シドニーに熱波が訪れている。日中は37℃を超え、夜7時頃もビーチに人があふれかえっている。夜8時の今も32℃ある。
日本の8月はこんな日が珍しくないけれど、夏でも30℃を超えがほとんどないシドニー東部では、今年初かもしれない。
築100年は経っているだろうレンガ造りの我が家には、エアコンも扇風機もない。去年は冷夏で必要なかったし、今年もこれまで必要なかった。海に近いこともあって、朝夕はちょうどいい具合に心地よい風もあるので、通常は窓を開けるだけで十分乗り切れる感じなのだが。
今日は一日外出して窓を締め切っていたので、外気温より室内気温が涼しい。熱波は明日で終わる予報なので、なるべく窓を開けない作戦で乗り切ることにする…。そして明日もオフィスに出社して冷房の恩恵にあずかろうと思う
さて今日は月曜から出社だった。
この数か月、うちの研究所には日本から何組かの来客が訪れている。
今日も、同じチームの同僚あてに、ある「海外視察団」が、オーストラリアのある事例について情報収集をすべくうちの研究所を訪れた。
自分はこのテーマについて専門知識はないが、逆に日本の状況を知りたくてこのミーティングに参加した。
事前からこの視察団の名前と所属は頂いていたが、通訳さん以外なーんと11名全員が男性だった。もちろん全員日本人。ほとんどが元国営大手企業のエリート社員の方々だけど、非常に古い体質を引きずった業界とも思える。
視察団の面々を眺め自分が社会に出た20年以上前から全く変わっていない状況に軽くショックを覚えつつ、日本の失われた30年の理由も、今日改めて実感した
残念ながら日本はこの15年間でいろいろな技術競争(携帯電話、電気自動車等々)で世界から取り残されている。英語が苦手なことを理由に世界市場をほぼ見てこなかったこと、企業内での決断力の遅さや、判断間違いがこういった日本企業の低迷を招いたといわれている。
その大きな原因が、いわゆる大手の日系企業や政府機関にしぶとく残るモノカルチャー(学歴、性別、育った環境)によるものだと思う。
同じ考えの同質な人間だけの閉ざされた環境で、新しいことを創造できる
少子化が進んで20代、30代が減って、上のポジションを中高年男性が占め続けることでいっそう事態は深刻化しているように思える。
ミーティング後、同僚たちと話したことだが、ジェンダーアンバランスに加え、効率性の問題(情報収集にこんな大人数が英語もわからないのに海外に来る必要があるのか等)、日本の働き方の問題点は多くあると思った。
自分はこのような保守的な大手日系企業にとっては不要な中年女性だが、常に新しいアイディアやテクノロジーを取り入れて研究をしていきたいと思っている。
ちなみにうちの研究所ではダイバーシティーは非常に重要。もちろん、自分は非白人女性として、まだまだ環境改善の余地は大きいと思う。しかしながら、女性リーダーもいるし、多くの女性研究員も活躍しているし、LGBTQやいろいろな国籍の同僚と働いている。
確かに皆それぞれ違うバックグラウンドの人々が集まれば、人それぞれで、それなりに大変だ。但し、様々な意見を尊重し耳を傾けることで自分はいろいろと学んだし、様々な視点を取り入れることで、アイディアが出たり、新しいものを生み出すことができるのだと思っている。