‘男やもめ’という言葉がありますよね。
奥さんに先立たれると、残されたご主人はいっきに元気がなくなってしまう……。

義父は、その典型的なタイプでした。
義両親は、とても仲が良く、いつも手をつないで歩くようなラブラブ夫婦。
とくに義父が、義母に頼りっきりでした。
 
義母の看病をしているときの義父は、常に冷静で、献身的に看病をされていました。
きっと、使命感もあったんでしょう。若いころは義母に経済的に苦労をかけた時期もあったそうなので、罪滅ぼしのような気持ちもあったかもしれません。

ですが義母のお葬式が終わると、まったく生気がなくなりました。
いちおう仕事には行かれていましたが、それ以外のときの様子は見ていて痛々しいほど。
 
きっと、看病のストレス、仕事のストレス、いろいろあったと思います。夫婦ですから、嫁の私の大変さより、もっとしんどかったはず。
 
息子たちも何かとフォローしたり、励ましたりしていましたが、その時は「うんうん」とうなづくものの、元気になる、というところまではいきませんでした。

       ☆

私たち夫婦も、義母がいなくなった寂しさを抱えながら、義父を励まそうと実家に通っていたことを覚えています。
嫁として何ができるのかを考える自分と、これから夫とどうしていけばいいのか、そんなことを考える自分もいて、一番モヤモヤしていた時期かもしれません。
 
間もなく、もう一つの看病が始まることになります。


つづく。