財政出動と失業対策 1
「モデルと経済原理による検証」
分かり易く効果的に検証できる10人のモデルを使って、以下の「経済の本質が良くわかる経済原理(本質を理解することに焦点を当てた整理)」と比べながら検証していきましょう。」
「経済の本質が良くわかる経済原理(本質を理解することに焦点を当てた整理)」
1.貸借は均衡する お金の総和はゼロ、全体としての価値はゼロ(プラスでもマイナスでもない) 実質の価値は以下2.と3.のみ
2.労働による価値の提供=労働による価値の享受 =顕在化された真の価値
この量、質、バランスの最適化
3.実資本=価値を生み出す潜在的価値
4.全体の豊かさを決めるのは生産者(価値の提供者)と非生産者(価値の提供を行っていない者)の割合と生産性の効率
(≒一人当たりのGDPまたはGNI)
※GNI:GDPに居住者が国外で稼いだ要素所得(利子・配当や賃金)の純受取を加えたもの
5.資本、富の所有と配分、価値の享受を受ける権利者、その構造が適切かどうかが社会の健全さの指標となる。(+公民バランスの最適化)
それでは、モデルC-1を見てください。
「モデルC-1」国の人口:10人、GDP210P(Pは生産量)/年間、国の借金0P
ここで、便宜上現在の生産量1P=1万円相当としてます。
失業者は、何も生みだしていないですが、失業手当として一人10P/年間分のサービスと物の提供を受けるとします。
ここでは、10万円支給(1P=1万円)/年間とします。
※年間十万円では安いと思いますが、ここでは貨幣価値が違うので通常の生産者の1/3程度の補償を受けていると考えてください。
この時点で国の借金はなし=年間収支イーブンとします。便宜的に紙幣を発行したり、国が徴収後紙幣を廃棄したり、国民同士は借用証書を紙幣代わりにしていると仮定してます。
国民は、公共のサービスを受けるごとに利用料を支払うとします。(都度支払う税金と考えてください)
国民の負担率は、210Pのうち国が負担する割合は公務員60P+失業手当30P=90Pですので、90P÷210P=約43%です。
この率自体は、大きな意味はありません。公共でサービスを提供するか民間でサービスを提供するかで、同じサービスを享受できたとしても負担率はそれにより変化するからです。
「失業対策の有効性」
有効な生産を生み出す失業対策は全体に良い影響を及ぼすことをモデルで見ていきましょう。
ここで国は失業者対策を打ちます。
「モデルC-2」
道路が傷んできたので道路の補修に一人雇い30Pの有益な生産をするとします。
また、民間の雇用対策として一人雇うと、雇った人に10P/人支払うこととし、民間は2人雇い30P/人、生産量が増加するとします。
国はそのために借金を50P分しますが、失業者がゼロになり失業手当が30P減りますので、差し引き20P分の借金となります。
そうすると以下のようになります。
「モデルC-2」
国の人口:10人、GDP300P、国の借金20P
その結果、GDPは210P→300P 90P増
民間人と公務員一人当たりの受け取るサービスと物の量は25.7P→30P 4.3P増となります。
国民の負担率は、300Pのうち国の負担は90Pですので、90P÷300P=30%です。43%→30%に減りました。
国は20P借金が増えましたが、その20Pはどこに行ったのでしょうか?
雇用を増やした民間人に20P支払っているのです。国のー20Pは民間の+20Pに変わっただけです。
借金をチャラにするには、国が+20Pになった民間人から取り上げればいいのですが、そうはいかないでしょう。
年間の収支はイーブンなので、20Pはそのままでもよいのです。誰も困りませんので・・・
ここら辺の分析はまたいずれ別のモデルで・・・
これも経済の原則通り「1.貸借は均衡する お金の総和はゼロ、全体としての価値はゼロ(プラスでもマイナスでもない)」のとおりです。
では、次回「間違った失業対策」についてみていきましょう。
発行者:彩河輪真成(経済モデル研究所所長)
発行者のサイト
発行者のメールマガジン
https://www.mag2.com/m/0001695389
発行者のTwitter