関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認めた24日の福井地裁の判断は、運転差し止めを命じた4月の仮処分決定とは180度、異なる結論となりました。

わずか8カ月で判断を変えたのは、国や電力会社が事故リスクを「ゼロ」にするよう目指すべきなのか、「起こりうる」前提で安全対策を講じる姿勢を評価するのかといった、リスクの解釈の違いだったようで、裁判官による差が大きいことが明らかになりました。

事故時の住民避難などについては「重層的な対策を講じるべきだ」とし、国に注文を付けていますが、裁判官の責任転嫁とも思われますね。

関西電力は来年1月以降、高浜3、4号機を再稼働させる方針だが、原発の安全性をめぐる争いは今後、名古屋高裁金沢支部に舞台を移して継続されることになります。

「事故に向き合う姿勢の違いが、司法判断の違いになった」と、九州大学の吉岡斉教授は、今回の地裁決定を批判しています。

私も同じ意見です。

いくつかの見解の相違がありました。

一つは、「基準地震動」に関する見解です。
仮処分決定は「楽観的見通しに過ぎない」と批判していましたが、今回の異議審決定は、争点の中でも最も多い44ページを費やして異なる見解を示しています。

具体的には、異議審決定は、基準地震動を超える地震が起きる確率を「1万~10万年に1回程度という極めて低い数値」とし、想定の合理性を認定しており、「最新の科学的、技術的知見に照らして算定された基準地震動であり、原発の耐震安全性を確保するための基準として信頼に足る」と評価していました。

二つ目は、新規制基準についての見解です。
新規制基準については、仮処分決定が「緩やかに過ぎ、適合しても原発の安全性は確保されていない」と指摘したのに対し、最新の科学的・技術的知見に基づく安全性確保▽原子力規制委が中立公正な立場で審査--の枠組みが機能していることを条件に合理性が認められるとしています。

三つめは、事故リスクに対する見解です。
今回は「社会通念上、無視し得る程度にまで管理されているか」との観点で判断し、「深刻な災害の恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容」を新規制基準に求めた仮処分決定を覆しました。

私は、いずれの見解も仮処分決定の裁判官の見解が正しいと思います。

今回の見解で特に問題なのは、事故リスクに対する見解ですね。

「社会通念上、無視し得る程度にまで管理されているか」という観点で原発事故のリスクを捉えるのは、あまりにも楽観的すぎます。

公共施設の安全性と原発の安全性を同じ土俵で管理するような裁判官の見解には呆れるばかりです。

司法の責任は何処へ行ったのか。

悲しくなりますね。








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