ニューヨークから、日本に帰りました。
そして、父は亡くなりました。
 

長女と言えど、とくにやることもなく、お通夜、お葬式が終わるのを、ただ淡々と見ている感じ。
涙も出ません。
早くアメリカに戻る算段をしたくて、そのことばかりを考えていました。

 


ですが、そんなに甘くはありませんでした。
母が完全に壊れていたんです。
母と面と向かって話すのも、母の姿を見るのも数年ぶり。
その間、両親がどうしていたのか、母のうつの症状がどうなっていたのか、私は何も知りません。
 

見るからに躁うつ病の症状。
精神疾患の患者そのものでした。
弟に少し話を聞きましたが、彼もとっくに家を出ていて、母のことは知らないと。
彼女は1人で苦しんでいたんですね。

 


母は、私にすがりました。
まるで子どものように。


そして、私はアメリカに戻ることをあきらめました。
1度、家を捨てたのに、母を1人残すことができなかったんです。


後々、自分でこの選択を後悔することになるんですが、私は母と共に実家に戻りました。



つづく。