子供の頃は奇っ怪な夢ばかり見ていました。
寝る前に読んでいた漫画が、不条理な夢の世界に、より一層輪をかけたのかもしれません。
人は人生の3分の1を「睡眠」に費やしています。
私で言えば、生まれたばかりの赤ん坊が成人するくらいまでの間、眠っている計算になります。(なんと!)
徹夜が身体に良くないのは誰でも知ってますが、何故人は眠るのか?と聞かれれば、答えに困ってしまいます。
「身体をリセットする」「ホルモンバランスの調整」「脳の中身の整理」など色々と考えられますが、どうして長時間も意識を失わなければならないかが最大の謎です。
あらゆる動物は眠ります。
その睡眠時間は動物によってバラつきがあるようです。
例えば、象や馬は3時間、イルカは10時間、ライオンは14時間、コアラはなんと20時間以上! 人間や猿は8時間ほどと言われています。
このバラつきは「敵」の多い、少ないに左右されるようですね。
ちなみにコアラの場合は、それとは関係なく、食べるユーカリの葉に原因があるそうです。
イルカや鳥などは、眠りながらも半分の脳は起きた状態で、身を守っているんだとか。
「眠り」の周期は4~5段階あると言われています。
まず最初に「意識を手放す」時間があり、次に回復に役立つと言われている「軽い眠り」があり、そのあと「深い眠り」に入り、最後は夢をよく見る「浅い眠り」が訪れます。
これらのサイクルを一晩で何回か繰り返すのです。
夢を多く見る、浅い眠りの「レム睡眠」は全体の4分の1を占めると言われています。
この時、脳は活発に働いていて、目玉はグルグルとせわしなく動きますが、身体の筋肉の動きは抑制されます。
夢の中の自分に合わせて、激しく動いて身体が傷つくのを防いでいるのです。
怖い夢を見たあとなどに、ハッと目が覚めて身体が金縛りにかかる事がありますが、これも筋肉の抑制によるものが大半です。(目覚めて1分ほどで解ける)
さて、奇っ怪なる「夢」ですが、ストーリー性のあるものと、そうでないものとがありますよね。
レム睡眠で見る夢はストーリー性があり、深い眠り(ノンレム睡眠)で見る夢は、関係性のないものの繋ぎ合わせが多いようです。
しかし、夢は眠りの浅い、明け方に見る夢を大体覚えているので、それがストーリー性のあるものかと言われれば、まったく場面があちこちに飛ぶ、不条理きわまるものばかりのような気がします。
「もっと続きを見たい!」と思う夢は少なく、ほとんどが「もうたくさん!」というものばかりですよね。
何故「夢」を見るのか?は、実際そんなに大した意味などないのかも知れませんが、人生80年のうち、7年くらいは夢の中な訳ですから、無視する訳にもいきません。
その理由が「脳のお掃除」と言われると、一番しっくりきます。
「記憶」や「不安」や「抑えた感情」などをランダムに再生し、消去したり、別の場所に移し変えたりする作業の過程が「夢」になって現れるのかもしれませんね。
ところで、夜に眠くなるのは「体内時計」があるからです。
脳以外にも内蔵や脂肪、筋肉など、あらゆる部分に「体内時計」はあるそうです。
それぞれの部位が「いつホルモンを出す」とか「いつ休む」とかを独自の時間で決めていて、もしそれが少しでも狂ったりすると、身体に変調をきたすのです。
ちなみに、「反射神経」は昼の2時頃に最も素早くなり、「血圧」は夕方頃頂点に達し、「男性ホルモン」は朝方に多く分泌されるそうです。
体内時計の乱れは日光を浴びる事でリセットされます。(セロトニンという脳内物質が作られ、それによって夜にメラトニンという眠りに関係するホルモンが作られる)
私達が眠くなるのは「睡眠圧」と呼ばれるものも関係しています。
起きている限り、ウトウトと眠くなる衝動にかられるのが「睡眠圧」です。
お昼寝は身体にいいようですが、深い眠りに入る前に起きるのが、シャキッと目覚めるポイントだそうです。(眠りに入ってから30分くらい)
自分では制御できないほどの眠気に襲われるのが「過眠症(ナルコレプシー)」です。
脳内物質の不足で起こる事がわかっています。
逆に眠れない「不眠症」で悩む人も多く、その原因は「環境」「性別」「年齢」「身体の不具合」など多岐にわたると言われています。
「睡眠時無呼吸症候群」も呼吸が止まる、目が覚めるを繰り返すので、深い眠りが得られず日中強い眠気に襲われます。
日本では検査していない人を含めると、500万人いるとも言われています。
「眠らない」最長記録は1960年代にアメリカの男子学生が記録した11日と12分です。
「眠らせない」実験の方は睡眠学者が数匹のラットを使って行い、皆2週間足らずで死んだそうです。
死因は極度のストレスによる免疫力低下(感染症)が原因だったようです。
学生の挑戦は3日目以降、幻覚があらわれ、最終日は酷い意識障害に見舞われたそうですが、首から下への影響は無かったと言います。
「眠らない」と「眠らせてくれない」とでは、ストレスのかかり方も違ってきます。
おそらく「眠らせない」実験だと、人間もラットと同じ結果になったのではないでしょうか。
睡眠不足による「幻覚」や「記憶障害」などの意識低下は脳の安全弁が働く為だとも言われていて、若い頃は丸二日起きてたりすると、よく幻覚らしきものが現れました。(今は24時間も起きてられません!)
ちなみに、人が長生きできる睡眠時間は7時間前後だそうですよ。
今までありがとうございました。
長い間お疲れさまでした!
押忍 織田