先週観た映画、No.10
アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督
2021年オランダ・ベルギー合作、101分、という作品。
ポスターの白目がちょっと怖いし、左下の見守るような取り囲むような人々は?
この白目男はいったい?
とはてなマーク一杯で、予告編も観てたけど、このポスターと結び付かなかったのですね。
でもとても気になったので、観ました。
中々謎が多いというか秘密めいた映画で、とにかくネタバレ禁止がウェブサイトにもTシャツ(バックプリントがネタバレということで、
サイトでも映画館物販でも前のデザインしかわからないようになってました)にも溢れてるのでした。
これは監督の「何も知らないというのは素晴らしいことだ。実際のところ、何も知らないのが一番良い」という理念によるようです。
だから、ブログに書こうとするのは無謀な気もするのですが、それでも、書かずにはいられない!
なんとも言えない、今まで味わったことのないこの鑑賞後感、どっかで吐露したい!という気持ちに駆られて、
今ぱたぱたとキーを叩いている次第です。
先に言っておきます。
とても良かったのです。
良かったのでTシャツもパンフレットも買いました。
Tシャツのバックプリントは、映画を観て想像していた通りでした(ちょっと満足)。
映画チラシや予告編にある程度なら問題ないと思うので書きますが、主人公はギュンターという男の人で職業は舞台俳優です。
ですが、映画が始まってからしばらくは別の人が主人公だと思ってました。
そこがまず、観ながら意表を後で突かれる点その1、です。
彼は同僚の女性俳優と不倫をしている。
その様子も描かれていて(結構細かい)、だからドロドロ人間模様の愛憎劇かと思いつつ観ていました。
しかし、事態は全く異なる方向へ。
いや、方向が変わるというより、次々と投下されるというべきか。
ギュンターはギュンターであるのに、意外なことが次から次へと降りかかってくる。
だからなのか、自分にもシュールなことが降りかかってくることがあるかも?
ありえないことだけど、あることもあるかもだよね、なんて平常心で思えてしまう。
恐ろしい!映画の力。
前半後半でいうと、前半と後半で「渡る世間は鬼ばかり」と「DUNE 砂の惑星」くらい違うと感じられるし、
起承転結でいうと、「起」から「承」につながってるのが、観てたらその筋道で連れて行かれるのですが、
後から振り返るとシュールだったよね、ってなります。
そんで「結」でうわぁああ!🫨ってなります。
ほくほくほくそ笑んでたらそんなに甘くないぜベイビー、ってことになっちゃって取り返しつかん!って状態がどかーんと出現。
しかしここは、私としては小気味良かったです。
この映画の前日に観たのは「オーメン ザ・ファースト」でした。
この2本、この順番で続けて観て良かった、と思いました。
このタイトル、No.10というのを見た時に北欧のイメージが浮かんだのですが、それはあの本のせいでした。
「NOVEL 11, BOOK 18」
ノルウェイの作家 ダーグ・ソールスター著(村上春樹訳)
これも前半からは想像もつかない、意表をつかれるラストになります。
しかもなんでそんなこと考えるん!考えつくか?普通?みたいなことを、これは本人がやってのける。
そのへんが違うのですが、数字タイトルと緯度の高い国の寒くて湿度の低い国の感触で、ふっと結びついてました。
ありえないことでも起こりうるかもしれないし、そもそも実は既に起こっているのかもしれない。
じゃあ、バタバタしてもしょうがないよね、などと思える作品。
そういうことも、それまでは知らなくっていいやー、とも。
あと、ある種のパワーの恐ろしさ。
いや、そのパワーを他人に執行する意思の恐ろしさ。
も、これは再認識しました。
音楽も魅力的でした。
どう良かったか書くとネタに繋がってバレてしまう気がするし、音楽の素養がないので、これに留めておきますが。
そしてどの登場人物の魅力的。
渋い、深い。
色々良かった。
映画の衝撃はそのままに、あのTシャツを来て出歩きたい、それを考えています。
バックプリント、見えちゃってもいいかな?