父はホスピスには10日ほどしかいなかったのですが、その間に『子どもの日』のイベントがあり、ラウンジでピアノとバイオリンの生演奏があるとのことで父にもお誘いがありました。
ところが 父はラウンジには行きたくないと拒否。
クラシック好きの父が喜びそうな曲目ばかりだったので私と母が説得しましたが それでも行かないというので仕方ありません。
本人が行かないと言うので私たちも行かないつもりだったのですが 「ご家族だけでもどうぞ。」と言われ 私と母は父を残してラウンジに行くことにしました。
ラウンジでは ボランティアの女の方たちがお茶と柏餅をくばっていたのですが、私たちの前にも置いてくださったのです。
えっ!?私たちまで いただいたら 患者さんの分が足りなくなってしまうのでは!と遠慮したのですが 「大丈夫ですよ。 ご家族の分もちゃんと用意してありますから。」とのこと。
どうやら この柏餅はボランティアさんたちが用意してくださったもののようで、演奏してくださる方たちもボランティアだそうです。
そういえば、部屋のサイドテーブルの上にカードが立ててあり
『話し相手が欲しい時 体が痛くてさすって欲しい時 どうぞいつでも私たちを呼んでください。 ボランティア一同』(これは もっと優しく丁寧な言葉で書かれていたと思います) というようなことが書いてあったのを思い出しました。
これが 本当のボランティア精神というものなのだろうか・・・このような本物のボランティア精神というものに ついぞ出会ったこともなく、更には普通クラスのボランティア精神さえも欠如していた母と娘はホスピスで出会ったこのボランティア精神という優しさに驚き、感動したのでした。