
【脳しんとう】
スポーツによる怪我は「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」に分けられます。
スポーツ外傷には「捻挫」「脱臼」「肉離れ」「骨折」などがあり、スポーツ障害は「テニス肘」や「野球肘」「ジャンパー膝」「疲労骨折」など身体の使い過ぎによるものが含まれます。
長い間空手をやってきた人も膝や腰を痛めてる人は結構います。
怪我の多いスポーツランキングは、1位「アメリカンフットボール」、2位「ラグビー」、3位「バレーボール」、そして「体操」「柔道」「野球」と続きます。
上位ふたつは激しいぶつかり合いのコンタクト系が占めています。
アメフトとラグビーはルールの違い(タックル等)もありますが、プロテクター着用のアメフトの方が怪我が多いのは、ちょっと意外な感じがしますよね?
その理由のひとつは「防具」にあるようです。
防具を着けていると、いつも以上の力が出てしまって、そのぶん怪我も増えてしまうんですね。
それと相手のタックルが見えづらいというのもあります。
実はこれと似たような意見はアマチュアボクシング界でも、すでに議論されていて、2016年のリオデジャネイロ五輪から男子に限り、試合でのヘッドギア着用がなくなりました。
ヘッドギアを着けている方が「脳震盪(のうしんとう)」を起こす確率が高い事がわかったからです。
それは先に挙げたような理由からですが、ヘッドギアの柔らかい素材がクッションとなって脳が揺れやすいと言う事もその理由にあるようです。
そもそも「脳」は髄液と呼ばれる液体に浮いた状態で、固いものより柔らかいものにぶつかった方がダメージは大きいと言われています。
拳の突きは表面に効いて、掌での突き(掌底)は重く内部に効くのと同じ理屈です。
ヘッドギアの是非はデータ不足の点からも賛否が分かれており、女子の試合では外傷防止の観点から試合でのヘッドギア着用を今も義務付けています。
空手のヘッドガードも「見えづらい」「受けがおろそかになる」「本来の間合いではない」等の意見はありますが、対戦の際に力の差がある限り、強力な足技から頭を守る為には必要な防具だと思います。
ちなみに自転車のヘルメットも「着けてるからスピードを出すので危険」「車が自転車を怖がらないから車との距離が近くなって危ない」等、諸外国では様々な意見があるようですが、これは被った方がいいに決まってます。
と言うのもオートバイのヘルメットに関してはきちっとしたデータが揃っており、ヘルメット着用は事故による脳損傷を7~8割りも防げる事がわかっているからです。
一般的な私達の「視界」は横(外)に90~100度、下に70度、上に60度だと言われていて、上下よりも左右に広いのがひとつの特徴です。
生きていく上で、水平方向の視野拡大は絶対条件だったのでしょう。
私達の目は水平方向に動くものにはすぐ順応するように出来ていますが、縦方向の動きに関しては少し鈍いようです。
例えば空手のまわし蹴りを例にとると、横からの蹴りはある程度見えますが、縦の角度になればなるほど見づらくなります。
パンチもナナメ上から振り下ろす「ハンマーパンチ」に対しては、やや反応が遅れてしまうのは、そのせいかも知れませんね。
人はものを見るのと同時に情報を瞬時に判断し、行動に移すことが出来ます。
その際、情報処理が行える視野の範囲を「有力視野」と呼ぶそうです。
「有力視野」は20度から30度ほどの範囲しかないそうです。
人は前を見ていても一瞬で判断できる情報はほんの少しのようですね。
そして動きが速くなればなる程、視野は更に狭まくなっていきます。
スポーツに重要な目の機能としては「動体視力」があります。
動体視力は真っ直ぐ近づいてくる目標を見る「縦動体視力」と横に移動する目標を見る「横動体視力」の2種類があります。
最初に身体の外から入ってくる情報の8割りは「目」からだと言われていて、特に動きの速いスポーツや武道には、この「動体視力」が重要な役目を果たします。
「脳しんとう」はコンタクトスポーツに限らずどんなスポーツでも起こります。
しかもその殆どは症状がすぐに収まる一過性のものです。
だからと言って軽視は禁物で、頭痛やめまい等の症状がある時や頭を強打した場合は一刻も早く病院で診てもらわなければなりません。
「脳」がやっかいなのは他の多くの臓器と同じく「痛み」を感じない事です。
何かにぶつけて頭が痛むのはその周辺の骨や筋肉、脳を包んでる膜、脳の表面を走ってる神経などが刺激を受けて痛むそうです。
命の危険が迫って初めて身体にサインを出す事もあります。
いつもと違うと感じた場合や、段々と痛みが増してくる頭痛などには要注意です。
練習中に頭を強打した場合はすぐに練習をやめ、楽な姿勢で安静にする事が大切です。
その際、首も一緒に痛めてる場合もあるので、負担をかけない姿勢がいいですね。
水分は意識がしっかりしてて吐き気が無い場合は取っても大丈夫です。
程度にもよりますが、衝撃が強かった場合はしばらく練習は休みましょう。
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織田