最近、童謡・文部省唱歌の歌詞を眺めていて、新しいことに気づきました。
子供の頃は、意味も分からずに歌っていましたが、歌詞の思い違いや、歌詞に深い意味があることを発見したわけです。

先ず、「里の秋」。
この歌は、通常、2番までしか歌いません。

(1) 静かな静かな 里の秋
  お背戸に木の実の 落ちる夜は
  ああ 母さんとただ二人
  栗の実 煮てます いろり端
(2) 明るい明るい 星の空
  鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は
  ああ 父さんのあの笑顔
  栗の実 食べては 思い出す

この歌詞からは、田舎の家で、母親と子供が働きに出掛けている父親のことを思い浮かべている情景が頭に浮かびます。

しかし、3番の歌詞を見ると、全く違う意味であることに気がつきます。

(3) さよならさよなら 椰子の島
  お舟にゆられて 帰られる
  ああ 父さんよ 御無事でと
  今夜も 母さんと 祈ります

この歌は、南方へ出征した父親が無事に引き上げてくることを願う歌で、1945年12月、NHK「外地引揚同胞激励の午後」という番組で発表された曲です。
時代の流れで、3番の歌詞は歌われなくなりました。


次の歌は、「朧(おぼろ)月夜」です。

(1)菜の花畠(ばたけ)に
  入日(いりひ)薄れ
  見わたす山の端(やまのは)
  霞ふかし
  春風そよふく 空を見れば
  夕月かかりて におい淡し(あわし)

1番は、美しい詩ですが、特に深い意味は感じません。
凄いのは、2番です。

(2)里わの火影(ほかげ)も
  森の色も
  田中(たなか)の小路(こみち)を
  たどる人も
  蛙(かわず)のなくねも かねの音も
  さながら霞める(かすめる) 朧月夜

前半の「里わの火影(ほかげ)も 森の色も 田中(たなか)の小路(こみち)をたどる人も」は、何れも目で見える風景です。
この風景を、「さながら霞める(かすめる) 朧月夜」、つまり、朧月夜のときは、霞んで見えるという意味です。

ここまでは、普通の美しい詩ですが、凄いのは後半です。

「蛙(かわず)のなくねも かねの音も」、これらは、耳で聞く音です。
これらの音を霞める朧月夜。音が霞む、凄い歌詞ですね。
しかし、イメージは涌きます。つまり、「ゴォ~ン」と細かく震えているような音です。
本当に深い意味を持っている歌詞です。



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