先週、ミュージカル「The Parlor」を観観しました。
主演の美弥るりかさん贔屓で、しかも美弥さんがかつて幼い頃に憧れた、実は私も20代の頃に憧れた、剣幸さんとの共演と知り、これはなんとしても!と。
チケットの抽選があったので、もしかして落選したら?と2日に分けて、2枚申し込んだら両方当選しておりました(笑)
ファンの方って複数回観るのが当たり前のようですが、私は通常1回で満足。
気に入った小説でもほとんど読み返すことなく、映画も2回も観ることはないので、
同じものを中1日で再度観るのはとても珍しいこと。
でも、起こることは、全て意味のあること。
観終わって、これは2回観た方が断然よかった!
理解も深まったし、受け取るものも多かった、やっぱり意味があったと。
このミュージカル、テーマのことはよく知らずに、主人公がロス在住で孤高のゲームクリエイターそして日本に一時帰国する・・・とだけ知っていて。
ゲームはまったくやらないので?楽しめるかな?とやや懸念を感じてはおりました。
でもミュージカルだから!!難しいことはないでしょ!
観てびっくり。
ドラマのテーマは、偏見、ジェンダー、自己実現、生きることの意味など、今私がとても興味を持っているものだらけ。
子どものおもちゃが実は人生の王道はこうだ、これが人生の成功だ、ゴールはひとつだ、という偏見を刷り込んでいたり、そこからはずれた子どもたちを救えていないのでは?という問題提起。
そもそも、男の子のおもちゃ、とか女の子のおもちゃとか、嗜好を性別と紐づけて決めつけているのがナンセンス!
(最近はジェンダーフリーを謳ったおもちゃメーカーもありますね)
子どもの頃、男の子のおもちゃしかほぼ興味なく、青っぽくて、ゴツゴツしてて、戦闘的なおもちゃばかりをねだる私を、
母が無理やり、当時大人気だった「リカちゃん」コーナーに連れていき、
さあ、好きなの選びー!(笑顔)
と、言われても、お人形にはほとんど興味無く・・・・
でも、ここのコーナーのものしかどうやら買ってもらえないらしいと気付き、
「だったらいらない!」とは言えなくて・・・・
「リカちゃん」という王道からちょっとはずれた、「いずみちゃん」を選ぶというわずかな抵抗をして、しぶしぶお人形を買ってもらったことを思い出しました。
そのときの母のセリフ、ずっと、いまでも、覚えています。
「良いもの買ってもらったね!」って。
女の子だから、人形を買ってもらうことが「良いこと」なのだと、それは母の認識であって、私の希望では無かったのに。
「偏見」
幼い頃から、そんな思いを何回も経験し、自分では極力持ちたく無い!と強く思っているのに、やっぱりあるんだーと最後にわかってちょっとショックでした。
それは、最後に主人公の恋人の声が聞こえたとき。
(ここからネタバレ)
それまで知らされていた事実から、勝手に恋人が男性だと思い込んでいました。
そして、ほとんどのひとがそう思ったはず。
だけど最後に恋人の声を聞かされ、それが女性だということがわかるというしかけ。
それまでは、名前(外国の名前で性別が判明しにくい)とLINEでのやりとりをスクリーンで見ただけなのですが、あることで、相手が男性だと思い込みました。
2回観たので、2回目はそのことを知っていて最初から観たのですが、相手の性別を特定できるようなセリフはひとつもなく、
ただ、このこと
”恋人が子どもが欲しいといっている”(別れた理由)
このセリフだけで、ああ、相手は男性か、と思ってしまったのでした。
自分のかつての恋人もそうであるので、恋人が同性であることは想像できる範囲であったのですが、
”子どもが欲しいといっているから別れた”というセリフだけで、
恋人に”子どもを産んでって言われている”
だから相手は男で、主人公の彼女は”子どもを産みたく無い”ので別れたのだと、勝手に思い込んでいました。
「やられた!!」
ロス在住ならば、同性カップルが子どもを持つという選択肢はありでしょう!
自分が産むのか相手が産むのか、養子を持つのか、その選択肢はいくつかありそう。
アメリカドラマ、よく観てたののに、そこまで意識が回らなかった、、、
気づかないうちに、深いところで、固定観念がしっかり根付いていました。
ショックだったけど、気づくことがまず一歩ですね。
全体を通して、「どう生きるか、どう生きたいか」について、考えさせられるドラマ。
それを重さを感じないオリジナルのミュージカルに仕立て、またゲームの中を舞台で再現するような斬新な発想で、後半はデジタルの世界に入り込み、その世界観に引き込まれていきました。
一方で、昔みたホームドラマみたいなあったかさも感じられる。
平和だけどある意味混沌とした時代に、ポトリと一滴波紋を広げるような作品だと思いました。
美弥さんファンとしては・・・
回想場面での少女時代の美弥さんが、ベラキッカのときと同じく、本当に無邪気で純粋で可愛くてちょっぴり悲しく、絶妙な甘さ加減で、メロメロでした(笑)
花乃まりあさんの母娘2人の演じ分けも素晴らしかった。
剣幸さん、歌唱力、演技力、体もしなやかに動くのは、さすが元宝塚トップスターの貫禄でした!
そして、舞台から感じられるあったかさは剣さんのお人柄から溢れ出ているものでしょう。
3人が本当の家族のようでほのぼのしました。
固定観念、無くすことはできないのでしょうけれど、できるだけ減らして、できるだけフラットに、傷つけず、傷つけられず、楽に生きたいですね、これからの時代。