祖母と暮らし始める少し前から、母がうつ病の診断をされ、精神科(今で言う心療内科)に入退院を繰り返すようになっていました。

私が病院に行くと母の症状が悪化するので、私は出入り禁止にされていました。

同じころ、私も自分で自分のことをおかしいと感じ始めるように。「やろう」という気持ちはあるのに、体が動かない、胃が痛い、勝手に涙が出るなど。

様子がおかしいことに気づいたのは祖母で、病院に連れて行かれたときに、母と同じく、うつ病と診断されました。
同時に胃潰瘍にもなっていました。

胃潰瘍は薬と、環境の変化(祖母と暮らし始めたこと)のおかげで、数ヶ月もすれば楽になっていきましたが、思いのほか長く付き合うことになったのがうつ病です。

なんと、14歳から32歳まで、うつ病の薬を飲み続けることになりました。

14歳から32歳、この年数は、母がうつ病でもあった期間です。母と私は、「うつ病」という病気でリンクし続けていたんです。


   ☆


私は自分がうつ病であることを、誰にも言ったことがありません。
言ったのは、うつ病の薬を飲まなくなって、飲まなくても大丈夫だと、自分が判断したときからです。

今は、いろんなところでうつ病の話をしますし、講演も依頼されます。
話を聞いてくださるかたがいる限り、「うつ病は治るんだよ。長くかかったとしても、いつか卒業することができるよ。暗いトンネルもいつかは抜けるし、長い冬も必ず春になるよ」と伝えています。

私の体験が、うつ病本人や家族のかたの希望になるとわかったとき、こんなお話をすることも、きっと意味があるんだな、人生に無駄はないな、と思います。


つづく。