たとえば

小説家だったら 物語が書けなくなって

画家だったら 絵が描けなくなる


売り子さんだったら 「いらっしゃいませ」が言えなくなって

料理人だったら 美味しい味が分からなくなって

母だったら 子供の前で笑えなくなる



誰にでも そういう時があるんだと思う


そんな時は

何もしなくていい

ただ生きればいい

寝て 起きて 食べて 感じて また眠るの


また生み出したい

また笑いたいと 思うまで



そう思えなかったらどうしよう


自分が空っぽになって

自分から何も生み出されなくなったらどうしようって


底なし沼に落ちていくような不安に囚われても

自分が自分じゃなくなる恐怖に呑み込まれても



大丈夫だよ

あなたは なくなったりしない


人だって

ほんとうの自分となって羽ばたく前には

さなぎになることが必要で


たとえ 世界と切り離されたように感じても

ひとりぼっちになるのが こわくても


ただ あなたであることを受け入れ

眠り続ければいい


それがどんなに長くても

世界はちゃんとあなたを守っていて

ちゃんとあなたを待っている


その先に

再び あなたは生み出せるし

また笑えるから


その時はきっと

あなたがあなたであることを

あなたに起こるすべてを

まるごと愛せるはずだから


今は

安心して 眠ればいい





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