生みの母に会ったときの衝撃は、悲しい現実とは別に、もう1つありました。
母は、明らかに日本人ではなかったんです。

 


私が小さいころからずっと、髪が金髪に近い茶色で目の色も薄くて、いじめの対象になっていたその謎が、一瞬で解けました。
あぁ、私は海外の血を引いていたんだな、と。

中学、高校のときは、髪を黒く染めていました。
「髪が黒くなる」と聞けば、海藻を食べたり、サプリメントのようなものも飲んでいました。

今思えば、かわいらしい努力だったな、と感じますが、当時は「みんなと同じになる」ことに必死だったんですよね。

    ☆

生みの母と会った日から、祖母にいろんな話を聞きました。
祖父がイギリス人だったこと。
祖父と祖母のこと。
祖母と母の関係。
祖母がずっと私をどうやって見守っていてくれたか。
母に「1度だけ会うように」と説得してくれたこと。

すべては祖母からの一方的な話で、母の思いや考えはまるでわからなかったし、結局どうして母は私を生んだのか、そして父と別れることになったのか、別れた後のことなど、それらも全く知らされることはありませんでした。

10代の子どもなので、疑問ばかりでまったく自分自身が保てなかったですね。
しばらくはうつ病の症状もひどかったし、見えなくていいようなものも、いつも見てしまって、「このままじゃヤバい」と感じるようになっていきました。


つづく。