母は、私と目を合わせませんでした。
 
あれだけ会いたい気持ちが強かったのに、実際に会えると言葉って出ないもんです。
聞きたいこともいっぱいあったし、伝えたいこともいっぱいあったのに。
結局、私は何も言えませんでした。
 
母の言葉で、すべてが終わったからです。
 
 
「正直、会いたくなかった。あんたを生んだのは間違いやったし、思い出したくない。今、私は再婚して2人の娘に恵まれて、幸せに暮らしてる。そこにあんたが出てくるのは迷惑やし、困る。お母さん(祖母のこと)はあんたが可愛いみたいやけど、お母さんとあんたが暮らしてることは、うちの家族には内緒にしてるし、言うつもりもない。
 
会うのはこれを最後にしてほしい。お母さんにもそう言うてある。あんたもいつまでもお母さんに甘えてんと、はよ出ていきなさい。わかったか?」
 
 
「わかりました」
 
それしか言えませんでした。
 
 
つづく。