃんの絵が描かれた「BREAKFAST BULLDOG TEA」(味はみきさんのお家でも淹れてもらったので確認済みであった)と、フラトンベイホテルのアフタヌーンティーで飲んで美味しかった緑茶ベースの「SILVER MOON TEA」のティーバッグ、そしてマカロン全種類一つずつ(=12個)を購入した。
 
これでもうあんまり思い残す事はないな、とまたもや目に入ったセブンイレブンに入り、先ほど一旦保留にしたタイガービールのレモンフレーバーの小さめサイズ(先ほどのものは500mlだったからお高めだったのだ。しかも重いし)を2本買い、夫へ買って帰ろうと思った。
そして一旦ゲート方面へと向かってみようと行ってみると…「!!」
何と保安検査は搭乗ゲートに入る直前に行われてるのであった…。
そりゃそうだろ、ないわけないわな…と脱力してそこにあった椅子に座り込んでしまった。

とりあえず、やらないといけない事をしよう。
SIMカードをauのものに交換して空港のWi-Fiを使う事にした。
何とか交換し(またもやカードの入れ口がなかなか開かなくて焦った)、Wi-Fiを繋げて夫にLINEした。

「ビール買ったんだけど、搭乗ゲートで検査があるから持って帰れない」
「今飲んで来いよ。もったいないから」

…2本あるんだけど?

でもアルコール度数は2%しかないし、何だかちょっと喉が渇いたので一本こっそり開けて飲んでみた(宗教上アルコール禁止の方が多そうなので周りを見回しながら)。
あれ?美味しいやん。おまけにジュースやん、これ(お酒である)。
炭酸も弱めなのでぐびぐび飲めてしまい、結局2本あっという間に飲み干してしまった…。

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ジュース…ではないよ!
レモンフレーバーが爽やかで、甘い。ビール感はほとんど無い。
ビールが苦手な方やアルコールに弱めな方にも飲みやすいと思われる。

とりあえず、ビールを2本も飲み干した事だし、免税店エリアに戻りお手洗いに行っておく事にした。
お手洗いを見つけ、そちらに行こうとすると(ちょっと奥まった場所にあった)年配の空港職員の男性が「どちらへ行かれるのかな?トイレですか?」と訊いてこられたので「トイレです」と答えると、「日本から来られた?」と再び訊かれたので「そうです」と言うと笑顔で「お〜、そうですか!」と言ってくれた。
別れ際に「アリガトウ、サヨウナラ!」と日本語で見送ってくれた(とは言え、トイレにだが…)。

お手洗いを済ませ、もうちょっと免税店でも見てみようか…と思い、立ち寄った。
すると、行きの空港で売り切れだったものを発見。
まんまと購入。
店員さんに「これ、日本の空港ではもう売り切れてたんだよ」と言うと信じられない、と言った感じで「Too fast!」。
日本はデパートでも免税店でも売り切れるのが早いよなぁ(自分含め限定品好きな人が多いからであろうが、最近は海外からの爆買い隊も日本の化粧品の限定品を狙って来るので欲しいものがすぐに無くなってしまう)。

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搭乗ゲートに向かう途中、こんなキャラクターがいたから写真を撮らせてもらおうとすると、手招きされ「一緒に撮ろうぜ!」と言われた。
すっぴん、ぼさぼさなので元の写真は誰にも見せられない。…普段からすっぴん&ぼさぼさを見慣れてる夫には見せた。

再び搭乗ゲートに戻り、無事保安検査を済ませて搭乗時間を待った。

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いくらLCCであるスクートとは言え、ビジネスクラスはビジネスクラスだったので優先的に搭乗させてもらう。
とりあえずスマートフォンのみ手にして座席に座った。
行きは隣は無人だったが、帰りは欧米系の男性が隣の席に座った。
乗客は無事に全員席に着いたようで、飛行機は早くも動き出している(LCCの好きな所はさっさと乗客を乗せてさっさと動いてくれる所である)。
何だかうとうとして来たなぁ、と思ったら…

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気付いたらすでに雲の上だった。

そしてしばらくすると機内食が配られ始めた。
行き同様「どの飲み物にしますか?」と訊かれたので、今回はただの水ではなくペリエを注文した。
可愛い緑のネイル(薄いグリーンではなく綺麗な濃いグリーンであった)の綺麗なCAさんが快く引き受けてくれた。
そしてペリエと共に事前に選んでおいた機内食も登場。
行きは無難なビーフカレーで失敗したが、帰りは冒険してナシレマを選んでいた。
さて、どんなもんだろうか?と食べてみるとこれが美味しいのだ!
エコノミーの機内食レベルの美味しさ(一番美味しかったのはアップグレードしてもらった今はなきトランスアジア航空のビジネスクラスの機内食の牛肉麺)ではあると思うが、行きのビーフカレーに比べたら何レベルもアップした美味しさだった。
そのナシレマとはどんなものなのかわからないまま航空券を予約した時に選んだのだが、細長いパラパラのお米をココナッツミルクで炊いたものに鶏肉・厚揚げ・ゆで卵が乗っているものだった。
添えられたピリ辛なサンバルソースに絡めながら食べるとさらに美味い!
デザート(?)のチョコレートもかなりのボリュームと甘さだったが、旅の疲れと私のチョコ欲に沁みる、頼もしいものであった。
いつかナシレマを本場のマレーシアで食べてみたいと思った。
機内食を食べた後はひたすらスマートフォンにダウンロードしてある漫画を読みまくった。
寝ては漫画、寝ては漫画…で気付いたら関西国際空港に到着する30分前だと言うアナウンスが聞こえた。

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これが機内食のナシレマ。
今検索してみたら、本場のはやっぱりさらに美味しそうであった。

関西国際空港に着陸し、飛行機から降りてスカイトレインに乗り、日本に入国し、正式に(?)帰国した。
預け荷物を受け取り、夫が迎えに来てくれている場所へと急ぐ。
見慣れた赤いわが家の車を見つけ、夫にただいまを言い、助手席に座る。
さぁ、何から話そうか。
こうして初めてのシンガポール旅行は幕を下ろしたのであった。

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帰り道にまこと屋で牛骨ラーメンを食べて帰った。