母は、私が帰ってきたことを手放しに喜びました。
昔の私への態度が嘘のように。
私は戸惑うばかりでした。

きっと、ずっと1人の生活が寂しかったんでしょうね。
それほど社交的ではなかったし、自分の人生を謳歌するタイプではなかったと思うので。

ですが、そんな母の様子にオロオロする日々は、すぐに終わりました。

 


    ☆

 


私はすぐに仕事を探しました。
就職した先は、小さな商社。
その頃は就職に困る時代ではなかったですね。
すぐに決まった記憶があります。

この会社で覚えているのは、お局さまにいじめられたことと、最初の結婚相手がいたこと。
仕事をしたのはたった8ヶ月、寿退社でした。

入社して知り合った、会社の先輩。
お付き合いが始まって1か月でプロポーズされ、3か月後には入籍するという、スピード結婚でした。
結婚を決めた理由は3つ。

・望まれたこと
・相手のご両親が素敵なかたで、「この人たちの娘になりたい」と思ったこと
・母から逃げたかったこと

恋愛らしい恋愛はしていなかったので、22歳の私ではままごとのような結婚だったかもしれないですが、とても幸せでした。


つづく。