高鐡は静かに台南の駅に到着した。
ホームに降りると、台北より若干暖かく感じた。
台南より少し北にある嘉義辺りに北回帰線が通っているので、北回帰線以南の台南は亜熱帯気候から熱帯気候に変わる。
この高鐡台南駅と台南の中心的な市街地である台鐡台南駅周辺までは若干距離があり、高鐡台南駅に隣接している台鐡の支線駅から鉄道に乗ったり、タクシーに乗ったりして移動しないといけない。
しかし実は高鐡内の電光掲示板(日本の新幹線にもあるニュースや天気などが表示されるあれである)に中国語で「無料シャトルバスが高鐡台南駅から台南市街地へ走っています」と言った内容のアナウンスがされているので、どうぞ安心して頂きたい。
とは言え、タクシーに乗ってもそこまで高額にはならない(1000円いくかいかないぐらいだったかと)。
私たちはと言えば、そんなに急いでいるわけでも無いしシャトルバスで移動する事にした。
駅を出て左方向に進むとバスが停まっているのですぐわかる。
市街地から高鐡台南駅までも同じく無料で走っているが、バス停の数がそんなに多くないし、ホテルから近ければ利用する、ぐらいの方がいいかもしれない。
三台停まっていたバスの一つに荷物をバスの車体の荷物入れに預け、乗り込んだ。
しばらく待つとすぐ発車したが、走り出してしばらくすると田園風景が続く中に大きな宮殿のような建物が見える。奇美博物館だ。
入館するのに予約が必要だとか聞いた事があるが、一度は中に入ってみたいと思う。
バスで知り合ったらしい男性二人が色々な事を(ほとんど中国語はわからないのだが、台北と台南について話していた)話しているのをBGM代わりに車窓から台南の街を眺めていたが、その男性の一人が市街地に差し掛かって来たバス停で降りた。
その時、なぜか私に「どこから来たのか?」的な事を訊いて来た。
でもよくわからなかったので「は?」といった表情をすると「日本?」と言われたので「はい」と答えた。
そうしたら先ほどまで話していた男性に「日本だってさ」みたいな事を言っていた。
そんなに国籍不詳だったのだろうか…。
バスは再び走り出し、孔廟の前を通り、私たちの滞在先から一番近いであろうランディスホテルの前のバス停で下車した。

バス停がある大通りから国華街の方に入り、しばらく北上した。
歩いていると、狭い通りの国華街にかなりたくさん人がいるのが見えた。
この辺りは大人気の小吃店や商店、カフェなどがたくさんあり、地元の人で大賑わいなのだ。
そんな賑わいの中心地とも言える正興街に今回の滞在先、佳佳西市場旅店(JJウエストホテル)を見つけた。

ホテルに入り、早速チェックインをお願いする。
ホテルのスタッフ達は皆さん若く、常に笑顔で応対してくれた。
日本語は通じないのだが、英語で何とかコミュニケーションを取れる。
この日は元日だったので、せっかくだからご馳走を食べようと台南の有名な台湾料理のレストラン、阿霞飯店の予約をお願いしたものの、その日は残念ながら満席で行く事が出来なかった。次回の楽しみにしよう、と諦めた。
このホテル(詳しくは後日書きます)は元々あった古いホテルを大胆にリノベーションした小ぶりなデザインホテルで、台南の若いパワーが集結した素晴らしく面白いホテルだった。
しかし、私たちは予約の時に「二人やし寝るだけやし」と一番小さな部屋を予約したら、そちらは普通の部屋でこのホテルらしいテーマのある部屋(薬屋さん、とか結婚、とか色々なテーマがある部屋があるのだ)では無かった。
こちらも次回必ずリベンジしたいと思う。

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何の変哲も無い普通の部屋を予約してしまう。しかもやっぱり狭かった…痛恨のミス!
でも安いし、確かに寝るだけなら充分ではある。
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こちらが今回の移動で大活躍した高鐡3日間パス。
2400元で3日間高鐡に乗り放題。
台北〜高雄往復で、すでに元が取れてしまうお得さ。
旅旅台北や台北ナビなどのサイトから事前に予約して購入することも出来るし、直接JTBの台湾ラウンジ(台北のアンバサダーホテルの向かい辺りにある)に直接行って購入する事も出来る。
私たちはJTBのサイトから予約して高鐡台北駅のチケット売り場で引き換えた。
パスの引き換え・購入時には必ずパスポートが要るのと、乗り降りする時も必ずパスポートを見せなくてはならない。
少し面倒かも知れないが、最近駅も増えた高鐡で色々な場所を巡れて楽しいのでお勧めだ。
他にも色々なタイプの高鐡パスがあるので、ぜひ検索して台湾の旅に役立て頂きたい。

移動で疲れたのでしばらく部屋で寝る事にした。
夫は珍しく一人で周辺を散策しに行った。
寝ようと思ったがなぜか眠れない。
しばらくすると夫も帰って来た。暗くなって来た事だし、夜の散策に出かけよう。
正興街から海安路に出て神農街を目指した。
台南でも大人気の神農街に前から行ってみたかった(台南はこの時3回目だったが、なぜか行く機会が無かった)。
海安路には道沿いにテーブルを出した飲食店が多く、開放的な雰囲気だ。
途中で有名な水仙宮市場もあった。

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神農街と書かれた提灯が!
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何となくフォトジェニックだったポスト。
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こんな感じの細く短い通りが神農街。
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途中には廟が。夜の廟が好き。

神農街に到着した。
小道と言って良いぐらいの路地なのだが、通りを温かみのある電灯でライトアップしてあり、雑貨屋さんやレストランやカフェがある。
そこに民家や廟も普通に並んでいた。
優しい電灯の色のせいか、まるで九份にいる時みたいに、タイムスリップしたような懐かしさを覚える。
具体的に言えばなぜか小学生の頃の地蔵盆を思い出した。
これは私が日本の古い街、京都出身だからかも知れない。
実際台南を歩いているととても懐かしい気持ちになる瞬間が幾度もあった。
どこがと訊かれても、詳しくは自分でもわからないが…。

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これみんなマカロン!子供も大人も大喜びで買っていた。可愛い!
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窓枠が素敵な台湾の古い住宅。
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そんな古い住宅を活かした可愛いお店があちこちに。

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太古百貨店と言うカフェに入ってみた。
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苺のタルトが美味。見た目も美しい。
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ここでもフルーツティーを注文。タピオカ入り。

とても素敵な神農街だが、いかんせん人が多かった。
まぁ、こちらも余所からわざわざお邪魔してる訳だからあまりどうこう言える身ではないが、台湾の古都台南は訪れるたびに人が増えていっているように感じる。
とは言っても台南自体は台北に比べるとまだまだゆったりしたものだと思うが、局所的にやたら人が多いのだ。
神農街を出て、どこかで何かを食べようとお店を探した。
ちょうど来る道で目をつけていたオープンエアな海鮮料理店に入れた。

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このお店はビールを店の中にある冷蔵庫から自分で持って来るシステム。
このお店にも大好きなこのビールが!
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蛤の酒蒸し。身はプルプルで大きく、美味しい。

生憎店内は満席だったが、道路に並べられたテーブルが開いていたのでそこへ座った。
蛤の酒蒸しと花枝丸(いか団子)と松阪豚を焼いたものを注文した。
松阪豚って何よ?って感じだが、台湾ではよくメニューに書いてある。
ちなみにそれは豚トロの事だ。松阪牛=脂が乗った牛→脂が乗った豚=松阪豚、なんだそうだ。
外の席で風に吹かれながらビールを飲むのは美味しかったが、だんだん肌寒くなって来た。
最初に蛤の酒蒸しが運ばれて来てから、他の料理がなかなか来ない。
この肌寒い席でビールばかり空けても寒さは増すばかりだ、と思っているとようやく大好物のいか団子、花枝丸がやって来た。ぷりぷりとした弾力がすごい!
しかし、松阪豚は絶対忘れられてるに違いない!と店員さんにキャンセルをお願いして店を出た。
帰り道でセブンイレブンに寄り、部屋に戻った。
何か物足りない台南の夜だったが、ノスタルジックな街並みを堪能できたから良しとしよう。