映画Tシャツが好きです。
バンドTシャツより多く持ってます。
スパイナル・タップみたいに、バンTと映画T、区分分けに迷うのが楽しい物もあり🩷
普段はあまり着ません。
映画を観に行く時に(時々)着ます。
昨日着たのは、こちら↓
サイコ・ゴアマン(スティーヴン・コスタンスキ監督、2021年、カナダ)Tシャツ❣️
B級感がたまらなく楽しい映画で、観終わって物販でTシャツを発見してすぐ、購入決意したもの。
映画がすごく良かった場合にのみ、その映画のTシャツを買いたくなります。
しかしSサイズがあまり無いんですよね。これはMサイズだけど大きいんだもん。
着るのが結構大変なので、どうかSサイズも品揃えして下さい。
そしてこのサイコゴアマンTシャツを着て何を観たかと言うと(やっと本題)、
「ザ・ビートルズの軌跡 リヴァプールから世界へ」と、
「クレオの夏休み」
の2本でした。
この2本を観ることはあらかじめ計画の内だったのですが、Tシャツのチョイスが全く合ってませんね。
ビートルズの方は、ビートルズが「世界のビートルズ」になる前の、リヴァプールのビートルズだった頃がわかる、ドキュメンタリー。
プロアマ問わず、バンドにつきもの(と言っても過言ではない)のメンバーチェンジ(てかクビ)が大きな柱。
リンゴ・スター加入に伴ってクビになったドラマー、ピート・ベストがインタビューに答える形で、当時のことを語っています。
他にも最初のマネージャーやツアーマネージャー、スタジオエンジニアの方々のお話も。
その中の一人の「世界のビートルズになる前のハンブルク時代を知ってないと」の言の通り、
ハンブルクに出稼ぎのように行って演奏していた頃のことも、語られています。
無知な私はこの辺のことを貴重だと思ったのですが、ビートルズ好きの還暦超えバンドマン(ハードロック・ヘヴィメタル・ブルース等に詳しい)
によると、この映画で語られているのはほぼ、これまでにも知られている事実なのだそうです。
が、貴重なのはやはりピート・ベストさんの「クビになった時の僕の気持ち」発言、これは初出とのこと。
ピートさんにとっては、順調に活動できていて晴天の霹靂だったこと、クビ宣告後しばらく何も手につかないくらいのショックを受けたこと。
それと、これはちょっとひどいでしょ、と私も思ったのは、
「今日でクビ。でもリンゴ来るまで後2回ライブ叩いてね」😰
いや、これは嫌でしょ、失礼でしょ、ちゃぶ台ひっくり返すレベルでしょ。
ピートさんもやはり断ったとのこと。
こういう色んな人の証言を集めて掘り下げたドキュメンタリーは、その対象のミュージシャンやバンドへの理解を深めることができて、
観終わった後に目が覚めたような気持ちになることがあります。
ライブ映像だけが見ものじゃないんだぜ?😎
もう一本の「クレオの夏休み」は、6歳の女の子とそのナニー(ベビーシッター・乳母)の絆を描いた作品。
ドキュメンタリーではないのに、俳優が演じていることを忘れます!
主人公のクレオはもちろん、ナニーのグロリア、その故郷の子供達や土地の人々、それぞれの愛や悩みや思いを直接見ているようでした。
後からそれに気づいて、凄い作品だと思いました。
映画自体は、静かで明るい画面、優しく見守るようなタッチで最後まで進みます。
映画チラシによると監督はじめ主要スタッフが全て女性ということで、
子どもと母親・母親的な役割の人の関係をそっと手のひらか巣で守るようなタッチにそれは多分に影響していると思います。
クレオを演じるのは当時5歳半だったルイーズ・モーロワ=パンザニというパリ在住の女の子で、
公園で遊んでいたところをスカウトされたのだそうです。
この子が素晴らしかった。
思い出すと涙が出そうです。
もちろん可愛いのですがそれだけじゃない。
視力が悪い設定で、眼鏡を常にかけていて、ちっちゃい子なのにちょっと余分な苦労があるのを感じます。
お母さんは早くに亡くなっているらしく、お父さんはクレオに愛を注いでいるけど、お仕事忙しいみたい。
だから親身に、実の娘のように愛して接してくれるグロリアに、絶大な愛と信頼をおいている。
お風呂に浸かるようなグロリアの愛と、シャワーのような父親の愛で、すくすく育っているのがわかります。
でも突然身内の不幸で実家に帰ることになるグロリア。
実家ったって遠くの島です。そしてもう、こちらには帰ってこないって宣言された。
母親を2度失うようなものでしょう。
この作品では、ところどころ太い線描きのようなアニメーションが挿入されます。
なんなん?と思ってましたが、見ているうちに、クレオの心象風景を描いているのだと気づきました。
ひょっとしたら彼女自身も意識していない、意識の水面下に沈んだような、それゆえ大きく精神的に影響するような。
これは小さい子はいたいけで純粋で、柔らかくて可愛くて、弱くて守って庇護して育てて行かないといけないものだ、
だから愛をたっぷり与えよう
、というだけのお話ではありませんでした。(素晴らしい)
子どもの、未発達が故に強く、直情的になる行動、時には残酷にもなる振る舞い、そんなのも描かれています。
そしてそれら「悪」的なものが、愛を強く希求する気持ちから出ていることも。
だから罰するんじゃなくて、いや、罰やお叱りはごもっともなんだけど、その気持ちをわかってあげてからやらないとなぁ、
ってことが胸に沁みます。
ここ、ここなんだよね、大事なのは。
ここを見過ごすと鬱屈したり捻じ曲がったり、そんな子どもからそれをこじらせた大人になってしまう。
難しいけど、大人には責任がある。ほんとの親じゃなくても。
ふう。
ビートルズもクレオも、観てる最中よりも鑑賞直後よりも、観終わった後からじわじわ滲み出るように色々思い出されています。
良い映画って、後から来ますよね。
良かった。両方とも良い映画でした。
どちらも観てください。おすすめです。