ホスピスの見送りで感動して涙した叔父の気持ちが この当時の叔父に近い年齢になった今 当時よりもずっと理解できりるようになった気がします。
叔父もあの歳になるまでにたくさんの人を見送ってきたのでしょうね。
多分 病院で亡くなって遺体とともに病院を出るという経験をいっぱいしてきたのでしょう。
当時の叔父に近い年齢になった私も何回もそういう経験をしたし さらに言うと私は叔父よりもずっと長い時間 家族の付き添いで病院にいて 周りで亡くなって見送られる人のこともたくさん見てきました。
病院で亡くなると正面玄関からではなく 裏口から出ることがほとんどでした。
大学病院とか大きい病院だと夜間用の出入り口かな。
父と母が何度か入院した時もかなり長い時間 病院にいたし 息子に至ってはほぼ一日中付き添ってたので 周りで亡くなる人もたくさん見てきました。
黒いスーツを着た人(葬儀屋さんです)が通ったり パーテーションが出て通路を区切られたりすると 「あぁ、誰か亡くなったんだな。」って思ったものでした。
そして エレベーターも荷物運搬用のエレベーターで 裏口に運ばれ病院を出る。
息子が入院してた内の病院の一つでは裏口は荷物の搬入口でありゴミの集積場でもあって常にトラックやゴミ収集車が来てたりして騒々しいところでした。
私はそこを通って隣のスーパーに買い物に行ってたんですが ある時『病院へのご意見』というのを読んでたら
『入院する時は正面玄関からで 亡くなったらゴミと一緒の出口からですか!死んだらゴミ扱いですか!』というのがあって 亡くなったらあそこから出ていくんだ!とビックリしたことがありました。
私は 他にも出口があって ご遺体は別の出口から出るもんだと思っていたのですよ。
まさか あの裏口からだったとは・・・。
あの『病院へのご意見』を書いた方の口惜しさがダイレクトに伝わってきて胸が痛くなりました。
叔父も似たような経験をしたのかもしれません。
だからホスピスで私の父を先生や看護師さんを含めたスタッフの皆さんが整列して送ってくださったことに感動して涙したのでしょうね。
今の私が あの場面を見たらそれこそ号泣したと思います。
母の時は やはり裏口でしたが 1月の寒い真夜中に母のエンゼルケアをしてくださった看護師さんが外まで出てきて母を見送ってくださいました。
その看護師さん 夜勤の交代直後だったのでしょうね。
最初に亡くなった母のところに来てくださった時は髪の毛もサラサラときれいに整えられてメイクも薄化粧ではあったけれどきれいにしてあって とても素敵な看護師さんでした。
それが 母を見送る時には 髪もメイクも制服も乱れてて あぁ、母のエンゼルケアを一人で一生懸命にやってくださったんだな・・・と感謝と感動で胸がいっぱいになったのでした。
看護師さんやスタッフの皆さんには いつも感謝です。
ただ 病院そのものには 亡くなった人の尊厳ももう少し考えてほしいと思ってしまう私なのでした。
あれから十数年経って あの病院の裏口は改善されたかな・・・されてるといいな。
