寄り道アートの道草ブログ

「拼圖 puzzle」


2008年制作 素材:キャンバス・油彩・クレヨン・アルキド樹脂絵具 サイズ:45.5×45.5cm(S8)


今日ご紹介するのは、「拼圖(puzzle)」という作品です。

ところで、このタイトル文字、皆さんのパソコンではちゃんと表示されてるのでしょうか??

文字化けしてるかも…とちょっと不安なんですが。

はい、そうなんです、中国語(繁体字)です。

万が一、化けてた方へ(1文字目:手偏に「併」のつくり。2文字目:「図」の旧漢字。)

読みは「ピントゥー」かわいらしい響きが気に入ってて、

カタカナで「パズル」というのもちょっと違うな~、

「ピントゥー」の方が作品には合うな~と思って、そのままつけちゃいました。


★制作秘話(?)とタイトルの由来★

実をいうと、なかなか完成できずにすごく困った作品でして、

何度も何度も描き直して、ようやく完成したのでした。

仕上がってから、なんだか何度も何度も・・・というその行為がまさしく人生みたい、

と思ったのと、出来上がった作品の絵柄がパズルみたいで、

人生もパズルみたいだな~と思ったのと、

ちょうどその頃よく聴いていたのが品冠(Victor Wong)のCDで、

その中に「拼圖」という曲があり、もうタイトルはこれしかないな、と^^



★後日談:友人Wとのやりとりから★


友人が2009年正月の自身のブログで、友人・知人へ向けての年始の挨拶とともに、

「昨年のピクチャーパズル制作の協力のお礼」、を書いていました。


1年間を1枚のパズルに例え、1つの出来事を1ピースとし、

それを1ピースごとに埋めていことでその年の思い出が完成する、と捉える視点は、

(比較文学・文化が専門の)彼女らしいステキな表現。

ぜひこの作品紹介の時に彼女の言葉も紹介したいと思いました。


ここからは友人の言葉も引用しながら書きますね(本人には承諾もらってます^^)


普通、パズルは絵柄がわかっていて、それを完成させていくものですが、

友人にとって「「○○○○年版の思い出」のピクチャーパズルなら、

その年の最後にならなければ、誰もその絵柄を知るすべはありません。」


そして、人間はそのピクチャーパズルを完成させるために日々を過ごし、

「その作業の過程においては、迷いもあれば喜びもあり。もちろん悩みや挫折だって。
思いのままにならない時、人間はそのつどそのつど周りに助けられながらまた立ち直って、

パズル作業を続けていきます。だから、私にとっての「2008年版の思い出」のピクチャーパズルは

家族や旧友、新知などとの共同作業によってできたものです。」


そんな友人のパズルのピースに、私も入れてもらえてることがうれしいですね。


そして、ブログのコメント欄でのやりとりから、また興味深い表現が出てきました。


私が、パズルつながり、ということで、

この作品「拼圖」について取り上げ、先述した「制作秘話~~」をコメントしたことで

「油絵と「拼圖」と人生というテーマ」に話が及びました。


彼女の言葉

「その三者の特徴は不溶性と物質性にあるように思いました。

あくまでも印象的ですけど、顔料を乾燥させてからまた塗る、

そして重ねて塗られてもすでに乾いた顔料は水溶性の顔料のように

滲んだり消えたりはせずに確実に物質のように「存在」する、

油絵はそのような性質を持っている気がします。
思い出・トラウマも人生のやり直しによって忘却されたりはせずに、

心のどこかにその物質のような痕跡は残るはずです。

だから、物質性を持つ一つ一つの痕跡や絵具をパズルのピースとして
はめていったら、絵画や人生の「拼圖」は完成です。
そういう意味で油絵と「拼圖」と人生というテーマはいい組み合
わせだなと思いました。」


「うまく言えないけど」なんてご本人は謙遜してましたが、

うまく言いすぎです^^ ほんとに。

描いてる張本人の私には

こんなに客観的に、そして的確に文章にすることはなかなかできません><


というわけであえてここの部分はそのまま引用させていただきました。


友人Wは今は母国の大学で教鞭をとっています。

彼女が日本に留学していた時、

私たちは一緒に美術館を廻ったりしました。

明治・大正期の文化や文学については、私の方が教えられることがいっぱいでした。

美術作品を観るとき、私が気づかない視点を教えてくれた友人。

やはりその視点は文学的な色合いで、私にとってはかなり新鮮で、

その友人と展覧会を廻るのはいつも楽しみでした。


そして、姉のような存在です^^


私も彼女のように、

1ピース1ピース、埋めていかなきゃね^^



長文にお付き合いくださり、ありがとうございました♪