【パンチ】
空手教室の子供達には、よく壁を両手で力一杯押させてみます。
どの高さが一番力が入るのかを実際に確かめる為にです。 やはり肩の高さが一番力が入ります。
肩の高さから上にずれていっても、下にずれていっても力が弱くなっていくのがわかります。
したがってパンチや肘を打つ時は、肩の高さで打つのが基本です。
では、どの高さには、どの手の向きが一番力が入るでしょうか?
実際に壁を押すと実感できますが、胸の高さぐらいまでは指が上向きが力が入り、胸から下にいくにつれ、だんだんと指を横向きにしていく程、力が入っていくのがわかります。
つまり指が上向きは「正拳」で横向きは「縦拳」です。 下向きにすれば「下突き」と同じ力の入り方になりますが、この下向きが最も力が入れにくいのが実感できます。
レバーやボディへのフックは脇を締めた「縦拳」が最も力が発揮できる打ち方なのです。

壁を力一杯両手で押してみると、身体のいろんな場所に力が入るのがわかりますが、それらの筋肉は「パンチ」を打つときに使う筋肉とほぼ同じなのです。 壁を押せば押すほど腰まわり筋肉に力が入ります。パンチを打てば必ず跳ね返ってくる力(反動)がありますが、その反動は主に腰、利き脚で受け止め、最後はカカトで受け止めます。
これらの腰や背中まわり、脇のまわりの筋肉は「ヒットマッスル」と呼ばれるのですが、古くから空手では「ヒットマッスル」を締めて全身の力を拳にのせることを「チンクチを掛ける」と言い、三戦立ちなどで腰やお腹まわりの筋肉を上にまくりあげる事を「ガマクを入れる」といって様々な身体操作が研究されてきたのです。
これらの身体の使い方があるからこそ、体の小さい人でも体の大きな人に勝つことができるのですね。

前屈立ちになって移動しながら追い突きをする時、うしろ足のカカトは床に着けるのが基本ですが、後ろ足のカカトを上げながら突いてみた場合、着けて突いてみたときと比べ腰まわりの筋肉がまったく使われていないことがわかります。 足のカカトをしっかりと床に着けて突きを出す稽古は、腰まわりの筋肉やヒットマッスルを鍛える為でもあった訳です。

胴体へのパンチは胴体自体が重いので、その分反動も強く、打ち抜かないでインパクトと同時に素早くパンチを引くことが必要ですが、顔面は重量も軽く打ったさいの反動も少ないので振り抜くことが出来ます。
パンチを打つ時に重要なのは肘の角度で、肘は常に下を向いてなければいけません(フックは除く) 肘が横を向いてしまうと脇が開き、パワーがのらなくなってしまい、連打や防御の遅れにもつながります。
前足の膝(足先)の向きも大切であり、前足の膝(足先)は必ずパンチと同じ方向を向くようにします(右フックは奥足の膝)
奥の手からのパンチは奥足のカカトを上げて腰をきることも大切です。

パンチは引き手の早さにばかり気をとられてしまいがちですが、それでは本末転倒になってしまいます。
パンチを打つ時は、まずは力強く伸びのあるパンチを打つことを心掛けましょう。
ヒットマッスルを上手に使えるようななれば、次は思いきり肩を入れて「打つべし!」なのです。














最後に行われる補強運動の「腕立て伏せ」でヒットマッスルを鍛えます。
今週もありがとうございました! 押忍 織田