悪夢のようでした。
マンハッタンを縦に走るバスには、「ローカル=普通」と「セレクト=急行」があります。
「セレクト=急行」はバス停を数個づつ飛ばして停まります。
基本的に、どちらも同じ場所なのだけれど、
「ローカル」と「セレクト」が同じタイミングで
来ることもあるので、2つのバス停は分けてあり、微妙に離れているのです。
離れているといっても、バス一台分程度のスペースのところもありますが、周辺の道路事情によっては、結構、離れているのです。
「ローカルでもセレクトでもいいから、来たバスに乗ろう」とローカルのバス停で待っていると、セレクトがやって来ると、「あっちだ!」と言いながら、数メートル走って、セレクトのバス停から乗ることになります。
その逆もあり。
で、ひどいところは、ローカルとセレクト、2つのバス停が30メートルぐらい離れていたりするのです。
先日、夜遊びの帰り、夜中の12時すぎにバス停へ。
半袖にカーディガンでも、ガタガタ震えるぐらい寒い夜で、私は「ローカル」のバス停に立っていました。
寒いので、電飾の広告にピタッとくっついて、ほんのりした暖かさで体を温めながら。
すると、「セレクト」バスが来て、すごい勢いで目の前を通り過ぎました。あっ!と思って目で追ったときには、約30メートル先の「セレクト」バス停をも、すごい勢いで通り過ぎて行ってしまいました(誰もバス停で待っていなかったから)。
「ローカル」のバス停で、私の横に座っていたおじさん(バックトゥザ・フューチャーの博士みたいな雰囲気=以下、博士)が、イラっとしながら、
「ここはいつも、こうなんだ!だから、中間地点で待つ方がいい」
と、普通とセレクト、2つのバス停の中間地点に立って、バスがくるであろう先をずーっと見ている。
私も、「次もあの勢いでセレクトが来たら、パンプスで走ると負けるな」と思って、ローカルのバス停の電飾の暖かさに別れを告げて、おじさんの近くに立って、ガタガタ震えながらバスを待っていました。
約10分後。
今度もセレクト!
走ったけれど、バスに追い抜かれ、横断歩道で車をやり過ごしていたら、バスは無情にも走り去ってしまいました。
(2つのバス停の中間には、横断歩道&信号まである)
おじさんも同じ運命。
二人、無言で中間地点にトボトボ引きかえしていたら、ローカルのバスがくるのが見えて、「あーー!今度はあっち!」と走ったけれど、間に合わず。
運転手は走っている私たちに気づいて見捨てたのか、暗いから気づいていなかったのか、ほとんどスピードを落とさず、走り向けてしまったのです。
そんな「あー」を繰り返し、なんと、おじさんといったりきたり、30分ぐらいの間に、最初に逃した1本のあと、さらに3本逃す。嘘みたい。
悪夢でした。
絶対にこの2つのバス停の距離感おかしい。
暗いとはいえ、二人が走っているのを見つけて停まってくれる、ということのないバスも、おかしい。
ついでに、バスのチケットシステムはとてもアナログです。
バスに乗るには、事前にメトロの駅でカードを買っておかないといけない。(パスモみたいなやつ)
ローカルもセレクトも同じ値段だけれど、セレクトに乗る場合は、メトロカードを使って、さらに乗車前にチケットを買わないといけない。
メトロカードがない、あるいはカードの中のお金が不足している場合、バス停で、一回乗車分だけのチケットを買うことはできます。
が、コインのみ対応で2.75ドル。なんと、紙幣もクレジットカードもダメ。コインで2.75ドルって、25セントコイン×11枚。
普通、そんなにコイン持っていないし。
アナログすぎる。
で、寒い夜中のマンハッタンで、何度もバスを見送るという悪夢のような体験をした私ですが、
4本目を逃したあとに、博士に「タクシーに乗ろう」と提案されました。「君は5ドルでいいから」と。
タクシーの中で「何をしているの?」と聞かれ「writer」というと、「僕もだ」と名刺を渡される。ファッションウィークの取材をしてきたとか。
タクシーを降りるまでの短い間に「結婚しているのか」「子供はいるのか」と色々聞かれたわけですが、一緒に走った仲とはいえ、そこには何の感慨もなく、博士の姿までもが、悪夢の一部=エキストラに見えて来て、早く解放されたい一心でした。
バス停の「普通」と「セレクト」の微妙すぎるあの距離感、ニューヨーカーのみなさんはどう対処しているのでしょう。
博士と私が走るの遅いだけ??
暗闇に溶け込みすぎただけ??
それともただの悪夢だった??
夢から覚めた
インタビュアー&ライター
なまずみきでした。
◼️個人を応援!「みきてぃ文章SOS隊」◼️
プロフィールほか各種文章作成をお手伝い。
◼️本気でライターしています◼️
♡親が幸せになることが大切」幸せな子どもを育むポジティブ心理学 松村亜里さん
♡殺陣で日本の心を伝える殺陣師(香純恭さん)
♡人生を変えるヘアカット!? NY・ブルックリンのヘアサロンを突撃取材!
♡群馬の才女の海外子育て!バイリンガル育児に励む人材育成会社代表あんふぁん
♡株式会社シルバーウッド代表取締役 下河原忠道氏「認知症だけど、それが何か?」
♡NYで飴細工職人として生きる彼女のこだわり (Candy5さん)東洋経済オンライン
その他、過去記事はこちら「実績」からhttps://namazumiki.com/