街の本屋さん。

私には行きつけの本屋さんが、近所に二軒あります。

どちらも商店街の中にある小型店舗。

他にも、前を通るとつい寄ってしまう中・大型書店もいくつかあります。

それぞれの本屋さんの個性を感じるのも、店内に足を踏み入れる楽しみの一つ。

これが読みたい、と決めた本については、以前にはネットで注文して買うこともあったのですが、

今は近所の本屋さんで在庫を調べてもらったり、お店にないものは取り寄せてもらって買うのが好きです。

ネットで届くと梱包を開けなきゃ行けないし、ゴミを捨てたり資源ごみで出したりと、

なんかめんどくさい🤨

着日を指定しても、その時間帯に待っているというのも苦痛だったり。


新聞のコラムで、現在、日本全国で書店の数は1万1千店で、10年で3割減、ということが書かれていました。

経済産業省も「街の本屋さん」支援に動いているとのこと。

書店減への危機感が感じられます。


人が電子書籍やネットショップで本を購入する理由は色々あると思います。

いながらにして届く、嵩張らない、タブレットやスマホで読める、等々。


でも、私がそうだったのですが(というか今もそうですが)、欲しい本が店頭に見当たらない場合に、

店員さんに尋ねるのが嫌、というのもあると思うのです。

(お店によっては端末が置いてあって、自分で検索してちょ、というのもありますが、それなら家でパソコンでやるのと変わらんし)

忙しそうな店員さんをつかまえて話しかけるのもなんか二の足踏んじゃうし、それに、勇気を出して話し掛けても空振ったらやだな、

というのもあります。

尋ねた本及び作者を、その店員さんが知らななかった場合の微妙な感じを想像すると、やめとこ、ってなる。


村上春樹氏のエッセイで、そんなエピソードがありました。

大手書店のリファレンスで〇〇の(すごく有名で教科書に載ってるレベルの作家だったのですが、それを失念)

作品はどこですかと尋ねたところ、その店員さんは知らなくて、

それはどういったものですか?な反応をされたという。

村上氏は「なんで本屋のリファレンスが〇〇を知らないんだよ」と思われるのですが、その気持ち、とてもわかります。

結局のところ、これが本屋さん購入離れの原因の何割かになってるのでは、と推測します。


まあ、こういうのは本屋さんに限ったことではありませんよね。

私は百貨店の案内コーナーのお姉さんにローラ・アシュレイは何階ですか?と尋ねたら、

「それはなんのブランドですか?」と逆に聞かれた経験があります。

村上氏同様に、なんでデパートの店員がローラ・アシュレイ知らないんだよ、しかもこの店内にあるのにさ、と唖然としてしまいました。


だから、本屋さんには、普通に本を好きで、本を知ってる人が店員さんでいてくれれば、本屋さんは減らないと思います。

あと、新聞を読む人。

新聞の新刊案内コーナーや一面下の広告欄を見て、あ、これ読みたい!って思うことってあるから、

そういうところに載った本はわかりやすいところに出しておくとか。急いでいても買い易いから。

カフェ併設するとか試し読みのための椅子設置するとか、投資しなくてもできるようなことが本読みからは求められてると思うので、

そこに気付いてもらえると嬉しいです。


で、本屋さんや読書を題材にした映画って結構ありますよね。

最近では「丘の上の本屋さん」とか(見逃しました😢)。

私が思い出すのは「マイ・ブックショップ」。

イザベル・コイシェ監督

日本公開2019年の作品です。



これは本好きの女性が、引っ越してきた小さな町で本屋さんを開く、というストーリー。

イギリスの海岸沿いの小さな町が舞台で、そういうところにありがちな、閉鎖的で保守的な人々の冷たい反応。

でも、あるとき、お城のようなご自宅で読書三昧の引きこもりの日々を送る老紳士(ビル・ナイ!😍)と出会って、

親交を深めたところから、だんだんと商売も軌道にのって行って、町の人々も、彼女のお店に並ぶ本に興味を示したり、

夢中になったり。

この右肩上がりの経緯は、本好きとしては観ていて楽しいものでした。

自分が読むのが楽しいのはもちろん、人が楽しそうに読書に耽溺している様を見るのも嬉しいものですよね。


中でも、近所の貧しいお家の女の子が店員として働きに来るのですが、その子が可愛くて。

ルックスも金髪巻毛でかいらしいのですが、おしゃまでしっかりしてて、時には雇い主であるフローレンス(主人公の名前でした)

に意見したり、本をどんどん好きになって知識を吸収していく様も嬉し楽し、将来が楽しみだなあ、と心が暖かくなるのでした。


でも、うまくいってたのに、町の有力者セレブおばさまに妨害工作されたりして、結局は…

しかし、これはフローレンスと本の、そして書店の負けストーリーではありません。

彼女が蒔いた種は、時を経て豊かに育つのです。感涙。


フローレンスは書店をしつらえるのに、お客さんである町の人々の興味を引くにはどういう陳列をしたら良いか、

どんな本を品揃えしたら良いかを自分のセンスで考えます。

彼女の本屋さんはとても魅力的でした。

この本を読んでもらいたい!という本と人々への愛が感じられて、そこがとても素敵だったのです。

そしてこの映画には、そんな書店への愛が感じられました。


ああ、あんな本屋さんの店内に佇みたい。

オーナーや店員さんに本のことを尋ねて、ない本は注文して取り寄せてもらいたい。

って夢のように考えます。

5年も前の映画でした。

でも去年くらいに観たかのように、思い出している作品です。

本と映画、いいですよね😊