我が家は完全分離の2世帯住宅。
1階に夫の両親が住み、2階には私と夫と息子の3人。
中では繋がっていないので玄関からじゃないとお互いの家には入れないようになっている。(鍵はお互い持っているので出入りは自由)
「何だって?」
「おじいちゃんがすぐ来てくれって!」
義父のただならぬ様子に私と主人は慌てて部屋を飛び出し、すでに自分の部屋へ帰っていた息子も私たちの後に続いた。
義母もいるはずなのに義父が呼びに来たということは義母に何かあったのだろう、転んで骨折でもしたのだろうか・・・頭でも打ったか・・・階段を下りながら私は考えていた。
しかし、階下の玄関を入った私たちを待ち受けていた現実はそんな生易しいものではなかった。
義母がお風呂の湯船の中に浮かんでいた。
すぐに夫と息子が義母を湯船から引き上げようとしたけれど、意識の無い人間はそれはそれは重く、更に入浴剤の湯に浸かっていた裸の体は余計にツルツルしていて掴むところが無く、義父と3人がかりでやっとのことで引きずりだした。
私はそこのところの記憶が無いのだけれど、気がついたら受話器を持っていて「息、してません!」と119番のオペレーターに叫んでいた。
「息はしていないんですね? 脈はありますか?」
夫と息子に引きずられて廊下に寝かされた義母には脈も無かった。
すぐに夫と息子は心臓マッサージと人工呼吸を始めた。
2人とも職場と学校で習っていたので咄嗟に始められたようだ。
私がオペレーターにそれを伝えると救急隊が到着するまで続けているようにと指示された。
その後もいろいろ聞かれたような気がするけれど、あの時、何を聞かれ、何を話したのか、今、私はまったく覚えてない。
結構、長い間、受話器を持って話していたような気がする。
その後、近づいてくるサイレンの音が聞こえ、家の場所を知らせようと玄関を飛び出た私が見たものは消防車!!
え~~~~~~っ!? 私、火事ですって言っちゃった!???