戦後80年企画としてNHKが8月15、16日の2夜にわたって放送された、NHKスペシャル『シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~』を見ました。
興味深かったですね。
真珠湾攻撃の8カ月前である1941年4月、首相直属の「総力戦研究所」に日本中から集められた若きエリートたちが、模擬内閣を作り、出身官庁や企業から機密情報を集め、日本が米国と戦った場合のあらゆる可能性をシミュレーションしていきます。
「圧倒的な敗北」の結論を手にした若者たちが、開戦へ突き進む軍や内閣と対峙するという、実話を元にしたストーリーです。
《12月中旬、奇襲作戦を敢行し、成功しても緒戦の勝利は見込まれるが、しかし、物量において劣勢な日本に勝機はない。戦争は長期戦になり、終局、ソ連参戦を迎え、日本は敗れる。だから日米開戦はなんとしてでも避けねばならない》
これは真珠湾攻撃の3カ月前、政府の総力戦研究所が出した「日本必敗」の結論です。
この予測は、現実の戦局推移とほぼ同じ流れをたどっていたといくから驚きです。
総力戦研究所は昭和15年秋に開所した、内閣総理大臣直轄の研究所である。第一期研究生は、官僚27名と民間人8名の総勢35名で構成されていた。
日米戦争を想定した「総力戦机上演習」(シミュレーション)が実施され、「日本必敗」の結論が8月27、28日両日に、近衛や陸軍大臣の東條英機以下、関係者に報告されました。
しかし、「戦というものは、計画通りにいかない。意外裡(り)なことが勝利につながっていく。したがって、君たちの考えていることは、机上の空論とはいわないとしても、あくまでも、その意外裡の要素としたものをば考慮したものではないのであります」と、報告は黙殺されました。
今回、振り返られた総力戦研究所のシュミレーション結果と、その反省は、いまの時代にも生きるものかもしれません。